編集長の辛口時評 2006年7月 から分離

レバノン侵略の本質はシオニスト国家の存続を賭けた水争い

➡ 偽ユダヤ人カザール(Khazar・ハザール)問題

2006.07.23(2018.3.29分離)

http://asyura2.com/0601/war82/msg/864.html
辛口時評060723 レバノン侵略の本質はシオニスト国家の存続を賭けた水争い

 7月12日に、ヒズボラがイスラエル兵2人拘束を発表し、イスラエル軍はレバノン空爆を開始した。

 以後、連日のメディア報道が続き、新たな中東戦争への拡大の恐れもある緊急事態となった。

 問題は、イスラエルというシオニスト国家自体のおかしさにあるが、レバノン南部への侵略には、その上に、国家の存続を賭けた水争いが潜んでいる。このような状況認識を欠く平和運動には、勝利の展望は無い。

 日本でも、折から来日中のレバノン人教授を迎えて、中東業界人が総結集する集会が開かれた。

 別に期待はしなかったが、下記の「辛口時評060721」に記した理由で参加し、「案の定」、ことの本質を突かぬ内容であり、落胆した。


辛口時評060721
ホロコーストの嘘分からずに議論しても何の役にも立たぬ

 終わりには、会場からの質問も受ける時間が30分ほどあったから、何度も手を挙げたが、ついに差されなかった。

 質問予定の要旨は、イスラエルが悪いことは分かるが、イスラエルという国自体がおかしいことを議論しないのはなぜか。いわゆるユダヤ人の9割はユダヤ教に改宗したカザールであること、ホロコーストは嘘であることを、多くの人が理解しないと、イスラエルの侵略は終わらないと思うが、ということであった。


 またここでもかの嘆きは、「被害報告」の繰り返しである。16年半に及んだ労働争議で、多くの争議とつき合い、指導もしたが、被害報告だけでは、同情の支援を受けることはできても、勝利、解決の展望は開けない。「彼(敵)を知り、己を知る」孫子の兵法の基本を踏まえ、「上兵伐謀」、自体の本質を見抜かなければ、空回りするだけである。

 イスラエルのレバノン侵略は、1982年の繰り返しであるが、ロジェ・ガロディは、この時から、フランスで、シオニストによる言論の抑圧と戦い続けている。


ロジェ・ガロディ著、木村愛二訳
『偽イスラエル政治神話』
第3章:神話の政治的利用
第2節:フランスのイスラエル=シオニスト・ロビー

[中略]

 一九八二年に至るまで、私は、テレヴィ、ラディオ、新聞などの最も大きい報道機関を通じて、自由に意見を発表することができた。

 レバノンへの侵略と虐殺が起きた時には、日刊紙、『ル・モンド』の編集長、ジャック・フォーヴェから、一九八二年六月一七日号に有料で、丸々一頁の意見広告記事を載せる権利を獲得し、ミシェル・ルロング神父、パストゥール・マッチオと一緒に、《レバノンでの虐殺とイスラエルの侵略が意味するもの》と題する見解を発表した。

 われわれは、あの侵略行為が、決して一時的なやり過ぎといったものではなくて、イスラエル国家創建の基礎をなす政治的シオニズムの、内的な論理にもとづく行為なのだということを説明した。

 その後、私は、匿名の手紙と電話で、合計九回の殺しの脅迫を受けた。

 LICRAは、われわれを相手にして、“反ユダヤ宣伝と人種差別の挑発”を理由とする民事訴訟を提起した。

『ル・モンド』の編集長、ジャック・フォーヴェの弁護士は、何度も繰返して、その信仰までも含むユダヤ人社会と、イスラエル国家とを混同するべきではないし、イスラエルがレバノンで行なった不当行為に関しては、マンデス・フランスやナフム・ゴールドマンのような高名なユダヤ人も告発していると主張した。

 われわれ、ミシェル・ルロング神父、パストゥール・マッチオと私自身の弁護は、聖書の原典そのものから発した。われわれは、われわれの生命がユダヤの予言者の誓約の賜物であると、何度も繰返して主張した。

 ところが、政治的シオニズムは、イスラエルの神の代わりに、イスラエル国家を置き換えているのである。

 レバノンに対しての、そしてパレスチナにおけるイスラエルの振舞いは、憎悪を煽り立てるのみであり、世間の目の前でユダヤ教の面目を汚すものである。われわれの政治的シオニズムに対する戦いは、それゆえに、われわれの反ユダヤ主義に対する戦いと不可分なのである。

 [後略]


 レバノン南部への侵略には、この上に、シオニスト国家イスラエルの創設の構想の基本的な条件、水資源の確保という「のっぴきならない」問題が潜んでいるのである。


http://www.jca.apc.org/~altmedka/nise-33.html
『偽イスラエル政治神話』
訳者解説

 [中略]

 第三は、謎というよりは、ゴラン高原などの違法占領の意図をより詳しく指摘し、さらには、知るひとぞ知る類いの現在日本との関係を、明らかにして置きたい問題である。

 一九九六年三月以来、日本は「自衛隊」と称する軍隊を、ゴラン高原に「派遣」と称して出兵している。だが、なぜゴラン高原なのかという議論は、まるで起きていない。

 本訳書では、二四〇頁から二四一頁に引用されている“ユダヤ国民基金”総裁の一九四〇年の発言の最後は、こうなっていた。

「北の方はリタニ川まで、東の方はゴラン高原まで、ほんの少し国境線を広げれば、イスラエルの領土は、それほど狭くはない」

 リタニ川の方は今、イスラエルが占領地に勝手に設定したレバノン南部の「安全保障地帯」に含まれている。ゴラン高原の方は「併合」宣言下にある。ともに連合国総会の非難決議の対象であるが、ダブルスタンダード超大国、アメリカは、何らの行動も起こさないどころか、安全保障理事会では拒否権を行使してイスラエルを援護している。

 ともかく、イスラエルは今、一九四〇年の“ユダヤ国民基金”総裁の発言の通りに、実質的な領土拡大を実現しているのである。なぜ、国際世論を敵に回してまでそうするかと言えば、領土の広さの問題だけではなくて、リタニ川もゴラン高原も、水源地帯だからである

 しかも、この両地帯をイスラエル国家の領土内に確保しようという考えは、一九四〇年どころか、一世紀以上も前からのシオニストの構想だったのである。

 とりあえず最寄りの資料だけを紹介して置く。

 通産省の外郭団体で財団法人の中東経済研究所が発行している『現代中東研究』には、三つの専門論文が載っている。

「ヨルダン川水系に於ける水資源開発と国際水利権紛争について」(9号、91・8)

「イスラエルとパレスチナの水資源」(12号、93・2)

「シリア被占領地ゴラン高原」(13号、93・8)

 国立国会図書館調査立法考査局が発行する『レファレンス』は、折々の国際的な政治課題を予測しながら特集を組んでいるが、そこにも、五三頁にわたる論文が掲載されている。

「中東の水と平和~イスラエル・パレスチナ水資源管理をめぐる対話」(通巻第五三八号、95・11・15)

 シオニストの構想は、まず、周囲のアラブ諸国との力関係から見て、それと十分に対抗できるだけの国民皆兵国家を建設するための人口、約四五〇万人の確保であった。さらには、その人口を養う食料の自給が可能な耕地面積、そこへの灌漑、水資源地帯の確保という順序で、リタニ川とゴラン高原は、重要な戦略的獲得目標に設定された。右の「ヨルダン川水系に於ける水資源開発と国際水利権紛争について」と題する論文では、つぎのように、この経過を要約している。

「一八六七年に早くもパレスチナの開発基金を集めた創世期のシオニストの運動組織は、パレスチナの天然資源を調査するための技術調査団を派遣した。一八七一年の報告書では、ネゲブ砂漠を含むパレスチナは数百万人の人口を移住させる可能性を有し、そのためには北部の豊富な水資源を乾燥した南部へ導水しなければならないことを指摘している」

 シオニストは、一九一七年のバルフォア「意志表示」以前から、国際談合で、この北部の水資源地帯がイギリスの委任統治の範囲に入るように画策したが、それは果たせず、フランスの委任統治地域に入ってしまった。それが現在の国境線にもなっているのである。

 では、なぜ、以上のような歴史的事実を記載する論文が、通産省の外郭団体の雑誌などに載っているかといえば、現在、日本の企業集団が、「イスラエルとパレスチナの水資源」に関して、巨大プロジェクトを売り込み中だからである。

 日本側の売り込みが最初に具体化し始めたのは、チグリス・ユーフラテス両大河の水源でもあるトルコの山岳地帯を出発点とし、クウェイトを終点とするコンクリートのパイプ・ライン計画だった。だが、こちらはトルコの政変で棚上げのままになっている。現在、最も有力とされているのは、地中海から四百米の落差のある死海に海水を導く水路を堀り、その途中に逆浸透膜による浄水化工場を設置する計画である。農業用水確保と同時に、かねてからの懸案の塩工業プラント建設も展望されている。売り文句は「二一世紀プロジェクト」などとなっているが、イスラエル側が日本のODA予算を狙っていることは見え見えである。暗殺されたラビン首相も、その直前、日本に来た。『マルコポーロ』廃刊事件の背景に、外務省だけでなく通産省の圧力を見る向きもある。

 [後略]


 端的に言えば、イスラエルの建国は、最初の構想からして、無理だったのである。