2005年10月28日(2019.8.15分離)
「天気晴朗なれども波高し」、天下分け目の日本海海戦の様相を呈す。
「NHK受信料支払い停止運動の会」から、以下の概略の2005年11月6日(日)の集会案内のメールが届いた。何とも、かんとも、はや、総花的な「プロ市民」総決起の集会である。
■概略版・緊急シンポジウム■■なぜ受信料を払うのか■■
――徹底討論・NHK新生プランを問う――
主催 放送の公共性の〈いま〉を考える全国連絡協議会(放公協)
放送の公共性を構想する研究者会議
日程 2005年11月6日(日)13:00~18:30
場所 東京大学経済学研究科棟
<プログラム>
■12:30 開場
■13:00 開会
司会 野中章弘(アジアプレス)岩崎貞明(メディア総研)
■第1部 「NHK新生プラン」をめぐって
発言者: NHK広報担当(交渉中)、桂敬一(立正大学)、小滝一志(放送を語る会)
■第2部 受信料制度はどうあるべきか
司会 吉見俊哉(東京大学)・吉田俊実(東京工科大学)
発言者:醍醐聰(東京大学)、澤藤統一郎(弁護士)、服部孝章(立教大学)、石川明(元関西学院大学)
会場との討論(60分)
■第3部 政治介入と公共放送
発言者: 原寿雄(元共同通信)、魚住昭(ジャーナリスト)、中野敏男(東京外国語大学)、石井長世(日本ジャーナリスト会議)
会場との討論(60分)
■第4部 私たちが求める公共放送
発言者: 吉岡忍(作家)、大石泰彦(東洋大学)
津田正夫(市民とメディア研究会)、細井明美(支払い停止運動の会)
総括討論
私は、直ちに、以下の返信をした。
木村愛二です。
広報をも熟読。別途、感想を述べますが、なぜ、松田浩さんを論者に立てないのですか。NHKに関する著書が1冊もない学閥、御用学者、桂敬一などは、徹底批判の対象とすべきです。NHK改革案を持たず、人寄せパンダを並べても、時間の無駄というより、むしろ、「百害あって一利なし」です。
私の方には、以下のNHK受信料問題と放送メディアに関する2つの主要な講演会日程がある。
1)ワールド・フォーラム10月例会
日時:2005年10月28日(金)18:30 ~21:00
NHK受信料・放送メディアの歴史と理論・徹底批判
論者:成澤浩(全日本放送受信料労組・書記長)
(司会・問題提起)木村愛二
2)現代史研究会11月例会
日時 2005年11月12日(土)13:00:00~17:00
「公共放送(NHK)のあり方を問う徹底討論」
論者 醍醐聡(東京大)、
今井潤(NHK・OB「放送を語る会」会員)、
成澤浩(全日本放送受信料労組・書記長)、その他、会場発言と討論。
(司会・問題提起)木村愛二
2005年11月6日(日)の集会の方は、以上の当方が「司会・問題提起」をする2つの集会の中間に開かれることになる。
この「辛口時評」の冒頭に、「各党派の争いが激烈化」と記したのは、他でもない。
この問題の発端のNHK「従軍慰安婦」番組「政治介入」騒ぎの背後には、以下の亜空間通信で指摘したごとき、「思い違い平和主義」の「悲喜劇」が潜んでいるからである。
http://www.jca.apc.org/~altmedka/2003aku/aku968.html
http://www.asyura2.com/0502/senkyo8/msg/699.html
『亜空間通信』968号(2005/02/13)
【NHK「従軍慰安婦」番組改変騒動は思い違い平和主義こと平和売人が憎悪商人となる悲喜劇の象徴】
[中略]
シリーズの第3回、副題「いまも続く戦時性暴力」には、「旧ユーゴ」の「被害者」の「証言」が登場するのである。
この問題点を知っているのは、私だけではない。女性国際戦犯法廷の成り立ちに関しては、1990年代のユーゴ戦争の初期から、「ユーゴの子供を救う会」などの市民運動にかかわってきた日本の市民が、発足当初から疑問を呈していた。その疑問の集中点は、4回シリーズの第3回、副題「いまも続く戦時性暴力」の位置付けにある。
NHKサービスセンター発行の『ウイークリーステラ』2001年2月2日号では、第3回に関して、以下の解説をしている。
「去年12月に開かれた女性国際戦犯法廷で戦時性暴力に関する国際公聴会が開かれ、旧ユーゴ、ソマリア、グアテマラ、東チモールなどで被害者となった人々が証言した」
いわゆるユーゴ戦争は、10年間も続いた。1990年のクロアチア独立戦争、1992年から1994年のボスニア・ヘルツェゴビナ分割戦争、1999年のセルビア戦争の3度にわたり、旧ユーゴスラビア共和国を崩壊させた。
この間、イスラム教徒が沢山いたボスニアで、セルビア兵がイスラム教徒の女性を、3万人とか10人とか強姦したと称するデマ宣伝が流されたのである。
現在、旧ユーゴ連邦共和国の大統領、ミロシビッチは、オランダのハーグに強制連行されて、戦犯として裁かれている。私は、この裁判を、ユーゴ・リンチ裁判と呼んでいる。このリンチ裁判の進行状況にに並行して、10年以上も前の一方的なデマ宣伝が、日本の公共放送、NHKで繰り返されたのである。この一方的な観点のみからの放送は、放送法違反も甚だしいのである。
以上の問題点を指摘した上で、念のために、再び言う。
この番組改変騒動は、思い違いの激しい平和主義者こと、平和売人が、憎悪商人となる悲喜劇の象徴だったのである。
「2005年11月6日(日)の集会」のキーパーソンは、集会の最後に「市民」として発言する予定の「細井明美(支払い停止運動の会)」である。
以下が、「細井明美」の電網(インターネット)検索結果の要約である。
http://www.arsvi.com/0i/004001.htm
細井明美さんプロフィール:
1950年東京生まれ。高校時代にベトナム反戦運動に出会い、以後いろいろな市民運動に関わる。NGOとして北京世界女性会議、国連子どもの権利委員会に参加。1996年よりフリージャーナリスト松井やよりのアシスタントになり、2002年12月逝去するまで傍らで働く。2002年、アフガニスタンへ医療支援および空爆被害調査のために2回訪問。2003年6月医療支援のためのイラク訪問に続き10月子どもたちへの支援のために再度イラクを訪問。また、2003年2月からイラク戦争に反対するために毎週土曜日、新宿西口地下広場で反戦スタンディングを行なう。2003年12月、イラクの24歳の女性のサイト「バグダードバーニング」を女性7人で日本語に翻訳して占領軍下のイラクを紹介。2004年1月イラクの子どもたちを支援するNGOを立ち上げる。現在、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NETジャパン)所属、女たちの戦争と平和人権基金理事、イラク子ども健康基金共同代表。
(ホームページ:http://www.d7.dion.ne.jp/~anneh/
細井明美のページ
アウシュビッツ・ベトナム・アフガンそしてイラク(女性の視点から)
つまり、「細井明美(支払い停止運動の会)」は、今は故人の元・朝日新聞記者、「女性国際戦争犯罪法廷」の仕掛け人、「松井やより」の遺志を継ぐ「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NETジャパン)の主力なのである。朝日新聞が長期のキャンペーンを張った「女性国際戦争犯罪法廷」の延長戦が、今「朝日vs.NHK・自民党」の紛争、裁判沙汰として続いている。「VAWW-NETジャパン」は、この紛争を、「放送の公共性」の問題として、総花的な「プロ市民」総決起の集会にまで仕立て上げているのである。
しかし、その根本が狂っているのである。当然、右、左、諸党派が入り乱れる「綱引き」、「陣取り合戦」の様相を深めることになり、「NHK改革」は、二の次となる。
私は、好むと好まざるとにかかわらず、この総花的な「プロ市民」総決起の集会に、対抗せざるを得ない。
その際、「論者」として、「成澤浩(全日本放送受信料労組・書記長)」を確保しているのが、当方の最大の強みである。
当方は、「ワールドフォーラム10/28レジュメ」の最初に、「NHK・放送メディアに関する主要な経過」として、以下を指摘した。
2004年7月 NHK紅白チーフプロ醜聞を『週刊文春』が特集
2004年12月:日本テレビの読売新聞持ち株名義貸し暴露
2005年11月6日(日)の総花的な「プロ市民」総決起の集会とは、基本的な観点が違うのである。
NHK受信料日払いの激増、約1千万件の「未契約」の判明、併せて1千3百万件の実情は、「紅白チーフプロ醜聞」に発しているのである。いわゆる「従軍慰安婦」番組「政治介入」の騒ぎは、その翌年の1月からである。