『亜空間通信』370号(2002/09/13) 阿修羅投稿を02.12再録

アメリカの足元からの叛逆の狼煙の痛烈漫画本『戦争中毒』vs新世界秩序構想

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『亜空間通信』370号(2002/09/13)
【アメリカの足元からの叛逆の狼煙の痛烈漫画本『戦争中毒』vs新世界秩序構想】

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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

 本日(2002/09/13)は早寝して、明日(2002/09/13)、以下の痛烈漫画本『戦争中毒』の宣伝をしようかと予定していたところへ、阿修羅戦争45掲示板に、見逃しがたい共同通信記事の投稿があった。そこで、両者を結び付けて、一言しないと気が済まなくなった。

 まずは、以下、痛烈漫画本『戦争中毒』の勝手連、我田引水宣伝である。

 痛烈なアメリカ帝国批判に満ちた歴史資料満載の珍しい漫画本がメリカから飛来

 本年、2002年の8月末、1年前の昨年の9月、911事件発生以来の粒々辛苦の新著、『911事件の真相と背景』の仕上げに掛かる折りも折り、昔なら、まさに天佑神助とも言うべき好個の材料が、アメリカから飛んできた。ADDICTED to WARと題する漫画本である。

 その日本語版は今、10月10日発売を期して準備中と聞くが、日本語版の訳題は『戦争中毒』である。本文は62頁でA4版。表紙のカラー漫画の主人公はブッシュ大統領。爆撃機、ミサイル、戦闘ヘリコプター、戦車、軍艦を、両手一杯に持てるだけ抱え込み、真っ赤な顔で、大粒の汗を、ぽたぽた垂らしている。ワイシャツの袖のカフスボタンは「ドル」印、軍艦の砲塔には「核」印ときたもんだ!

 奥付を読めば、漫画を描いた人の名前はラテン系風のジョエル・アンドレアスで、資料提供の協力者が何人もいて、アメリカとイギリスにまたがる出版社が、カナダで印刷していることが分かる。巻末には漫画には珍しい2頁にわたる資料リストがある。

 いわば名うてのアングロサクソン3兄弟国家の足元からの諸民族の叛逆の狼煙である。内容を紹介すればきりがないが、「アメリカ帝国の」拡大侵略の歴史への批判である。

 アメリカは建国以来、当初の13州から侵略に継ぐ侵略で拡大を続け、史上空前の世界帝国にのし上がった。憲法では、議会に宣戦布告、大統領に戦争遂行と、わざわざ権限を分割しているのに、アメリカ史上200を超える海外派兵のうち、派兵以前に議会が宣戦布告したのは5回のみなのである。『911事件の真相と背景』「第11章:なぜアメリカとイスラエルだけが何をしても「許される」のか(その2)」で展開する私の主張と、ほぼ同じ考え方なのである。

 で、次が見逃しがたい掲示板投稿である。

http://www.asyura.com/2002/war15/msg/670.html
国家主権を侵す世界新秩序を模索 イラク攻撃検討で米政権 投稿者 倉田佳典 日時 2002 年 9 月 12 日 20:54:32:

09/11 21:37 国家主権を侵す新秩序模索 イラク攻撃検討で米政権 外信124

【ニューヨーク10日共同】

 中枢同時テロは米国の内政、外交の在り方を一変させた。「テロ対策がすべての課題に最優先する」(ブッシュ大統領)方針の下、米政権は内政ではテロ防止を目指して職員十七万人を抱える巨大官庁「国土安全保障省」の創設を決め、外交では対テロ戦を軸に新たな世界秩序の形成を進めている。

 テロ後一年を経てブッシュ政権は、国家主権尊重の原則を打ち立てたウェストファリア条約(一六四八年)以降の国際秩序を根底から崩す「革命的政策」(キッシンジャー元国務長官)と呼ばれる「イラクへの先制攻撃」への道を踏み出している。

 対イラク攻撃を懸念する国際世論など内外の不安を引きずったまま、ブッシュ政権の「テロとの戦い」は先の見えない新たな領域へ進もうとしている。

 ブッシュ政権はこの一年間で、アフガニスタンのタリバン政権を崩壊させ、中央アジアに米軍基地を設置。さらにロシアを西側陣営に取り込んだ。対テロ戦の「御旗」の下、「一方的外交」と批判された米国の単独行動は一時影を潜め、国際協調の枠組みが構築された。これが結果的に米国の「一極支配体制」を強化した。

 しかし、米政権の行動は「『国際協調重視』から『一方的外交』への回帰傾向が顕著になり始めている」(ジョージタウン大のベネット助教授)。

 ブッシュ政権は脅威を与える国などへの「先制攻撃」や「政権転覆」を辞さない新たな方針を打ち出し、大量破壊兵器の脅威を理由にイラク攻撃の可能性を公言している。

 一方、国内では多くの米国民は個人的自由を規制する捜査手続きなど、政府による強力なテロ対策を支持している。しかし全米を不安に陥れた炭疽(たんそ)菌事件の解決のめどがたたないなどテロ対策は十分な成果を挙げておらず、新たなテロの懸念は消えていないのが実情だ。

(了)  020911 2136
[2002-09-11-21:37]

 以上で引用終わり。

 で、ブッシュ親の湾岸戦争時の宣言、「新世界秩序」と、それ以前のイラン・イラク戦争の仕掛け人、ユダヤ人の元国務長官、キッシンジャの「革命的政策」などと聞けば、わが心は穏やかではなくなる。今や故人の漫才師、花菱あちゃこの決まり文句、「無茶苦茶でござりますがな」が、脳の隅から飛び出してくる。そこで、上記の「ウェストファリア条約(一六四八年)の簡潔な説明を電網検索し、以下、転載する。

http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/1751/west1.html

 三〇年戦争に最終的なけりをつけたのが、よく知られている一六四八年のウェストファリア条約である。

http://www.mskj.or.jp/getsurei/kobayasik9908.html

1)はじめに ―主権国家の成立―

 一六四八年、メッテルニヒ主導によって結ばれたウェストファリア条約が、主権国家成立の起源と言われている。従来のローマ教皇を頂点とした世界秩序が宗教革命によって崩壊し、ドイツ三〇年戦争をはじめとしてヨーロッパ諸国は混乱の極に達した。諸侯達はそれぞれの信じるカトリックないしはプロテスタントという宗教の正当性を争い、相闘った。宗教戦争のはじまりである。宗教という、自らの信じる価値を賭けた争いであったために、戦いは凄惨なものとならざるをえなかった。この混乱の結果、中世カトリックによる一元的な世界秩序に代わる秩序維持の装置として登場したのが、主権国家である。従来は、真理はひとつであると考えられており、カトリックないしはプロテスタントのどちらか一つが、あらゆる国々において信奉されなければならないことは自明のこととされていた。

 そして、そのための宗教戦争であった。それが長年の戦乱の末、各主権国家単位での宗教の自由がみとめられるようになった。こうして、中世の一元的な秩序に代わり、新たな近代主権国家間の多元的な秩序が構築された。

2)国際法における主権国家

 従来の国際法に従えば、この新たに登場した近代主権国家は、それぞれが唯一・絶対・不可分の主権を有するとされてきた。

 つまり、それぞれの主権国家は何をしてもよい、そして何でもできるということが、近代国際法の前提となっている。ホッブズ的にいうのであれば、近代主権国家という秩序維持装置は、「万人の万人に対する闘争」という自然状態に、一国領域内で秩序をもたらした反面、主権国家間の関係は、まさに「各国の各国に対する闘争」という自然状態に陥ったということができよう。一般に国際法の分野に最初に主権概念を持ち込んだのはボーダンといわれている。田畑はボーダンを引きつつ以下のように述べている。

 彼(ボーダン;引用者注)が国家権力をもって最高のものとしたのは、地上の他のいかなる権力にも従属しないという意味、具体的には、ローマ法王や神聖ローマ皇帝の権力に従属しないという意味で(あった)。

3)憲法における主権国家

 一方、憲法学において主権国家概念がもっとも発達したのは、ドイツであった。ドイツ憲法学においては、唯一・絶対・不可分という国家主権概念の本格的な登場は、一九世紀末の憲法学者であるゲルバーとラーバントに負うところが大きい。ゲルバーとラーバントは、サン・シモンやコント、そしてマッハーらによる実証主義の概念を法律学にも導入した。つまり、従来の法律学から形而上学的な事柄を排除し、実証的・科学的な事柄のみによる法律学の形成を目指した。この結果成立したのが、実証主義法学である。ラーバントは、この実証主義法学に依拠しつつ、私法における自然人の権利が絶対・不可分であることから類推する形で、公法における国家主権も絶対・不可分であるということを導き出している。

 以上で引用終わり。

 ところが、冒頭に紹介したアメリカ製の痛烈漫画本には、上記のキッシンジャの「革命的政策」や「新世界秩序」を促すようなアメリカの主要財界人の発言が、実に簡潔に収録されているのである。

 時は1946年、すなわち、第1次世界大戦でアメリカが大勝を収めた直後のこと、アメリカの財閥の主流の石油マフィアのそのまた中心、スンダード石油(現エクソン)の重役、レオ・ウェルチは、「われわれは歩調を合わせて、世界という名で知られる会社の中での主要株主の責任を引き継がなくてはならない」と語っていたのである。その「会社」こそが今、諸国家の「革命的」解体と「新世界秩序」推進の原動力になっているのである。

 以上。


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