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『亜空間通信』306号(2002/07/18)
【80歳前後の2人は旧知で1人は未知の歴史碩学3人の911「テロ」巡る電網鼎談】
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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!
いよいよ明日(2002/07/19)は、私自身の「911事件の真相と背景」講演(以下の電網宝庫参照)の日である。
http://www.asyura.com/2002/war12/msg/721.html
『亜空間通信』266号(2002/06/04)
【7月19日に日程を繰り上げ講演「「米911事件の真相と米国・イスラエル謀略の背景」】
ところが、予想通りの混乱をきわめる事態の進展で、新情報も次々に入るし、911本出版に向けての資料整理に追われて、講演のメモの準備もできない。ああ、出てくる、出てくる、ああ、疑惑情報に、ああ、混乱を極める著名人の論評の類が、ああ、溢れ出てきて、わが論評の発表の順序を決めるのにも迷いっぱなし、ほとほと困り切っていたところへ、何と、「まさに窮すれば通ず」の諺通りの「めでたし!」「めでたし!」の当面の切り抜け可能となった。
「通ず」の秘訣は電網検索であった。しかし、まずは、私が勝手に編集した「911鼎談」に、ご登場を願う「80歳前後の2人は旧知で1人は未知の歴史碩学3人」のことを、先に紹介する。「3人寄れば文殊の知恵」なのかもしれない。
板垣さんとは、湾岸報道に関わって以来、数回会っている。
三木さんとは、911直後に、市民運動「現代史研究会」の講演を聞き、懇親会からその二次会と親しく会話の機会を得た。以上の2人は旧知である。
未知の方だが、名前は聞いたことがある。電網検索すると、その電網宝庫の紹介に、以下のように記されていた。
「80歳になられる歴史学者吉田悟郎さん」
以上の3人は、いずれも80歳前後の年齢で、いずれも歴史、特に中東史などに関わってきた。お互いに戦後日本の混乱期以来の友人の関係と理解する。
板垣さんについては、911事件後、以下の通信に簡略に記した。
『亜空間通信』18号(2001.09.28)
【「報復」の本音は中央アジアの制圧で具体的にはカスピ海石油にあり】
[中略]
本日、四ッ谷の主婦会館での緊急講演集会で、旧知の中東史の専門家、東大名誉教授の板垣雄三さんが、今回のアメリカの動きには「中央アジアの制圧」の狙いを見ると語られましたが、私は早くから具体的にカスピ海周辺の石油資源が争奪の的であり、それを運び出すパイプラインの経路の制圧と見るべきだと主張してきました。[後略]
この上記の集会で、板垣さんは、非常に慎重な言い回しで、サウジアラビアの大手紙、オカーズが「ユダヤ人4000名がWTCにいなかった」旨を報じたと語り、「ユダヤ陰謀説と言われるだろうが」と断った。つまり、断言こそしないが、その可能性への疑いをほのめかしたのである。
ところが、資料の新聞切り抜きを整理して見ると、ところが、ところが、となってしまった。それ以前に板垣さんは、以下の寄稿をしていたのである。ここでは、「ハイジャックした旅客機を乗客もろともビルに激突させる行為」を批判し、犯人が「イスラム原理主義」の関係者であるかのような具体的な表現をしているのである。
『朝日新聞』(2001.09.20)
opinion@newsproject
私の視点
◆同時テロ
日本はイスラムとの仲立ちを板垣雄三(いたがき ゆうぞう)
東京大学名誉教授(中東・イスラム研究)アメリカで起きた同時多発テロに日本はどう対処するか、日本の文明戦略が問われれている。報復が報復を呼び、巻き添えを食う市民の不条理な死がさらに拡大する悪循環を断ち切らねばならない。欧米対イスラムの文明衝突の戦争を煽るような動きは、厳に戒めるベきである。日本でも、イスラム教徒への嫌がらせや差別が出始めている。
イスラムは、宗教や文化の異なる多様な人々が共生し取引する「都市」を生きる生き方を教えてきた。このイスラムの多元主義的普遍主義に対して、欧米は、欧米対イスラムの二項対立にこだわりイスラムを敵と決めつける文明衝突論の伝統を抱えてきた。
イスラム原理主義はイスラムの本道を逸脱し、その対欧米対決主義の二分法は欧米オリエンタリズムの裏返しでしかない。ハイジヤックした旅客機を乗客もろともビルに激突させる行為は、悪と戦う善は目的に照らして手段を正当化できるという思想に立っている。ブッシユ大統領がこのテロとの戦いを善が悪に対してくだす懲罰と説明しつつも、欧米に根強いイスラム敵視を戒め、イスラム諸国にテロとの戦いでの協同をつよく期待しているのは、「新しい戦争」の大事な特徴である。
ここで日本の役割が浮上する。イスラム世界の日本に対するまなざしは、これまで親愛と期待に充ちたものであつた。日本の近隣の国々は歴史の記憶の苦々しさを隠すことができない。しかし広くイスラム世界の人々にとっては、日本は片思いを寄せる恋人であり模範でもあった。欧米のメガネを借りた日本人のイスラム観が、しばしばこれを裏切るものだったとしても。アラブ諸国の小学校教科書に載ったハーフィズ・イブラヒムの日本をたたえる詩を暗唱できる人は多い。広島・長崎の悲劇はイスラム世界が蒙った屈辱と災厄に通じると感じている人も少なくない。
日本人は、日本の経済の繁栄の土台である化石燃料が、あたかも自動的にもたらされたもののように勘違いしてきた。日本社会は、ィスラム世界の庶民とその政府の熱いまなざしと心情が日本にとつてかけがえのない資産なのだということに、今こそ気づかなければならない。
イスラム文明は近代欧米文明の源泉である。日本の知識人がイスラムへの無知を口にするのは、実はよく知っていると思っている欧米への無知を告白しているにすぎないのである。
世界人類を巻き込む現在の危機において、日本は日本独自の役割を演じなければならない。イスラム原埋主義を批判し、「多元的な都市」を生きるイスラム文明の本来のメッセージを評価して、イスラム世界と文明的協力を進める決意を明らかにすべきなのだ。
日本の発信は、国際テロ包囲網の形成に向かって、中国・ロシアをも含むイスラム世界の協力を必須のものとしている米国を最も強力に助けるものだ。日本の呼びかけは、イスラム世界にとって、不信をぬぐえない欧米からの呼びかけとは全く違う効果を発揮するからである。
25年には世界人口の3分の1をイスラムが占めると予測されている。昨年春、イスラム研究会を創設し、今年1月、知識人ネットワークなど日本・イスラム世界の文明間対話を提起していた日本外交は、既に今日あることに備えていた。
日本は、米国のえんま帳の成績を気にする点取り虫をやめ、今こそ国際社会から尊敬される文明戦略を正面から提示すべきである。
以上で引用終わり。
以上の長文をスキャナーで読み込み、校正し、さてさて、困ったことになったな、と、頭を抱え込みこそしないが、思案投げ首の数日を経て、よし、もう1人の旧知の歴史碩学、三木亘さんの911直後の話と一緒に並べて、論評は避け、ともかく紹介してしまおうと思い立った。
冒頭に記したように、三木さんとは、911直後に、市民運動「現代史研究会」の講演を聞き、懇親会から、その二次会まで付き合って親しく会話の機会を得たが、その時、私が「謀略説をどう思うか」と質問したら、最初は言下に否定した。しかし、興味は持っているようだった。
「三木亘」を検索したら、以下が出てきた。
http://members.jcom.home.ne.jp/lerrmondream/9.11terro.htm
2002.09.11テロを考える12月3日
12月1日、青山学院高等部で近現代史教育研究会の例会があり、久しぶりに畏友、三木亘さんの面白い話を聞いた。詳細はさておき、事前に三木さんが会によこした彼の報告の内容趣旨めいた文章があり、面白いのでここにその文章を紹介させていただく。テーマ 「9月11日のことをめぐって」
世界は裏返りつつあるのをわたしたちは目前にしている。
近代西欧文明なるもの、その最後の担い手であるアメリカ文明が
わたしたちの目前で滅びつつある。
ということは、ここ数十年無視されてきた世界中のごく普通の人々の姿が、
いま、わたしたちの前に立ち現れつつあるということだ。
そのことの歴史的意味を考えてみたい。(三木亘・記)三木亘さんは、話の始めに、自分の話したいことは、かいつまんで言えば、次ぎの数行につきる、といい、『情況』第三期第二巻第十号に書いた、文明が滅びるとき、という彼の文章の冒頭部分と結論部分を読み上げた。その箇所をここに引用しておく。
<歴史はその展開によって自己を開示する、とは、これまでの人生で何度も経験してきたことですが、九月十一日以後のいま、その最大のもの、地球規模の過程がわたしたちの目の前に進行しつつあります。パレスチナと、そして希望的にはキューバとを軸として、世界が裏返りはじめており、それによってアメリカ文明が世界中のごくふつうの人びとの前に、見世物としてさらされはじめたのです。アメリカ文明は土建文明であるのと同時にすぐれて見世物文明で、これまでハリウッド映画やラスヴェガス、ディズニーランドばかりでなく、二十を超える国ぐにへの無差別爆撃(北沢洋子さんの勘定です)などをもプロデュースしてきましたが、このたびは、自身が見世物としてグローバルな人びとの目にさらされるようになったのです。西谷修さんはこの現象を「メディア・ジャック」と呼んでいますが、そのおかげで日本のメディアも、これまでまるでアメリカが世界そのものであるかのような情報しか流さなかったのが、真にグローバルなニュースを流すようになりはじめました。神奈川新聞と朝日新聞とテレビだけの情報源で本稿を書けるようになったのは、そのおかげです。・・・・・・・・><以前、ソ連文明が一朝に消え去ったとき、すでに感じたことですが、民族や国境を超えた文明というものはハードウェアーではなく、ソフトウェアーなんですね。人びとが文明と感じているから文明でありうる、そういうもので、従って、文明の普遍性を支えている自律が失われれば、たちまち人びとはそれを文明とは感じなくなり、その文明は滅びてゆくわけです。西谷修さんは、パレスチナ問題ではなく、イスラエル問題があるのだと言っていますが、まったく同様に、いま、アメリカ文明は滅びて、アメリカ問題が世界中の人びとにその解決を迫り始めたのです。[後略]
「吉田悟郎」さんは、未知なので、電網検索すると、以下の紹介があった。
80歳になられる歴史学者吉田悟郎さんの人生がいっぱいつまってます。
その電網宝庫の最初の頁は、以下である。
http://members.jcom.home.ne.jp/lerrmondream/index.html
ブナ林便り Since 2001/04
ようこそブナ林便りへ! 吉田悟郎のホームページです
さて、私製の電網鼎談の最後は、この「吉田悟郎のホームページ」の続きである。
[前略]
4月6日
もう一つ、通説を覆して歴史の扉を開くような「新しい解釈」に出会いました。それは昨年9月11日の米同時多発テロについてのものであり、田中宇『仕組まれた9.11-アメリカは戦争を欲していた』(PHP)という本で述べられています。
実は、田中さんにもボストンで2度ほどお会いしました。一緒にハーバード大学で開かれたセミナーに出たこともあります。
田中さんはインターネットで国際ニュース解説を配信しており、この本はこれまでに書かれた内容をまとめたものです。私は本になる前から彼の議論に注目しており、今回、本になってからも直ぐに買い求めて一読しました。
本書で主張されている田中さんの結論は、「アメリカ政府の上層部にとって、9.11事件は『奇襲』ではなかった可能性が大きい」「アメリカ政府の上層部は、9月11日に大規模なテロ事件が起きると知りつつ意図的に放置したか、もしくはテロ事件の計画そのものに関与していたと考えた方が無理がない」(194頁)というものであり、「大統領府による独裁政治が可能になる有事体制を作り出すために9.11が誘発された」(203頁)というのが、9.11同時テロに対する田中さんの「解釈」です。
このような解釈が下される根拠としては、以下のような事実が述べられています。
*マイク・ルパートというアメリカのジャーナリストによると、「2001年6月にはドイツの情報機関BNDがアメリカでのテロ計画を察知して米当局に通告し、9月の事件発生直前には、イランとロシアの情報機関などが米当局に対して警告を発している」(46~47頁)こと
*軍関係の投資金融会社を通じてブッシュ一族とビンラデイン一族が「疑惑のつながり」を持っていること(58頁)
*「昨年7月、ビンラディンがUAEの町ドバイのアメリカン病院に入院し、CIAのエージェントがお見舞いに訪れた」こと(76頁)
*連邦議会下院の弾劾司法委員会の主席顧問を務めるシッパーズ弁護士が、「9.11事件が起きる2カ月前の2001年7月、ミネソタ州とシカゴのFBI捜査員から……『ローマンハッタンを狙ったテロ攻撃が計画されている』と連絡が入った」(111頁)、「事件発生の1カ月前の段階で、すでに9月11日という日付も分かっていたし、実行犯の一部については名前も分かっていた」(112頁)などと証言していること
*「有事体制」下における「影の政府」ともいうべき「政府機関の避難用の地下施設は、マウント・ウェザーのほかアメリカ東海岸の山中に96カ所作られている。マウント・ウェザーは大統領とホワイトハウスのスタッフ用で、そのほかたとえば国防総省はペンシルベニア州のラベン・ロックという場所に、ワシントンのペンタゴンが使えなくなった場合に備えた地下施設を持っている」(199頁)こと
これ以外にも、本書には驚くべき事実が沢山紹介されています。詳しくは、是非本書を手にとってご覧下さい。一読して、ビックリされることは請け合いです。
田中さんも指摘されているように、9.11同時テロはしばしば真珠湾攻撃にたとえられます。ルーズベルト大統領は日本軍の攻撃を事前に知りながら、戦争参加へと国論を統一するためにあえて「奇襲」を放置しました。
もし、これと同じことをブッシュ大統領もやったというのであれば、この点でも9.11同時テロは第2の「真珠湾攻撃」だったということになるでしょう。そしてもしそうなら、特定の政治目的のために多くの将兵や民間人の命を見殺しにしたルーズベルト大統領と同様の罪を、ブッシュ大統領もまた負わなければならないということになります。>
今日のシャロン政権によるイスラエル軍のパレスチナ自治区侵攻。再占領と破壊と殺戮は、明らかに9.11テロと報復戦争が「はずみ」をつけたといえよう。シャロン政権の暴挙は、9.11テロとブッシュ政権の対『テロ』撲滅世界戦争の開始がきっかけというか、支えになっている。
以上で引用終わり。
つまり、911以後、半年以上を経て、この私製の電網鼎談の3人の内の1人が、かなり詳しい謀略説の存在を紹介するに至ったのである。この3人は、自称「凶状持ち」の私が食い込めないどころか、後ろ指を指されっ放しのアカデミー業界にも、マスコミ業界にも、睨みが効く「関八州の大親分」格だから、これは、いよいよ、面白くなったのである。
ありていに白状すれば、いかな「凶状持ち」の私と言えども、これ以上、「敵を増やす」のは、ちと、しんどいな、と思っていたのである。この3人は敵に回さずに、911論争の合議の裁判官に見てれば、気楽になるし、もっと面白くなるであろう。
以上。