『亜空間通信』737号(2004/02/18) 阿修羅投稿を再録

「取ろう取ろうは取られのもと」イラク問題の方針を急遽転換しカウンターパンチの激を飛ばす

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『亜空間通信』737号(2004/02/18)
【「取ろう取ろうは取られのもと」イラク問題の方針を急遽転換しカウンターパンチの激を飛ばす】

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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!

 本通信の主旨の「カウンターパンチ」の方針転換に至る「全国一斉差止訴訟」、北海道では「自衛隊イラク派兵差止北海道訴訟」の情報を得たのは、以下の本通信の後段に収録した電子記録が示すように、本日から数えて、すでに22日前、本年、2004年1月26日のことであった。その直後の1月30日に、私は、緊急出版『外交官惨殺事件の真相と背景』を参加者全員に配布するワールドフォーラム1月例会を控えており、その後も、関連の日程が続いたので、本通信で「激を飛ばす」のが、かなり遅れた。

 それでも、その間、阿修羅戦争掲示板への投稿や、口頭での働きかけは、随時、随所でした。

「取ろう取ろうは取られのもと」は、囲碁の法則の故知、諺である。相手の大石を囲んで取ろうとすると、無理が生じて、事態が逆転するという意味である。

 囲碁は古来、戦略的思考の訓練の遊技である。取ろうとする方の手に無理が重なると、石の囲みの垣根が食い破られて、囲んでいた積もりの相手の方から、囲まれる形に逆転し、取られてしまうのである。

「大石は死なず」とも言う。

 ボクシングの例で言えば、ロープ際に追いつめられた方が、顎の上がった相手に下からカウンターパンチを食らわす逆転の局面である。

 ブッシュ・小泉の自衛隊イラク「派遣」は、違法性が濃厚である。桁外れである。大きく分けると、もともと憲法違反の自衛隊を、憲法違反の自衛隊法にすら違反する戦闘地域に「派遣」することになっており、その上さらに、日本の戦後の外交の基本政策、国連外交までも無視しているのだから、三重の無理の積み重ねがある。

 しかし、このような局面の咄嗟の判断で、機を見て切り返すためは、常に、全局面を睨む眼力がなければならず、状況の変化を見て、即座に方針を変更する機敏な論理的分析力が問われる。いわば、単純な算術計算ではなく、高等数学の応用問題である。

「派遣」か「派兵」かの言葉の「綾」の問題は、本日早朝の以下の通信で述べた。

---------- 引用ここから ----------
http://www.jca.apc.org/~altmedka/2003aku/aku736.html
『亜空間通信』736号(2004/02/18)
【自衛隊イラク「派兵」か「派遣」か言葉の意味の戦争の低次元混迷を一喝し錦の御旗「国連」強調】

[中略]
 カンプチアの場合は、平和維持「軍」への派遣なのに、反対派は、「派遣反対」と言っていた。私は、「派兵」よりも強い「出兵」に反対と言った。

 ゴラン高原でも「軍」として活動しているのに。違憲訴訟を起こす仲間は、どんどん減っていった。

 この程度の「良い子」振り市民運動、票稼ぎ政治屋稼業では、総崩れは当然になる。

ところが、突如、元自民党閣僚の箕輪氏が、差し止め訴訟というので、「左翼」が慌てているのだから、実に面白いのである。
---------- 引用ここまで ----------

「わがイラク問題方針を当面変更」し、訴訟の提起に向かう決定的な契機について記すと、阿修羅戦争47掲示板に、1月26日に出現した以下の投稿である。
(読みやすくするために、自動的に付く引用の記号、「>」を削除し、句読点と改行を追加する)

---------- 引用ここから ----------
「さらば外務省」天木直人氏、小泉首相を憲法違反で訴追参加の意向
http://www.asyura2.com/0401/war47/msg/194.html
投稿者 なるほど 日時 2004 年 1 月 26 日 22:16:04:dfhdU2/i2Qkk2
[中略]
 小林様 一つ相談があります。

 昨日北海道の紋別市に講演に言ったとき、もと自民党の右派政治家箕輪登というも政治家が、小泉首相を憲法違反で訴追するという強い意向を示し、それに小池市長も参加し、北海道の有志100人の弁護士を募って裁判に持ち込むという動きが、月末にも実現するという話を聞きました。

 私も、共同原告側に参加しようと思っています。いくらデモや言論で小泉の批判をしても、自衛隊の派遣や改憲の動きを止められない現状にあって、この動きは、場合によっては大きな影響力をもつと期待します。

 私は、裁判官の中にも、かつての砂川訴訟や長沼訴訟のように、統治行為論に逃げることなく真面目に取り組む者が出てくるのではないかと思います。

 誰が見ても違憲、違法な為政者の暴挙を、訴訟という形で裁く事こそが、法治国家のなすべきことであり、卑しくも憲法学者や法学者であれば、これを黙認する事は学者の良心が許さないでしょう。

  私は次の二つのことを考えています。

1.全国の平和団体に呼びかけ、その地域の弁護士を募って、同時並行的に、全国で小泉首相訴追の動きを広めていく、そして、一人でも多くの裁判官の反乱を呼びかける。

2.アルジャジーラに連絡し、日本国内のこの動きを、世界に報道してもらう。

そしてとくにアラブの民には、日本の為政者は米国追従で、イラク攻撃と占領を支持したが、国民はアラブの味方であり、間違いを犯した日本の為政者を裁き、場合によっては更迭させることに挑戦していることを知ってもらう。

場合によっては、以上の動きが小泉首相の思い上がった愚挙を掣肘することになるかもしれません。ご意見をお聞かせください。天木

[後略]
---------- 引用ここまで ----------

 この4日後の1月30日に私は、ワールド・フォーラム1月例会の参加者全員、120名に、完成したばかりの拙著、緊急出版『外交官惨殺事件の真相と背景』を配布し、特別講演の講師、上記の投稿者、天木直人・前レバノン大使と、マッド天野氏を加えて後半で鼎談したのである。

 さらに私は、その6日後(2004/02/05)、弁護士その他の司法関係者の組織、自由法曹団の呼び掛けによる明治公園の集会から防衛庁までのデモ行進に参加した。自由法曹団の現団長は、わが日本テレビ放送網株式会社相手の16年半の不当解雇撤回闘争の弁護団の長老、坂本修弁護士である。

 明治公園では拙著の宣伝チラシを撒き、携帯組み立て式木村書店で、拙著を販売した。

 時刻は午後6時を過ぎていたから、暗くなり、集会の盛り上げの音楽の音が大きすぎて、販売の条件は最悪だったが、それでも、多くの旧知の司法関係者が、向こうから「木村さんですね」と声を掛けてきて、「昔、木村さんの本を買った。『最高裁長官殺人事件』は面白かった」などと、口々に言いながら、かなりの数の拙著、特に、1月30日に発行したばかりの緊急出版『外交官惨殺事件の真相と背景』を買ってくれた。

 私は、本を売るよりも、旧知の弁護士などと話す方に、多くの時間を費やした。その時すでに、以下の投稿の主旨を訴えた。

---------- 引用ここから ----------
自衛隊イラク派遣差し止め訴訟に小異を捨て大同につく全国都道府県一斉大量訴訟提起へ
http://www.asyura2.com/0401/war47/msg/760.html
投稿者 木村愛二 日時 2004 年 2 月 07 日 09:06:01:CjMHiEP28ibKM

この提唱に至る詳しい経過と意見は別途、亜空間通信を発する予定である。

概略、北海道の元自民党閣僚、箕輪氏の率先に、天木氏も賛同された状況を受け、広く緊急提案する。

様々なお粗末も含め、危険この上ない状況なので、当面、憲法にも自衛隊法にも違反する暴挙として、小異を捨て大同につく訴訟の必要性、有効性を、断言する。

湾岸戦争の献金の違憲訴訟(東京地裁大法廷での3時間のわが原告証言は、拙著、『イラク「戦争」は何だったのか?』に再録)、カンプチア、ゴラン高原(軍として継続派遣)の訴訟原告団などの経験を踏まえ、未曾有の大量原告による訴訟の連合結成を提唱する。
---------- 引用ここまで ----------

 以下は、関係者への電子手紙の一部の改訂版である。

---------- 引用ここから ----------
私は、1月30日のワールドフォーラムの常連講師として、昨年末、主宰者と相談し、天木講師を招き、後半ではマッド天野さんも交えて鼎談をしました。

その1月30日の直前に、自衛隊イラク派兵差止北海道訴訟と、それへの天木さんの参加表明が、電網に流れたのです。

以下は、昨日、2月15日の通信の改訂版です。

天木さんと昨日(2月14日の「みどりの会サポーター勉強会」でのこと)も会い、差し止め訴訟の状況を聞きました。

北海道では、元自民党閣僚、箕輪さんが、北海道の弁護士の4分の1以上の無償協力を得ており、名古屋でも発足、天木さんは、双方の原告に加わっています。

最大の東京の動向が目下の焦点です。

私は、全国で4千人の原告がいた湾岸平和訴訟では、東京地裁の大法廷で3時間の原告証言、カンプチアもゴラン高原も原告団事務局を努めましたが、この流れは、もともと諸勢力にもめ事が多く、中心だった剣持一巳(晩年は国会議員の政治秘書)が死に、組織は細く複雑になり、今回の全国一斉訴訟への広げ方では、中心になれる状況にはありません。

すでに旧知の山本真一、内田雅俊ら、幅広い弁護団形成への決意を確認しましたが、肝心の原告団の結成が問われています。

旧友の中村敦夫は、「みどりの会」事務所の会議室を貸してくれるでしょう。

この指止まれで動き出せば、呼応します。

天木さんには(2月14日のこと)、立法・司法・行政の三権に位置付け、マキャウェッリの主著、『ローマ史論』(岩波文庫)の7章「共和国において告訴権は自由を維持するために如何に必要であるか」、8章「共和国にとって告訴が有益」云々の司法権の原則的位置付けを話しました。
---------- 引用ここまで ----------

 以下、北海道の事例を参照されたし。

http://www.hg-law.jp/iraq/
自衛隊イラク派兵差止北海道訴訟

自衛隊のイラク派兵差止訴訟の提起にあたって

1.  昨年12月18日、箕輪登元衆議院議員(元防衛政務次官、郵政大臣)が札幌弁護士会に来会され、自衛隊のイラク派遣は憲法9条・自衛隊法に違反するので、これを止めるため差止訴訟を提起したい、自衛隊員が殺人をせず、早く引き返せるように頑張りたいので、協力して欲しいと要請された。
 理事者は、弁護士会としては対応できないが、会員に同氏の意向をお伝えすることはできると説明し、その後、若手を中心とした弁護団員が、理事者から同氏の意向をお聞きし、同氏の決意に心を動かされ、自衛隊のイラク派兵差止訴訟の準備を行なってきた。

2.  自衛隊の海外派遣に対する差止訴訟は、カンボジアへの派遣(1992年)、アフガニスタンへの派遣(2001年)の際に提起されている。残念ながら敗訴判決が続いている。
 しかしながら、これらの弁護団は、実質審理に持ち込み、国と果敢に論戦を展開した。それが国民世論を喚起し、国会論戦を覚醒させ、自衛隊の海外活動・武力行使を抑制させる役割の一翼を担った。上記2つの派遣を、いずれも大過無く短期間に引き揚げさせることができたことに、私たちは安堵を覚えている。

3.  イラク派兵の本隊は、北海道の陸上自衛隊である。道民の生活と北海道の平和的未来に直結する問題である。政府は、1月9日の先遣隊派遣命令に続いて、26日には本隊の派遣命令を出し、もはや一刻の猶予も許されない。この思いが、この時期、原告を提訴に踏み切らせた。
 裁判そのものについては、早期に勝訴判決を得ることは困難かもしれない。しかし派兵反対の道民世論が、裁判という明瞭な形で存在し、論戦を通じて確信が滲み入るように広がることは、小泉政権に対して、その誤りを諭し、誤った道を引き返す「黄金の橋」を架けることになろう。

4.  本訴訟の意義と特徴は、訴状の「第1 はじめに」の中に集約されている。
  強調したいことは、自衛隊のイラク派兵反対の世論の中には、現自衛隊の合憲性、自衛隊の国際協力活動の合憲性、米英のイラク武力侵攻の国際法上の合法性など多くの基本的問題について見解の相違が存在するが、本訴訟は、これらの「大異」を留保し今回のイラク派兵は憲法・自衛隊法違反だとする一致点=「大同」に基づいていることである。従って、様々な立場の方々が、多角的・多元的に、本訴訟に参加し、あるいは応援することが可能である。
 さらに、本訴訟は、30年前の長沼ナイキ基地訴訟・札幌地裁判決がその意義と規範性を認めた「平和的生存権」について、それを今日に相応しく発展させることを目指すものである。日本と他国の人々が殺傷し合うことなく、互いに平和的に生きるこ と=平和的生存権が、国民に保障されている人権の中の人権であることを裁判所に認 めさせるために、弁護団は全力を尽くす決意である。

5.  なお、訴状は、簡潔明瞭を旨とし、市民の皆さんに分かりやすいものとした。今後 様々な論点について、具体的に展開していく予定である。ご期待いただきたい。

◆本訴訟の遂行費用は、支援し賛同してくださる市民の皆様の募金に依拠します。
  送金先:北洋銀行 札幌西支店 普通口座 4283990
  イラク派兵差止北海道訴訟弁護団 弁護士 佐藤博文

◆本訴訟への支援・賛同のメッセージをお寄せ下さい。
  E-mail : iraq@hg-law.jp

弁護士よびかけ人 (旭川弁護士会)
(釧路弁護士会)
(札幌弁護士会)

(函館弁護士会)  菅沼和歌子
今 重一
梅原成昭
馬場政道
亀田成春
山田暁子
森越清彦
斉藤道俊
和田丈夫
小坂祥司
秀嶋ゆかり
田中健太郎
藤本 明
佐藤博文
名倉一誠
芝池俊輝

連絡先 北海道合同法律事務所
〒060-0042 札幌市中央区大通西12丁目
北海道高等学校教職員センター5F
TEL(011)231-1888 FAX (011)-231-1785

以上。


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