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『亜空間通信』719号(2004/01/03)
【外務省は無償資金15億ドル使途早急決定迫られ2人の死で丹念な調査は不可能と真相が漏れ出した】
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転送、転載、引用、訳出、大歓迎!
むかしから、「隠すより顕わる」、悪事露顕、「天知る、地知る、我知る」、尻尾が出た、とか、「完全犯罪は不可能」とか、いずれは、真相が明らかになるのであるが、イラクで2人の日本人外交官が、惨殺されてから、丸々1ヶ月を経て、大晦日に、さらに分かり易い真相が漏れ出てきた。
まずは、既存情報を基礎にして、しっかりした仮説を立て、眼光紙背に徹する推理の目を見開き、じっと見張っていると、ぽろり、ぽろりと、ジクソーパズルの断片が、ころげ出してくるものである。これまでは空白だった部分を、すこしづつ埋めていくと、不気味な全貌が、徐々に明らかになってくる。
この新情報の内、毎日新聞記事の方は、すでに、本年の元旦、未明に、阿修羅戦争45掲示板に投稿した。
まずは、その毎日新聞の大晦日の記事である。
---------- 引用ここから ----------
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20040101k0000m030027000c.html
イラク:日本大使館はテロ警戒のまま新年 館員外出できず日本人外交官2人が殺害されたバグダッドの在イラク日本大使館は1日、厳重なテロ警戒の中で新年を迎える。大使館は事件以降反米武装勢力によるとみられる脅迫も受け、館員の外出もままならない。極度の緊張の日々が続き、テロの危険が切迫した場合は米軍関連施設などへ退避することも検討している
外務省は事件後、大使館の警備体制を強化。現在は、自動小銃で武装したイラクの民間警備会社の約50人が交代で警備し、米軍車両も正門周辺の警備に加わるようになった。しかし、大使館にはたびたび脅迫があり、外務省幹部は「大使館周辺にはビルも建ち、上からの砲撃を防ぐのは難しい」と頭を抱える。外務省は事件前に長期出張者を含め11人だった大使館の体制を5~6人にまで縮小させた
当面の問題は、亡くなった奥克彦大使、井之上正盛1等書記官が担当していた復興事業調査の継続だ。外務省は無償資金協力15億ドル(約1650億円)の使途を早急に決める必要に迫られているが、治安は一向に回復せず、2人が行っていたような丹念な調査は不可能な状態だ。このため外務省は、イラクの内務、電力、保健各省の担当者を隣国ヨルダンに招いて会議を開くなどしてしのいでいる。今月中旬にはバグダッドの病院幹部を日本に招き協議する予定だ。【白戸圭一】
[毎日新聞12月31日] ( 2003-12-31-18:45 )
---------- 引用ここまで ----------
私は、この記事の最後の部分、「当面の問題」以下を、「さらに分かり易い真相が漏れ出てきた」と評価するのである。これまでにも、両外交官の仕事について、「文民派遣」の「調整」に関して、「大きな役割を果たしていた」(朝日新聞2003.12.2)などとする報道例はあったが、「使途を早急に決める必要に迫られている」とか、「丹念な調査」を彼等がしていたとするような、具体的な表現にはなっていなかったのである。
私は、二人が、すでに「前倒し」で進行中の事業を、「人道支援」の名目の「日本の独自支出」に相応しい事業であるのか否かを、見張っていたのではないか、と考えている。
現地のイラク人から告発されたりする場合、彼等が責任を問われることになるのである。日本国内の公共の事業の工事の場合には、生真面目な役人が、制止を聞かずに現場を見に行ったりすると、上からドサッと、ブロックが落ちてきたりして、「済みません!」の大声だけで、役人が怯えて、それで済まされると言われている。
この記事を、以下のわが亜空間通信714号と比較して頂きたい。
---------- 引用ここから ----------
http://www.jca.apc.org/~altmedka/2003aku/aku714.html
http://www.asyura2.com/0311/war45/msg/493.html
『亜空間通信』714号(2003/12/27)
【惨殺された奥大使が日本の無償資金援助15億ドルの使い道の確定者だとすれば?ふむふむ!】
[中略]
15億ドルの金額分については、急性が高く、日本が独自で援助対象を決めることになっており、それを年内に(この部分不確か)に決められないと、それはCPAが自分で使うことになってしまいます。
今回の二人の死去で、日本が(自分が供与する資金を)独自に使い道を決めることができなくなりました。
[中略]
外務省のイラク担当は、この岡本発言の「ニュアンス」の確認から逃げる。
[後略]
---------- 引用ここまで ----------
そこで私は、本年の元旦、未明に、阿修羅戦争45掲示板に、以下の投稿をしたのである。
---------- 引用ここから ----------
毎日【イラク:日本大使館はテロ警戒のまま新年 館員外出できず】他、注目すべき記述
http://www.asyura2.com/0311/war45/msg/744.html
投稿者 木村愛二 日時 2004 年 1 月 01 日 00:54:48:CjMHiEP28ibKM
「外務省は無償資金協力15億ドル(約1650億円)の使途を早急に決める必要に迫られている」との注目すべき記述あり。
[後略]
---------- 引用ここまで ----------
大晦日の毎日新聞の記事の内容は、私が取材の電話をした際の外務省のイラク担当の私に対する説明とは、大いに違うのである。その時、イラク担当は、しきりと、岡本発言の「ニュアンス」の確認から逃げ、「予算を使う期限は決まっていません」と断言したのである。
しかし、日本が無償供与を約束した金額、15億ドルは、すでに「前倒し」で使われていると考えるべきであろう。しかも、足らないのである。そのことも、以下の東京新聞の記事で、さらに、現地の実情が垣間見えてきた。
「日本などから注ぎ込まれる巨額の経済支援」とか、「復興事業を仕切る米軍」とか、これまた具体的な表現になってきている。
---------- 引用ここから ----------
進まぬイラク復興 (東京新聞)
http://www.asyura2.com/0311/war45/msg/725.html
投稿者 ああ、やっぱり 日時 2003 年 12 月 31 日 17:59:35:5/1orr4gevN/c進まぬイラク復興
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20031231/mng_____kakushin000.shtmlサダム・フセイン元大統領の拘束後も反米勢力の攻撃がやまないイラクで、米軍は戦後復興にも苦戦している。各地に展開する米軍部隊は、ゲリラ掃討作戦と並行して、小学校の修復や警察組織の立て直しを進めるが、復興は遅々として進まない。ティクリット郊外の小さな町で、復興をめぐるトラブルを実際に目撃した。そこでは、部族社会の論理が、米軍の壁となって、立ちはだかっていた。
(バグダッドで、秦融)
十二月末、日本人外交官殺害事件を捜査するティクリット郊外のディジュラ署の署長室。ジャバール署長と、この地域に展開する米軍第四歩兵師団のヒューロン大佐が約一時間に及ぶ会談を持った。会談の中身は外交官殺害事件ではなく、主に小学校の修復工事と、警察に配布された制服について、だった。
■「逮捕せよ」
大佐は、地元の部族長に任せた小学校の修復について、「族長は米軍と交わした契約をきちんと履行しているか」と署長に尋ねた。
署長は「取り換えたドアのノブは安物ですぐに壊れました。約束のヒーターも入っていません。族長は壁を塗り替えただけです」と答えた。
「何?」
大佐は絶句した。「族長は十分な金を受け取り、契約にサインもした。契約に従わなければ、君は族長を逮捕しなければいかん」と言った。
署長は「そうですね」と笑い、居合わせた部下たちも笑った。冗談と受け止めたようだ。
この地域で、族長は「威厳を持つ父親」のような存在で、武装した村人に守られている。署員にはその村の出身者も多い。署長など吹けば飛ぶような存在だ。
大佐がゆっくり、繰り返した。「逮捕しろ。(新しいイラクで)それが君らの任務だ」。署長たちの顔が凍り付いた。
■わずか一組
次に大佐は、米軍がイラク警察全体に支給した警察官の制服が行き渡ったか、確認した。
署長は「署員四十八人分のうち、署に届いたのは上下の制服一組と、靴下八足です」と話すと、大佐は再び絶句した。
署長は「戦争前は(元大統領の出身地)ティクリット署が装備のすべてをぶんどっていきました。戦後は(上部組織にあたる)サマラ署が全部持っていってしまいます。われわれのような小さな署の状況は何も変わっていません」と両手を広げた。
大佐は「わかった。その件は軍で調べておく」と答えた後、外交官殺害事件の取材で待っている記者を振り返りつぶやいた。
「私には(日本人外交官殺害事件と)もう一つ別の重要な捜査が残されたわけだな」
■甘かった
大佐から族長逮捕を命じられ、青ざめた署長に数日後、状況を聞いた。「族長はドアのノブを替え、ヒーターも入れ、契約を全部やってくれた」とホッとしたように答えた。「米軍が怒っている」と族長を説得したようだ。
だが、制服については「少し回ってきたが…」と口ごもり、「今度、大佐が来るときに相談する」と話した。“中間搾取”された制服は、すでに闇市で売り飛ばされた可能性もあるようだ。
◇ ◇ ◇
イラクの戦後復興に、日本などから注ぎ込まれる巨額の経済支援。しかし、復興事業を仕切る米軍でさえ、民主化が進まないイラク社会の現実に振り回されている。米軍大佐と署長のやりとりからそうした実情をかいま見た。
力の論理が支配するイラクの社会を、恐怖政治で抑え込んでいたフセイン政権なき後、それに代わりうる存在が、現時点では米軍以外にない、というのも現実ではある。しかし、米軍は戦後統治計画で、イラクに二百以上あるという部族の論理を甘く見た。そのつけがきている。
---------- 引用ここまで ----------
このような最新情報を、昨年の秋からの新聞記事の切り抜きファイルと見比べると、さらに切迫した状況が、明確になってくる。
日経(2003.09.18)には、一面トップから2,3面に掛けての巨大記事がある。見出しは、「イラク復興費」「米、日本に負担要請」「政府、まず10億ドル検討」である。
べーカー駐日大使が川口外相を訪ね」、「公式に要請」したものであるが、この事情について、「米国がさらに窮地に追い込まれている証左との見方が強い」と評している。
この「10億ドル検討」が「無償資金協力15億ドル」となり、「前倒し」となり、実際にその仕事を請け負う大元の米企業の一つ、米副大統領チェニーが重役のハリバートンの「水増し請求」がばれて、大揉め、米軍から燃料供給契約を破棄されたというのだから、何が起きても不思議はない。
まだまだ、唖然とするような新情報が、ぼろぼろ出てくるであろう。
以上。