京大ユニセフクラブ1998年研究発表「こころの国境線〜ニューカマーと私」

増え続けるニューカマー

在日外国人130万人時代を迎えて


ニューカマーってなんだ?

 ニューカマーというのは新しく来た人々という意味だが,ここで言うニューカマーは日本に新しくやってきた外国の人々を指す.それではいったいいつ頃のことを新しいというのだろうか.下の,外国人登録者数の推移を示したグラフを見てほしい.nc_g1.gif (20724 バイト)

 80年頃から総登録者数は飛躍的に増えているが韓国・朝鮮の人々の数はあまり変わっていないことがわかる.これは韓国・朝鮮の人々の大部分が侵略戦争という歴史的経緯によって日本につれてこられたり来たりした人々で,永住権を取得し,幾世代にもわたって日本に住んでいるからである.このような人々のことを便宜上オールドカマーと呼んでいる.

 これに対し,それ以外の人,特に70〜80年代くらいの比較的新しい時期に日本にやってきた人々のことをニューカマーと呼んでいるのだ.

 ニューカマーの国籍,人種,日本に来るようになった経緯はもちろんさまざまである.日本人と結婚してやってきた人や,日本にあこがれて住むようになった人もいるだろう.しかし,大多数の人々は働くのを主な目的としてやってきたのだといって差し支えないだろう.出身国でみると中国・韓国などの近隣の国,フィリピン・タイなどの東南アジア,日系人が多いブラジル,そしてアメリカなどからやってきた人々がその大部分を占める.

 このように在日外国人と一口にいっても日本に来た経緯や滞在年数はそれぞれ違う.日本という土地を長い間生活の場所にしているオールドカマーと,ことばも習慣もわからないままやってきたニューカマーとでは日本の生活で直面する問題は表面上かなり違った種類のものになるだろうと思われる.このうち,今回私たちは日本に新しくやってきたニューカマーについて主に取り上げて考えてきた.

 日本に外国人が増えるのは困ったことなのだろうか?

 言葉のちがいや習慣,考え方の違いを越えることはできるのだろうか?

 国際化時代といわれる昨今,外国へ出かけていく日本人は多い.しかし自分の足元のもっとも身近な国際化から目をそむけてしまってはいないだろうか?

 次のページをめくって・・あなたにも一緒に考えてほしい.

ちょっと解説

入管法・在留資格・・・

入管法,正式には「出入国管理及び難民認定法」といわれている法律の中で全ての外国人は様々な「在留資格」に区分けされ,それぞれに応じた「在留期間」を付して管理されている.つまり,日本政府によっていずれかの在留資格に認定されなければ日本に滞在することはできないのである.

〔在留資格の例〕 かっこ内は在留期間,更新可

就労可 ▼外交,公用,報道(その活動を行う期間)
▼医療,研究,技術,教育,企業内転勤(1年または6ヶ月)
▼興行(1年または3ヶ月)
就労不可 ▼短期滞在(90日または15日.観光,知人の訪問等)
▼留学 (1年または6ヶ月)
活動に制限なし ▼永住者(無制限・法務大臣が永住を認める者〈在日韓国朝鮮人など〉)
▼日本人,永住者の配偶者等(3年,1年または6ヶ月)
▼定住者(3年,1年または6ヶ月・難民条約に該当する難民,日系二世,三世の定住者)

 この在留資格なしに日本国内に在住している人がいわゆる「不法滞在」者である.日本では基本的に単純労働にあてはまる在留資格がないので,短期滞在などの在留資格でやってきて働いているうちに在留期間が切れ,「不法滞在」となることが多い.「不法」という響きには犯罪というイメージが強いが,こういった人々はあくまでも入管法に違反しているだけだとして,「オーバーステイ」「資格外(労働者)」という言い方をすることも多い.

外国人登録とは

 外国人登録とは日本に在留する外国人に義務づけられている登録制度である.原則として全ての外国人は,たとえ密入国者であっても市区町村の窓口でこの登録をしなければならない.登録すると外国人登録証明書が交付され,16歳以上の外国人はこれを常時携帯する義務がある.

登録をしなくてもいい場合は次の通り

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