外国人労働者の抱える様々な問題を解決するため、彼・彼女ら自身も状況の改善や権利の獲得にむけて努力しています。ここでは、そういった活動を行っている組織の一つ、KAMPI(在日フィリピン人の抱える問題の要因とその解決に向けての我々のchallenge)を紹介したいと思います。今回、代表のチトーさんに在日フィリピン人の状況について話を聞くことができました。
「日本人がフィリピンにいるから、フィリピン人が日本にいることになる。日本の会社がフィリピンでどんどん投資を行い過剰開発を行うから、フィリピン人は貧しくなり、サウジアラビアなどの中東や日本へ出ていかねばならなくなる。今の日本の若者は危険で汚い仕事をしたがらず、それらを外国人に押し付けている。その労働力を確保するため、日本人のリクルーターがフィリピン人を集めて日本へ送り出す。連れてこられるフィリピン人は来るまでどんな仕事なのかも分からない。国家赤字の削減のため、フィリピン政府までもが出稼ぎを奨励する。
フィリピンと日本では当然言葉が違い、文化も違う。多くのフィリピン人女性が日本人男性と結婚しているが、幸せになれるのは10〜20人くらいのうち1人いればよい方だろう。酒と賭け事に明け暮れる夫にパスポートを破られ逃げられないようにされる人もいれば、日本に滞在するビザを失うことを恐れて離婚できずにいる人もいる。
フィリピン女性と日本男性の間に生まれた子どもは、学校でいじめにあうことも多く、『フィリピンに帰れ』などといわれ、登校拒否になる場合もある。また、日本人同様にそだった子がフィリピン人の母を見下したり、というケースもあり、ただでさえ慣れぬ社会の中に住むフィリピン人女性は、多くが孤独感にさいなまれている。ただ、日本人とビザ・金のためだけに結婚する女性もいることは確かで、必ずしも日本人側だけの問題とはいえない。
フィリピンから日本に出稼ぎに来ている人は、98%の人がオーバーステイである。彼・彼女らは不法滞在の発覚を恐れ、常に不安のなかで生きている。住む所を見つけることも難しく、限られた小さなスペースに大人数で住むことになる。外国人登録をしていないので保険もきかず、病院に行くこともままならない。また、情報が行き届いていないので、労働災害にあっても雇用主にいいように丸め込まれてしまうこともある。
研修生として日本へ来るフィリピン人もいるが、全く研修生として扱われず、ベルトコンベアーでの流れ作業など単純労働に従事させられることもままある。
多くのフィリピン人が現に日本におり、実際に働いているのに、その存在は認識されていない。彼らは日本の経済発展に貢献している。食べ物やたばこを買って、税金も払っている。彼らはただ、日本で稼いだ金をフィリピンに持って帰って、小さな仕事でも始めたいだけなのだ。オーバーステイというだけで逮捕し、強制送還しないで欲しい。日本政府はアムネスティ制度(注1)を導入し、彼・彼女らの滞在を認めるべきだ。」
注1: アムネスティ制度とは、「一定程度の居住の事実と生活実態があれば、申請によって違反状態から合法的に在留資格の付与がなされる」というもので、不正規な在留状態が基本的人権を脅かしている現実を解決するために外国でつくられた制度です。アメリカ合衆国では1986年に300万人もの人々が合法化がなされ、他にもベネズエラ・カナダ・オーストラリア・スペイン・イタリアに例があります。