研究報告(2件)と対策草案(1件)

□10月〜12月に相次いで出される
 2004年最後半期に重要な国際レベルの研究報告2件と対策草案が1件相次いで発表された。一番最新の研究報告は、12月20日に発表されたEU(欧州連合)が大半を出資して実施したREFLEX(レフレックス)プロジェクトの最終報告。これは欧州7ヵ国・12研究グル−プ共同研究で「携帯電磁波をヒトや動物の細胞に照射するとDNAがダメ−ジ(損傷)を受ける」という研究結果であった。EUの統一見解に資する細胞実験結果なので影響はすこぶる大きい。
 もう一つの研究報告は10月13日に発表されたスウェ−デンの国立カロリンスカ研究所が発表した疫学調査(研究)結果。「アナログ型携帯電話を10年以上使用すると、聴神経腫瘍が2倍近く発症し、常に使用する側の頭部に限定する約4倍の発症リスクになる」という研究結果だった。1個所の研究機関 の研究だがカロリンスカ研究所がノ−ベル生理医学賞の選定機関として世界的に知られた研究機関のため欧州では大きく報道されている。
 対策案を出したのはWHO(世界保健機関)で、11月2日にWHOのホ−ムペ−ジで発表された。「科学的不確実分野における予防方策展開のためのフレ−ムワ−ク」と題された対策草案であるが、科学的証拠が不十分な分野でも予防方策は必要としつつ対策をとるかとらないかは各国の裁量としており、WHO内各国の意見対立と思惑がそのまま反映された玉虫色対策草案で、失望のほうが大きい内容だ。
 この3件とも重要な内容なので、本号では特集を組んだ。


会報第32号インデックスページに戻る