Japan Association for the Study of Yoseba

News (old)

Annual

Contact

Link

過去に掲載したNews(2001年まで)です

トップページ(最新情報)はこちら


寄せ場学会秋季シンポジウム
グローバリゼイション下の底辺下層
─アラブ、アジア、日本、アメリカ─
終了しました
2001年12月1日〜2日 於 東京外国語大学府中キャンパス

 超大国アメリカによる世界の一極支配は、各地域の、さまざまな人々に、限りない苦難を強いてきました。その上、軍事行動によってたくさんの死傷者を出し、厖大な「難民」を生もうとしています。私たちは、こういった事態の産み出された根源を見つめたいと考えます。事柄の起こる仕組みは、その仕組みのしわ寄せを食う部分から見る場合鮮明になるというのが、私たちのこれまでの考え方でした。そうした視点から、世界各地域の人々、底辺下層の人々はこれまでどういう日常生活を送ってきているのか、その境遇の全般を捉え直していきたい考えます。アラブやアジア、そしての日本の底辺下層の人々、そして野宿者は、今どういう窮迫の状況に置かれているか、そこからの脱却と解放の道はいったいどこにあるのか、このシンポの場から、共に考えていこうではありませんか。

 会場:東京外国語大学 府中キャンパス115番教室
 12月1日:午後1時開場、1時半開始 司会:奥山真知(常磐大)
  ●問題提起 松沢哲成(東女大)
  ●報告:藤田進(東外大)
        「グローバリゼイション下の下層労働
           ──湾岸産油国の外国人労働者の再配置──」
      田巻松雄(宇都宮大)
        「アジア域内における労働力移動と下層労働市場」
  ●懇親会(午後6時〜)

  12月2日:午前10時開始 司会:濱村篤(寄せ場学会)
  ●ビデオ上映
    「山谷──やられたらやりかえせ」監督:佐藤満夫、山岡強一
      解説コメント:中山幸雄(植木師、元現闘委メンバー)
  ●報告:西澤晃彦(神奈川大)「可視化されたマイノリティ」

 会場:東京外国語大学 府中キャンパス115番教室
     (住所:〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1:地図(東京外大HP内)
 
最寄駅:1.(JR中央線「武蔵境駅」で乗り換え)西武多摩川線「多磨」駅下車
                                 (旧「多磨墓地前」駅)
       徒歩:約5分  (新宿駅〜武蔵境〜多磨駅間は40分弱)
     2.(新宿から京王八王子/府中/高幡不動行)京王線「飛田給」駅下車
       徒歩:約20分
       バス:飛田給駅北口より[調30]または[飛01]系統に乗り
                 「東京外国語大学前」停留所下車
      (京王線新宿駅〜飛田給駅間は約30分)

 問い合わせ先:042−545−4648松沢


緊急アピール
「米国とその同盟国は即刻戦争を停止せよ」
日本寄せ場学会

 10月8日未明、戦争が開始された。否、<戦争>は既に開始されていた。低烈度紛争と、それによって多くの人々が直接的・間接的に殺し、殺され、あるいは緩慢にしろ死に追いやられる状態を<戦争>と呼ぶならば。米軍とその同盟軍が行ったアフガニスタン主要7都市に対する巡航ミサイル・トマホーク50発と爆撃機による攻撃は、本格的な殺戮戦を告げるものだったにすぎない。9・11以来憂慮されていた報復戦ではあったが、米国本土を含む広範な地域の人々が、武器による解決に否を唱えつつあったまさにその時、米国・ブッシュ政権は、こうした国際世論を全て無視し、はるか以前から周到に準備されていたシナリオに従うかのように爆撃遂行に踏み切った。
 正義による悪の殲滅が戦争の目的であるという。米国とその同盟国に帰属する正義と善とそして文明以外は、すべて不正義で悪であり、野蛮なものであり、それを担っていると一方的に裁断される人々と地域は、したがって敵であり、抹殺の対象である、とするこの戦争の傲慢な大義ほど危険なものは歴史上かつてない。当面の標的は今のところアフガニスタンという特定された地域ではあるが、この不遜な大義を以て突き進めば、戦場は国家という枠組みをも越えて際限なく拡大し、終結への出口の見えない泥沼のなかに世界を引き入れることになるだろうからだ。
 しかしながら、そうした事態、いずれそれによってもたらされるであろう結果をも、まさに戦争を主導している米国と追従する同盟国側は予見し、プログラムに組み込んでいるのであろう。では、9・11事態の報復戦と称し、これを契機にして彼らが転位させようとしている世界、すなわち、この戦争の隠蔽されている目的は何だろうか──同盟国側・日本にいる私たちには、好むと好まざるとにかかわらず戦争に「加担」している位置に置かれ引き裂かれてしまっている私たちには、それを自分の身体の呻きとして語ることは難しいかも知れない。であるなら、いま苦しみのさなかで挙げられている叫びに耳を傾けよう。
 たとえば──
 「権力者たちはいつものように自分たちが都合がいいように、つまり受益者がもっとも少なくなるように人類を分断しようとする。彼らは今、一つの国の民衆と他の国の民衆を敵対させるだけではなく、権力者の真の利益を隠すために人種間の憎しみを挑発して、分断を深めようとしている。そうすることによって、地球とその天然資源が存する広大な地域をコントロールしようとしているのだ。」(サパティスタ民族解放戦線の声明:2001.9.23)

 私たちは、10数年にわたり日本の下層社会の実相を究明しようと試みてきた。そうした作業をとおして日本の下層社会の動態は当然にも海外の下層社会の動態と密接な関わりがあること、特に、90年代以降の米国一極支配によるいわゆるグローバル化のなかで、世界いたるところで意図的に生み出されている難民の群れや貧困層は、餓死・病死しない限り下層労働者として形成され、流動化する彼らの低廉な労働力は、ほかでもない米国とその同盟国によって世界大に恣意的に配置され、国境を越えてコントロールされており、日本の下層社会もまぎれもなくその一環に編入されている、と認識するに至った。
 こうした下層労働者の再生産構造と労働力配置のメカニズムが存在する限り、世界の貧困と富の偏在は永続し、多数者と少数者の格差はますます拡大していくだろう。さらにその上に、現今行き詰まりを露呈しているG7(米国とその同盟国)が、こうしたメカニズムをより合理的に再編し、強固にコントロールしていく上で、この度の戦争がいずれ結果として大きな貢献を果たすだろう、と予見していることは間違いない。
 下層社会の実相を究明し、最終的には究明対象である下層社会そのものがなくなることを希求している私たちは、現在刻々ともたらされつつある非戦闘員の犠牲をはじめとする悲惨な現実を心底憂慮するとともに、以上の見地から、米国とその同盟国に対し、都合のいい思惑とは逆に、9・11事態を惹起した土壌を醸成することになるだろうこの戦争を即刻停止せよと、強く要求する。
 最後に、同盟軍の一翼を唯々諾々と担っている小泉政権に対して、私たちは言明する。戦争から即刻手を引け、そして小心者が機に乗じて、偏狭な国家主義を基に企てているすべての野望──有事法制、自衛隊法の改悪、ガイドライン関連法規の悪用、外国人労働者の管理と抑圧を強化する難民及び出入国管理法の改悪──を放棄せよ。

日本寄せ場学会・運営委員会        2001年10月14日
 運営委員長:松沢哲成
 事務局長 :雑賀恵子
 運営委員 :池田浩士・稲葉奈々子・加藤晴康・北川由紀彦・小柳伸顕・
       下平尾直・長井公彦・中西昭雄・中山幸雄・西澤晃彦・
       濱村篤・藤田進・水野阿修羅
日本寄せ場学会 東日本支部学習会
2001年10月13日(土) 13:00〜 
於 寒灯舎
(渋谷区渋谷2-5-9パル青山301 渋谷駅より徒歩8分)
[TEL:03-5466-0692 FAX:03-5466-0786]
終了しました
問題提起者:藤田進(東京外国語大学)・西澤晃彦(神奈川大学)

 秋のシンポジウムを睨んで藤田進さんから、パレスチナ難民と寄せ場、日本国内におけるホームレスの増加、とくに近郊へのその拡大、そして飯場への被収容者の増大……といった、最近とくに深まっている諸現象をどう読み解いていったらいいか、問題提起があります。これに対し、神奈川県下の野宿者調査を最近実施した西澤晃彦さんからは、中心都市近郊への、野宿者のいわば膨張をどのように理解していったらいいか、という視点からの立論提起がなされます。
 両者の指摘を軸に討論-議論を交わし煮詰めていき、寄せ場と底辺下層に立脚した国内外を貫く論理を、少なくともその端緒を見出していきたいと考えます。
 そのためには、多面的な照射、複合的な観点が必要だろうと考えます。一人でも多くの人の参加を切に望みます。会員でない方でもこういった問題に興味のある方はぜひご参加ください。歓迎します。
 学習会問い合わせ(TEL)042-545-4648


日本寄せ場学会 西日本支部学習会
2001年7月21日(土) 14:00〜 
於 喜望の家
(大阪市西成区萩ノ茶屋2-8-18日本福音ルーテル教会釜が崎ディアコニア・センター)
[TEL 06-6632-1310/FAX 06-6632-1309]
終了しました
報告者:永岡正巳(梅花女子大)
 題目:大阪のセツルメント運動 ――釜が崎との関連で――

日本寄せ場学会 東日本支部学習会
2001年7月22日(日) 14:00〜
 於 山谷労働者福祉会館
 
終了しました
濱村篤:年報『寄せ場』14号 大下・雑賀論文を巡って問題提起
北川由紀彦:「川上郁雄『越境する家族――在日ベトナム系住民の生活世界』
                           (明石書店刊)を読む」
(学習会に先立って13:00から学会の運営委員会も開かれます) 
「メディア」の「表象」と、その向こうへ
3月17日西日本支部学習会のまとめ

 3月の研究会は大阪市立大の院生で、地理学を専攻する原口剛さんと若松司さんによる「メディアにみる戦後釜ケ崎の表象」。たっぷり15,000字はあるだろうペーパーと、カラーも含めた図版、データ資料もふんだんに用意された、力のこもった発表だった。大阪朝日新聞、大阪毎日新聞、雑誌『大阪人』、『季刊釜ケ崎』を対象に、そこにあらわれた釜ケ崎像を分析する作業が中心で、戦後、この「釜ケ崎」というわずかな空間がどれだけ「差別的な言説」に侵食され、その空虚なイメージが生成されてきたかをひとまとめに提示するものだった。が、なにしろ論じられたテーマがきわめて多岐にわたったこともあって、そのぷん内容が拡散してしまった印象もうけた。なぜ、今回の報告ではこの2紙2誌をとくに選んだのか、ということにも、もうすこし意識的であってよかったように思われる。
 ここはあまりスペースがないはずなので、気になったことをひとつだけ書きとめておきたい。たとえぱ「新間」というものを考えたとき、これは、何か、広い意味での「事件」があったときにのみ「釜ケ崎」が「表象」されるのだから、そこにヘゲモニーが、あるいは「差別性」が、それぞれの時代にそくして作動するのは、当然だとも言える。だから、たんに新聞にあらわれた「言説」の「差別性」を検証するというだけでなく、そこになにを見るのかという、報告者の、ジヤーナリズムとの「差別性」、もっとも切実な釜ケ崎像が準備されていなければならないだろう。
 そう考えると、私には、レジュメの「はじめに」に書かれていたエビソードが興味深い。報告者がドヤの「主人」から聞いたというその話によれぱ、天下茶屋や玉出の文化住宅で生活保護を受けながら、わざわざドヤで寝泊まりする「客」がいるのだという。なぜなら、「釜ケ崎」以外の場所で「生活保護を受けている」ということで冷たい目で見られることに耐えられなかったから」なのだそうだ。
 このエピソードは、釜ケ崎が「問題」なのではなく、釜ケ崎を問題視する「外」が問題なのだということを、あらためて教えてくれる。だから、メディアのもつ擬制的なものは、このような具体的な肉声との交通によってつねに検証され、突破されていかなけれぱならないだろう。
 言うは易し、行うは難しは重々承知の上なのだが、やはりこの研究が、報告者にとって、また「釜ケ崎」にとって、リアルな釜ケ崎像を提示できたとき、ジャーナリズムの「表象」を越え、かれらが批判した「都市社会学者」を越えるような「表象」となるのだろう。そのような萌芽がぎっしり詰まった発表だった。          (下平尾直)


日本寄せ場学会 東日本支部学習会
2001年7月7日(土) 15:00〜 於 山谷労働者福祉会館
 
終了しました
発表者:藤田進
 題目:経済のグローバリゼーション化で再浮上する「人夫出し」制度
     ――論文「日本経済における下層労働者雇用形態の変容」(トム・ギル著)
                           にみる今日の「寄せ場」像――

     ※トム・ギル論文(英文)のコピーは当日配付します

日本寄せ場学会 2001年度総会
「寄せ場概念の再構築へ」
終了しました
2001年6月9日〜10日 於 京都大学

 グローバリゼーションの名の下で進行している労働力と資本の国際移動によって、流動下層労働の分析は、もはや国民国家の枠組みで把握することが困難になっている。しかし、一方で、世界経済のブロック化が進行すると共に国境線が強化されているように見えるのも事実である。流動下層労働を対象としてきた寄せ場学会は、この動きのなかで、日本における「寄せ場」をグローバル経済の変化と連動しつつ位置づけると共に、世界規模で絶えず形成されている周辺―「寄せ場」としても、いま再び、考察していこう。その際には、改めて、国民国家とは何かが「寄せ場」の視座から問われるであろう。同時に、経済のみならず、政治や歴史を含めた社会の諸問題が交錯し集積する場所、生きる場所としての「寄せ場」からの呼びかけに、聴覚を研ぎ澄ませていきたい。

6月9日(土) 14:00〜19:00 <パネル・ディスカッション>
  ・司会 藤田進(東京外国語大教員) 
  ・コメンテーター 加藤晴康(横浜市立大教員)
  ●問題提起 松沢哲成(東京女子大教員)
  ●寄せ場概念の再検討に向けて 雑賀恵子(大阪産業大学非常勤講師)
  ●寄せ場から発信する 小柳伸顕(釜ケ崎キリスト教協友会)
  ●ラテン・アメリカの都市流動層の形成 崎山政毅(立命館大学教員) 

6月10日(日) 9:30〜15:30 <自由報告>
  ●シカゴ市のホームレス対策
     ―''Chicago Continuum of Care''を中心に

              平川茂(四天王寺国際仏教大教員) 
  ●「寄場」考 戸田正毅(大阪大学大学院生)
  ●戦時期における<植民地社会科学>の展開
              盛田良治(近畿大非常勤講師)  
  ●近代日本における国民形成と公衆衛生
              小林丈広(京都市歴史資料館研究員)  

<会場>
 京都大学総合人間学部1号館1102教室
<交通>
 ・京阪丸太町駅または出町柳駅東へ徒歩15分
 ・市バス201、206、31系統「京大正門前」下車。
   東一条交差点より吉田神社の方へ80m、右側の門へ。
<参加費>
 実費1000円(資料・会場費)
<問合せ・連絡先>
 TEL/FAX 075-753-6664(池田研究室)


日本寄せ場学会 東日本支部学習会

 2001年6月2日14:30〜18:00頃まで 於 山谷労働者福祉会館
終了しました

 発表者 松沢哲成
 題目 近著『先住民族の「近代史」』(上村英明著、平凡社刊)をめぐって