2000年度活動方針

「ノーモア南京の会」事務局


(2000年4月29日にノーモア南京の会第3回総会を開き、 以下の活動方針を決定し、人事案を確認しました。 代表は田中宏ですが、事務所は、田中先生の一橋大学からの退官にともない、 ABC企画に置かせていただくことにしました。 総会後内海愛子さんに講演をしていただきました。)

はじめに

昨年は、戦後民主化運動を担う勢力に真っ向から反する、 様々な反動法案がつぎつぎと成立しました。 主なものだけで、「周辺事態法」「盗聴法」、改正住民基本台帳法に続き、 国旗・国歌法の成立にまで至りました。 まさに、日本は憲法第9条を守る平和国家から 戦争へ突き進む「普通の国家」になってしまったと思われます。

こうした99年の政治的な反動化の動きが、2000年早々には、 私たちの市民運動にも大きな動きが見られてきました。 1月23日に財団法人大阪国際平和センター(ピースおおさか)講堂で、 ピースおおさかへの攻撃を続けてきた「戦争資料の偏向展示を正す会」の主催する 「20世紀最大の嘘 『南京大虐殺』の徹底検証」なる集会が開かれようとしていました。 これに対しては、国内外から多くの開催中止の声が寄せられ、当会も抗議書を、 大阪府、大阪市も含めて送りました。 その開催2日前に、東史郎さんの「南京・戦争裁判」に対して 最高裁判所(第二小法廷 裁判長裁判官 河合伸一)は、上告棄却の決定を下しました。 この決定は、証拠の吟味や国内外からの東史郎さんへの支援の声を無視し、 司法の最高責任を自ら放棄した「決定」と言えますが、東史郎さんは非常に元気で、 23日には雨の中の抗議行動にもめげず、この裁判は「司法の独立を放棄し、 政治が判決した」ものであり、 東日記と南京大虐殺の真実をこれからも広く世界に訴えていく決意を述べられた事は、 私たちをも大いに勇気づけてくれました。

こうした1月の動きは、 大阪を中心とした関西地方では大きな市民運動の流れになっていましたが、 首都圏での関心は今一つでした。 ところが、4月になって、東京都知事の石原慎太郎が、 9日の陸上自衛隊第一師団の創立記念式典で外国人への差別と、 民族排外主義を扇動する発言をおこないました。 彼の発言の「三国人」とは、 日本軍国主義の最大の被害者であった旧植民地の人々に対する蔑称であり、 1923年9月の関東大震災直後に起きた、 朝鮮人虐殺の血にまみれた歴史を思わざるをえません。 私たちは、「ノーモア広島・長崎」の前に、 「ノーモア南京」があるという考えをもとに発足した市民団体です。 石原都知事の発言は、過去の歴史の事実を見つめることなく、 歴史を歪曲しようとするものです。このような発言に対し、 私たちも他の多くの民主的な団体と共に、強く抗議すると共に、 発言の撤回と、すべての外国人および東京都民への謝罪を要求します。

現在の私たちを取り巻く日本の情況は、非常に危機的なものになっています。 それは、1930年代の、 日本軍国主義の中国東北部から中国全体への侵略の開始時期と、よく似た情況です。 まさに「いつか来た道」を辿っているといえます。 戦後民衆主義運動の不徹底さから来た、過去の過ちの克服が遅れていることを正し、 民主主義への攻撃に屈せぬ大きな国際連帯の運動を 押し進めていかなければならないと思います。


2000年度活動方針(具体的な活動)                 

1.調査、研究活動
  「ノーモア南京の会」として南京大虐殺の調査研究活動を行う。 資料研究、証言の聞き取りなどを通して被害者の怒り、悲しみを知り、 それを広める活動を継続して行う。

2.学習会・連続講座の実施
  会員自らが学習し、発表する学習会を重ねて開く。 南京大虐殺に限らず、広く戦争犯罪・戦争責任に関する連続講座を開き、 現在の状況・課題への認識を深める。

3.東史郎さんの「戦争の語り部」支援
  最高裁決定の犯罪性を暴露し、 支援する会に協力し報告集・資料集の作成などを行う。 東史郎さんの講演会の設定・協力、著作の再販・自主出版などで裁判の意義を広める。

4.広報活動・ホームページの充実
  ニュースを定期発行し、ホームページを引き続き充実させる。 特に若い人たちに「ノーモア南京大虐殺」を広め、会の活動を知らせていき、 参加を呼びかける。

5.12月集会の開催と追悼デモの実施
  97・98・99年に引き続き、12月13日前後に12月集会と追悼デモを行う。 規模は小さくても、人々の心を打つ集会を行いたい。

6.国内外の運動団体との連携、交流。中国や世界の人々との交流。

7.会員の拡大。

8.その他


 

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