成瀬悠さん |
参加者と |
12月11日にNPO法人『ハロハロ』代表としてフェアトレード品の企画販売をしながらフィリピンの支援活動を続ける成瀬悠さんに、フィリピンとの出会いと、この5年間の活動についてお話を伺いました。
成瀬さんは学生時代から学校教育や会社に就職するという、周りがあたりまえのように歩む進路に疑問を持っており、一度は企業に就職したものの数年で退職し自分の納得できる生き方を探してカナダやオーストラリアなどを訪れました。
しかしそこでも自分の生活や余暇の楽しみのための『仕事』というものに違和感を持っていたところ、会社という枠にとらわれない 『社会起業』を知りフィリピンを訪れる機会を得ました。そこで水道を掘るワークキャンプに参加する中で“スモーキーマウンテン”として有名になった巨大なゴミ山の近くに暮らす貧困層の人たちの生活を知り、自分にできる支援を始めました。
人々はフィリピンで一般的に販売されているビニールのジュースパックをゴミの中から拾い集め、開いて洗浄し縫ってバッグなどを作り売ることで、材料費をかけずに貴重な収入を得ていました。成瀬さんは初め現地のNGOと協力しながら商品のデザインや品質の向上に取り組みやがてセブ島とネグロス島にも自ら団体を作って貧しい人々の仕事づくりの他食糧の配給や教育支援も行うようになりました。
そして“全ての人々が魅力的に働き生きる社会”を目指して2012年にNPO法人も取得しました。
現在は年に何度もフィリピンを訪れながら、フェアトレード事業として日本での販路拡大のため『アンキュート』というブランドを立ち上げました。
若い女性層に受け入れられるようなデザインを取り入れ、各地でフェアトレードイベントも積極的に行っています。
リサイクルの一歩先を行くという「アップサイクル」(廃材を資材にする)という考えや“かわいそうだから買ってあげる”ではなく
お客様が自然に手に取って喜んでくれるものを作りたいという姿勢はフェアトレードの大切な精神であり、わずか5年でここまで活動を広げてきた若さと情熱を感じるお話でした。
日本には成瀬さんのような生き方、働き方をしたいと考える若者が多くいるでしょうし、ぜひこれからもその先頭に立って活躍してほしいです。
その後、持参していただいたジュースパックのバッグやポーチなどの実物を見ながら参加者との意見交換も活発に行われました。
参加者も女性ばかりだったので雑貨への関心が高く、フィリピンの伝統的な素材に関することや衛生面などに質問がありましたが
「ジュースパックだと言われなければわからないくらい、かわいい!」という感想が多くその場で何点も購入していました。
また昨年フィリピンを襲った台風30号による被害の報告と、大きな組織の支援が届かないセブ島などでハロハロが行っている食糧支援活動についての話も聞きました。
現地での活動の指揮を取っているのが、成瀬さんがリーダーとして育てたグレマー氏だということで、現地での活動がしっかりと根付いているのを感じました。
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