1. ベ平連の概要に関する文献
左から、小田実『「ベ平連」・回顧でない回顧録』、ヘイブンズ『海の向こうの火事』、吉川勇一『市民運動の宿題』、小中陽太郎『私のなかのベトナム戦争』、清水知久『ベトナム戦争の時代』の各表紙。右の3点は表紙をクリックすると、そのページに飛びます。
小田 実『「ベ平連」・回顧録でない回顧』第三書館、1995年 \5,000
ベ平連の代表だった作家の小田実が、岩波書店の雑誌『世界』に1990年1月号から1992年9月号まで連載したベ平連運動についての個人的な総括と感想。終わりに吉川のつくったベ平連年表が付いているが、このホームページにある年表はそれをさらに更新したもの。
アメリカ人の書いたものだが、ベトナム戦争中の11年間の反戦運動を中心に日本の全体像を知るには一番の書物。「この本は、ベトナム戦争と日本の関わりを、ベ平連を中心とした反戦運動の動向もふくめて詳細にあとづけた力作」(古田元夫・東大教養学部教授・ベトナム史)
原書は Thomas R. H. Havens : Fire Across the Sea―The Vietnam War and Japan 1965-1975, Princeton University Press, 1982
吉川勇一『市民運動の宿題』思想の科学社、1991年 \2,200
『週刊読書人』1990年1月22日号から6月18日号まで連載していた「新戦後史の現場検証『ベ平連』運動」を中心に書き下ろしを含めた吉川の半生記。後出の久野収・鶴見俊輔対談『思想の折り返し点で』での鶴見の「ベ平連内内ゲバ」論への批判も入っている。
小中陽太郎『私のなかのベトナム戦争』サンケイ新聞社、1973年
『週刊サンケイ』1973年2月16日号から8月31日号まで28回にわたって連載されていたものにさらに手を加えた小中のベ平連活動の個人的記録だが、多くのエピソードを交えて面白く読める。当時の空気がビビッドに伝わってくる。
清水知久『ベトナム戦争の時代――戦車の闇・花の光』有斐閣新書、1985年 \690
これはベ平連運動だけでなく、その周囲にあったさまざまな運動もふくめ、ベトナム戦争の進展と関連づけながら簡潔にまとめた書物。
国長法子『「ベ平連」運動――認識と関係の転回――』1997年
これは書物ではない。1997年につくば大学を卒業した筆者の「1996年度比較文化学類卒業論文」なのだが、ベ平連以後に生まれた若い人によるベ平連運動にかんする最新の後付けと評価としてぜひ読んでもらいたいもの。後のほうで紹介している政治学者や評論家の最近のベ平連論よりもすぐれていると思える。筆者にとくにお願いして、公開の許しを貰った。84KBあります。次をクリックしてください。
淵邊朋広『ベ平連運動研究序説――市民運動の登場と展開――』1999年、その後2003年に一部改訂。新搭載(2003/03/11)
これも、上の国長論文と同様、書物ではなく、筆者の1999年度早稲田大学大学院文学研究科修士学位論文『べ平連運動研究序説』(史学・日本史)を改訂したものである。筆者の了解を得て、ここに公開する。転載許可について淵邊三に感謝します。次をクリックしてください。
吉岡 忍『「ベ平連」の歴史――ベ平連紹介DVDのナレーション第一次原稿』2002年 搭載(2002/01/17)
これも書物ではない。ベトナム・ホーチミン市の戦争証跡博物館に、日本のベトナム反戦市民運動を紹介する資料を寄贈する際、その一つとして作られているDVDのためのナレーション原稿だが、ベ平連の概要を知るのには適切なものの一つである。次をクリックしてください。