■[トピック] |
◆辛口レビュー 震災はまだ終わっていない 清原教介さん(芦屋中央地区住民の会)
◆CATCH UP
◆いずみ(編集長コラム)
◆インタビュー 祝・当選 中川智子衆院議員(社民党)
◆国労臨時大会休会―闘争団「四党合意」へ怒り爆発 江藤正修(『労働情報』編集長)
◆危険な信仰 フッ素の虫歯予防(2) 南雲明男(フッ素を考える新潟連絡会)
◆6・30 労働者サミット大阪
◆追悼・宇都宮徳馬先生 樋口亮一(宇都宮軍縮研究所)
◆部落解放運動 荊の道はいま(3) 笠松明広(解放新聞編集長)
新たな解放理論の構築
◆ゲバ太の怒り(7) 亀井静香氏の凋落
◆インタビュー 増田京子・箕面市議
◆市民派議員リレートーク(12) 羽田美智代(北海道石狩市議)
◆ECOひいき @東京・People Tree A東京・アルテミス
◆旅 2000年の田舎(7) 究極の郊外型店舗
◆韓国 あれやコリア(3) 半島のイヌの話
◆BOOK Review
『“隣人”の素顔―フェンスの内側から見た米軍基地―』(NHK出版/2000円+税)
◆広告(3面)
『QUEST』NO.8……オルタフォーラムQ
『水道水フッ素化批判・資料集』ほか……フッ素を考える新潟連絡会
『記録』8月号……株式会社アストラ
『創』8月号ほか……創出版
どうして私に強制執行?
清原 教介さん
(芦屋市中央地区住民の会)
昔ながらの自家精米の米屋さん
私たちに震災は終わっていない
この国は「お上(かみ)の国」だ!
清原教介さんプロフィル
きよはら きょうすけ 1956年、芦屋市生まれ。4代前から芦屋市在住。米屋は2代目。95年1月17日の大震災で家屋は全壊し、当時75歳の父親を亡くした。現在、73歳の要介護5の母親と二人暮らし。一部の地域ボスが牛耳る街協(街づくり協議会)に対抗する住民主体の街づくりをめざす「住民の会」の会員。市が委託した区画整理を強権的にすすめる都市基盤整備公団を相手どって訴訟中。ところが公団は7月26日、清原さんの土地と家屋の明け渡し・撤去の強制執行工事を通告してきた。すでに区画整理で十分すぎるうまみを味わい尽くした街協は、われ関せずと傍観するばかりか、飛び火を避けるべく解散してしまった。清原さんと住民の会は最後まで闘うつもりだ。
――大震災から5年6ヵ月たちました。震災後1、2年は、大阪の飲み屋でも思い出したようにですが「お宅の被害はどの程度?」と、酒の肴にでも聞く人がいた。今では話題にする人もいない。
世間なんてそんなもんでしょう。今年1月の県や市の合同慰霊祭は、「これにてうちどめ」の感じだったですよ。
――生きるのに精一杯の庶民に、他人の不幸をいつまでも憶えておいてくれとはいわない。けれども地震を人災にした行政が、それを反省するどころか、清原さんに強制執行までかけてくる。年一回の慰霊祭で罪滅ぼししているつもりなのは許せない。あんなところに出かける遺族もどうかしている。国家に身内を殺されながら靖国神社に祀られて喜んでいるようなものだ。
私には難しくてよくわかりませんが、震災はとっくに終わったと思っている人は、私どもの中央地区に来てもらうと、そうではないことがよくわかるのではないですか。いたるところ更地のまま放置されています。
――する必要のない区画整理のため、資力があっても自由に家を再建できないからですよね。
そうです。五年たっても仮の住居しか建てられない。換地されると、せっかく建てた家を壊し、換地先で建て直さんといかんからです。震災はここではまだ続いています。
――清原さんは、仮換地に異議ありとして公団相手に訴訟していますが、区画整理そのものに反対なのですか?
今回の区画整理の背景にある再開発という思想には大きな疑問をもっています。再開発は大きなスーパーや、資力を持っている商店などは歓迎でしょうが、私たちのような零細商店にはデメリットばかりです。この地域は昔ながらの商店街や市場が細々とですが営業していました。それぞれのお得意さんをもっていて何とか商売していました。
しかし、震災はそうした小商店の息の根をとめてしまった。老人の多い小商店の再建は行政の援助がなければ不可能です。ところが再開発で商店街の代わりに、スーパーやレジャー・ファッションビルを建てるのです。だいたい漬物屋や豆腐屋、お好み焼き屋が権利金と家賃があんな高いビルに入れますか。
――清原さんは、それでも米屋をやりたいといわれる。そんなに儲かるのですか?
とんでもない。米屋で儲けるには、私ところの数十倍の資力と店舗、倉庫、従業員が必要です。私には父からうけ継いだ米屋しかする能力がないからです。それに父が頑固にやってきた商法に、私も誇りをもっているからです。無念の思いで死んだであろう父の遺志を継ぎたいのです。
――米といえば、5キロか10キロのビニール袋で買うものでしょう? ぼくとこはきまった米屋があって、毎月20キロ配達してもらっていますが、若い世帯などはスーパーで買います。ユニークな商法って、どんな商法ですか?
玄米を自家精米します。ふつうの米屋はそこまでやらず白米を売っています。いわばその日に搗いた米を店頭で売り、得意先に配達します。スーパーの米とは味がまったくちがいます。袋も大口には昔ながらのワラの米俵です。米は、夏場は半月で食べきらないと味が格段に落ちるほど鮮度に敏感な商品なのですよ。
――へぇ、まったく知りませんでした。毎夏、3週間ほどイタリアに出かけるのに、残った米はアルミの箱に入れたままです。
グルメとはとてもいえませんね(笑)。玄米は風通しのよいところに積みあげて、しかも定期的に積み変えねば鮮度が保てません。だから三方から風が通る角地で、一定のスペースが必要です。それを公団は角地でないところで、スペースも大幅に減らした所に移転せいというのです。
角地でなくなると、騒音問題も生じます。米屋の営業条件には騒音防止が入っていますから、官が官の課した条件を無視しているのです。
私はなにも元の場所でなければ絶対ダメだとゴネているのではありません。小さな米屋が今までどおり米屋でありたいと考えるのが、そんなにだいそれた要求でしょうか。
――土地が道路に面すると利用価値が上がり、減歩率も増え、清算金も増額される。そこで土地と道路の間にむりやり市有地を張りつけた。そうすると減歩も清算金も少なくてすむ。こうして3000万円の清算金を払わずに済んだのは街協の役員だった教会である。坊主丸儲けという次第。同じく街協のボスでもある古参市議は36%の増換地。これを筆頭に換地指定330件中、土地が増えるのは50件。いずれも街協の役員か、そいつらに目をかけてもらっているタイコ持ち。これこそゴネ得ならぬ役得。こうした輩の儲けは、清原さんらの減歩によって相殺される。
小寺山さんの演説のとおりです(笑)。理不尽にしてもみんなが平等に負担をかぶるのなら、これほどの憤懣は起こらなかったでしょう。
私の家には、毎日のように「お前がごねているから換地がすすまず、俺も家を建てられない。100万円よこせ」という電話がかかってきます。最近では30万円まで値下げしてきました(笑)。また、住民の会代表の家には「孫子の代まで呪ってやる」とかかってきて、奥さんがノイローゼになってしまいました。
住民同士のいさかいが一番こたえますが、市や公団はむしろいさかいを煽動して、区画整理事業を強行しようとしています。
――仮店舗での営業、車椅子生活のお母さんの介護、そして強制執行と大変ですが、どうか頑張ってください。
母は私にとって、父が亡くなった今、かけがえのない人で、生きがいです。むしろ居なくなると生きがいがなくなります。まいっているのは、仮店舗なので白米売りしかできないこと。プライドが許さないと同時に、収入も震災前の十分の一に減りました。アルバイトをしてなんとか生きています。
強制執行にたいしては断固闘います。私らにとって本当に震災が終わるのは、以前の米屋にもどったときです。
[構成/小寺山 康雄]
この号が皆さんの手元に届くころには、清原さんの店舗兼住居は強制撤去されているかもしれない。もちろんわたしたち「市民がつくる芦屋会議」、「中央地区住民の会」は座り込み、ピケなど身体を張って抵抗するが、物理的にはかなうものではない。もしそうなったら清原さんは廃業するしかないかもしれない。廃業は身体の不自由な母親をかかえた清原さんにとって、生活の術を失うことである。
それでなくても震災前の10分の1に減った収入は、5年間、清原さんの生活を脅かしてきた。仮店舗で営業が不自由になったこともあるが、区画整理がもたらした住民の分裂、少数派の清原さんに対する多数派住民の顧客離れがあったにちがいない。そうにちがいないと思うのである。
街協を牛耳るボスには論功行賞のご褒美を与える。褒美は多数派住民すべてにいきわたらないから、不満は鬱積する。不満のもって行き場は、頑強に抵抗している少数派に向けられる。ゴネ得しようとしているにちがいないと邪推し、さまざまに嫌がらせをするのだが、こうした悲しい軋轢は市と公団にとっては少数派を孤立させるために喜ばしいことなのである。
5年間、市も公団も再三の申し入れにもかかわらず清原さんとの話しあいを拒んできた。話は街協を通せと言い、その街協は反対派住民を悉く排除してきた。悪知恵に長けた官民の連係プレーである。
話しあいすらしようとしなかった市が公団の強制代執行通告後、突如として清原さんに代替地の提案をしてきた。清原さんが望む角地の提案である。角地はギリギリの妥協点である清原さんは、この提案を呑んだ。ところが日を置かずに市は、代替地の所有者が承知しないので、この話はなかったことにしようというのである。市も円満解決に努力したというポーズを示し、強制代執行の地ならしをしたということである。
清原さんと同様のことは長田区など他の被災地でもあったし、今もあるだろう。庶民を虫けらの如く扱い、その運命を弄ぶのは、この国のかたちなのである。
小寺山 康雄
People Tree (東京)
*フェアトレード&エコロジーショップ*
東京自由が丘にある「People Tree」は、公正な貿易を通じて途上国の立場の弱い生産者を支援しているフェアトレードカンパニーの直営店として、1998年4月にオープンしました。
120m2のゆったりとした店内には、アジア、アフリカ、南米の20ヵ国72団体に上る生産者が心を込めてつくりあげた約1000店の商品が勢揃い。インドの紅茶、ペルーのコーヒーなどのオーガニック食品類、バングラディシュの手織り、手刺繍、草木染めの衣料品、ジンバブエのカラフルなアクセサリーや食器、そしてファンキーなポストカードなど、見ているだけで時間を忘れそう。
3回繰り返して使える「リ・ユーズ封筒」など、環境にやさしいライフ・スタイルを提案する国産品も揃っており、日常生活のなかで自然にエコロジー&フェア・トレードを実現できるようになっています。また、環境や貿易問題に関する書籍や、各旬五の発行物が入手できるコーナーもあるので、もっと学びたい、活動に参加したいという方にも気軽にご利用いただけます。
松江めぐみ(広報)
【連絡先】東京都目黒区自由が丘3−7−2
TEL 03-5701-3361 FAX03-5701-3362
アルテミス (東京)
*いのちを育むネットワーク*
わがアルテミスのヒット商品は使い心地満点の布製の生理用品「月のやさしさ」(3枚セット1600円)。ゴミ問題はなんといっても減量第一。たくさんの女性が捨てない生理用品を使えたらすばらしいでしょ? 反対を唱えて反感を買い、社会に敏感、家庭はヒクヒク。そんな苦い経験からいまの「アルテミス」があります。
心とからだと環境の交差点でジャンルを問わず思いをカタチにしています。女神を描く世界的な画家、小田まゆみさんとの仕事もそのひとつ。いま、開催中の展覧会のプロデュースや彼女との「内なる女神と出会う会」(8月/ハワイ)のワークショップは、「いのちを育む社会」への思いが込められています。中野ようこの自費出版のブックレット『こどもの日焼けに気をつけて!』(700円)は子育て中の親や教育関係者の方には必読。分かりやすい紫外線のお話です。
〈小田まゆみ京都展覧会〉
「たなばたの夕べ」 7/31まで
丸善京都河原町店八階イベントコーナー TEL 075-241-2161
中野ようこ(代表)
【連絡先】TEL 0422-37-2826 FAX 0422-37-2827
URL http://www5a.biglobe.ne.jp/~artemis/
ACTの名物コーナー「ECOひいき」に登場してくださるみなさんを募集しています。「ECO」なお店、会社、グッズ、運動、などを是非、ACTで紹介させてください。自薦・他薦は問いません。紹介文は、本紙だけでなく、ACTのウェブサイドにも掲載させていただきます。
@お店・グループ名 Aお店の紹介や商品説明、活動案内(500字以内) B連絡先(お店などの場合、「行き方」も) C執筆者氏名 D掲載紙送付先・原稿に関する問い合わせ先 ―を明記し、EメールかFAX、もしくは郵便でACT編集部[act@jca.apc.org]までお送りください。地図・写真などを添付していただければ、それも一緒に掲載いたします。(編集部)
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