No. 81 | ||
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1997年1月13日 | ||
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沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック |
全国紙・A紙は12月21日の沖縄県民大会を「基地の整理にらみ/結束にすきま風」と報じた。果たしてそうなのか?在日沖縄米軍基地の整理・縮小に関する日米特別行動委員会(SACO)の最終報告に対する反応を中心に、最近の沖縄の様子を紹介したい。
基地の約21%、11施設・約5,500haが返還されるという。これだけみれば在沖米軍基地の整理・縮小に関するSAC○の最終報告(12月2日)は◎である。しかしその大部分に沖縄県内への移設条件がついている。つまり整理・縮小に名を借りた中古基地の改造・強化に過ぎない。しかもわれわれの税金である。
SAC○の最終報告を受けて沖縄へやってきた橋本首相は、12月4日の基地所在地市町村長らとの懇談で、基地の過重負担を押しつけてきたこれまでの政府の政策を陳謝し、「(代替ヘリポートは)見切り発車しない」「県内移設は強行しない」と沖縄の基地問題解決に向け、地元合意を最優先させることを明言した。首相の話を聞いて、大部分の地元首長は感動して「信頼関係の回復」と言ったというが、橋本首相は<県内移設はしない>とは一言も言っていない。
この状況を沖縄タイムス中部支社の長元朝浩記者は次のように「意訳」している。
「地元の反対を押し切ってまで強行することはありません。でも、移設ができないと普天間の返還もできない。どっちが得策か、沖縄のみなさん、この際よく考えて下さい」と。つまり、普天間基地返還問題について、沖縄に下駄を預けたのである。首相は厚顔無恥、外面如菩薩・内面如夜叉なのである。
問題は少しも片づいていないのである。いやそれどころか、沖縄にとっては新たな苦悩の始まりなのである。
さて、95年の10・21県民総決起集会に結集し、沖縄の現状、基地からの脱却を訴えた各団体は、この報告をどう受けとめたのだろう。
高橋宏明さん(なんだったばー県民投票実行委)は「基地従業員が言っていたように、基地経済に依存している人でも沖縄の土地が戦争のために利用されることはおかいと思っている。知事は国と駆け引きしていく中で、経済問題を一緒にしてしまって、基地をなくしてほしいという、住民のいちばん大事な思いが反映されなかった。」
新垣勉さん(弁護士)は「基地返還が中心で、地位協定を全面的に見直そうという視点が薄い、という印象だ。」
玉寄哲永さん(沖子連会長)は「県はこれが基地撤去への第一段階というが、米側は兵力削減を約束できていないと言っており、このまま事務レベルの処理に入っても縮小へ向かうとは思えない。基地周辺の子どもたちは基地の存在に大変敏感だ。子どもたちが伸び伸びと育つには、基地のない沖縄が必要だ」と。
12月3日、読谷村のトリイ通信基地内でグリーンベレー兵士らが300発の空砲を発射。
12月10日、米軍トラックが国道で転覆して海兵隊員11人が死傷。米海兵隊戦闘爆撃機が演習の帰路、那覇空港の西約10キロの海上(米軍への提供水域外)に450キロ爆弾を投下。
12月12日、航空自衛隊戦闘機2機が那覇空港離陸直後の旅客機に異常接近。
12月13日、米海兵隊のヘリ2機が訓練中、久米島の民間地に緊急着陸。
沖縄を訪れた首相は、知事や開係市町村長との懇談の反応に気をよくして帰京したようだが、事はそれほど簡単なことではない。
12月17日の吉元副知事の講演と、同9日の大田知事の定例記者会見での話を総合すると、県の方針として<基地の県内移設を認めない運動をつくり、日米両政府に在沖米軍兵力の撤退を求めていく>ことは明らかである。
一方、大田知事も12月9日の定例記者会見で、個別基地の返還要請からさらに踏み込み、日米両政府に対し、在沖米軍兵力の削滅(米軍基地の七割を占有する海兵隊の撤退)を強力に求めていく方針を明らかにした。
そしで何よりも「基地の整理・縮小を求め県内移設に反対する12・21県民大会」が2万2000人の参加で成功したことだ。
97年決戦を闘いぬく(運営委員)
粘り強く闘おう(運営委員)
さて、昨年12月の学習会に続いて第2弾「公開審理はこんなもの・集会」をやります。わかりやすい模擬劇も企画中。会員扮する収用委員はどんな裁決を下すのか? 乞う、ご期待!
これまで三度にわたって行われてきた公開審理は、収用委員会会長の小堀・宜保らの独裁者的対応で地主の声を踏みにじってきた。五年前の審理でも、宜保会長は地主の意見陳述がまだ始まったばかりなのに、「裁決の機は熟した」と一方的に審理の開催中止・打ち切りをやってのけた。
今回・四度めの公開審理は、その第一回が2月21日と目前に迫ってきた。
今度はそうはいかない!
「本土」も含めて、世論は演習・訓練が日常生活と接しているような軍事基地の整理・縮小はもちろん、いずれ撤去も避けられないという方向に大きく波うっている。基地縮小のために特別行動委員会(SACO)が、昨年秋、日米間で設置されざるを得なかったほどだ。基地縮小のためのはずなのに、実際には移設条件つきの返還で、移設先がなければ返還もない…みたいな「最終報告」になっている。しかし移設候補地のすべてで「受け入れ」反対運動が起きていて、総論ではともかくも各論で「基地に感謝」する所はどこにもない。この世論を無視することは政府・防衛施設庁にはできない。だからこれまでの公開審理のようにはとてもいくはずがないのだ!
昨年四月の日米間「安保共同宣言」だって駐留米軍を47,000人と明記できなかったのだ。国会で論議もせずに事実上の条約改訂(アジア・太平洋への拡大)をやってのけるくらいだから、明記しなくたって既成事実にしてしまうことは朝飯前のはずだ。
ほんとうは明記したかったところだろう。明記できなかったのは、この世論の<力>だ。この力をあと一歩、<形>に表していこうではないか! 公開審理で押しまくり強制使用をストップさせるところまでもっていく、そのチャンス到来だ!
沖縄に海兵隊を駐留させて施設・区域を米軍に提供すること自体、安保条約には明記がない。「陸・海・空軍」とは明記されているが、「海兵隊」はそのいずれでもないのだ。だからアメリカの海兵隊に施設・区域を提供する条約上の根拠はない。また米軍の駐留経費も日米間の地位協定ではアメリカが負担すると明記されている。だから日本側が負担しているのには協定上の根拠がなく、「思いやり」によっている。しかし「思いやり」されるべきは、繰り返される事故・犯罪で命の危険に日常的にさらされている沖縄の住民の方ではないか!
反戦地主会・一坪反戦地主会・違憲共闘など五団体は去る12月25日、収用委員会に対して公正な審理ができるよう14項目の申入書を提出した。同申し入れは、基地への立ち入り調査や土地鑑定などへの便宜要求の他、すべての地主に陳述の機会を与えるなど、実質的な審理を要求するものだ。
第一回公開審理は来る2月21日。会員は反戦地主への支持・連帯の表明はもちろん、当事者としてできるだけ現地・宣野湾市の審理会場へ行って、大結集の力で強制使用手続きをストップさせようではないか!
五年前の公開審理のビデオがあります。。第一回と第二回分だけで、しかも未編集ですが、希望者に実費でダビングします。 関東ブロックへ申し込んでください。 |
◆期間:2月20日(木)〜23日(日)
◆経路
◆費用
◆定員 54人
◆申込方法
◆費用の送金方法
「みなさん、沖縄・問題はまだ終わっていません!公開審理の始まる時は、必ず沖縄に来て下さい!」
違憲共闘・事務局次長の安里秀雄さんを沖縄から招いて、関東ブロックでは昨年12月14日に「公開審理とはどんなもの?」をテーマに学習会を行った。講師の安里さんは明快な語り口で、強制使用手続きの一環である公開審理についてその法的根拠の解説も交え、参加者にわかりやすく説明。反戦地主の支援のヤマ場・公開審理にはぜひ「本土」からも参加してほしい、と訴え、会場からは質問や意見がたくさん出て、活発な質疑・応答となった。
公開審理は第一回がだいじ、大結集して下さい!と安里さんは強調した。
さて、いよいよというか、ついにというか、「本土復帰」から四半世紀の沖縄の歴史をまとめあげた本の決定版が出版されることになりました。
本書は沖縄問題に関心を待ち始めた人の「入門書」としてだけでなく、運動の展望を模索するうえでの参考文献となりえると思います。
滅らぬ米軍基地、実らぬ経済振興――。1972年の復帰以後、本土の関心が薄れるのと裏腹に沖縄の願いを裏切って厳しさを増した現実。この20余年、さまざまな困難に立ち向かって粘り強く繰り広げられてきた人々の闘いと、日米両政府とのせめぎあいを描く。沖縄と日本の将来の重大な転換点を迎えているいま、必携の通史。
(裏表紙から)
そして、沖縄戦終結から「復帰」までの歴史をまとめた故・中野好夫氏と共著『沖縄戦後史』執筆が著者自身「本土」在住の時期であったのに対して、その<続編>である本書は沖縄在住期の執筆です。
沖縄の側から見た沖縄史です。日本政府にに対して<沖縄>を突きつけたものです。
上からの指示待ち、というのではない自発的な運動こそが必要だと「本土」を告発しているのです。「運動の基礎はあくまで個人の方針を参考にそれぞれの判断と責任において、自主的行動をとればいいのである」
(本書91ページ)。
「決まったこと」だけを実行するのでは、もはや自発性・運動そのものは死滅しているのではないでしょうか?
各団体が主体的に沖縄現地の闘いにこたえていくことが大切であると、運営委員の一員として考えました。本書を読んで、その確信を深めました。