最高裁判決 一坪反戦通信 No.78-2

一坪反戦通信 No.78


最高裁判決     

  抗議の声で騒然

         傍聴者が申し入れ書


 薄暗く重々しい雰囲気の最高裁大法廷。例によってものものしい「注意」の後、こけおどしの真っ黒い法衣に身を固めた裁判官十五人。もっともらしく白くてぶ厚い書類のようなものを抱えて入場。

 着席した三好裁判長、
 「開廷します。」
 「本件上告を棄却します。」
 「閉廷します。」
 これで終わり。

 まことにあっけない幕切れ。前回(七月十日)のあの証言を、最高裁の裁判官たちはどう聞いていたのだろう?理由も述べずに、足早に立ち去る裁判官の後ろ姿は、橋本内閣の番犬の黒い影に変わった。
 こんな、憲法を無視・否定した判決に、傍聴席は抗議と要求の声で騒然となった。その声を押さえるように、

 廷吏  終了しました。法廷は終わりました。
 傍聴者 理由も言わずに閉廷とは何だ!裁判官を呼んで来い。
 廷吏  裁判は終わりました。こちらからお帰り下さい。
 傍聴者 裁判官の国民審査の時、Xをつけよう!
     それまで待ってられない!
 廷吏  どうぞ退廷して下さい。
 傍聴者 理由を聞かずに帰れるか!
     裁判官を呼んで来い!
     理由を聞かせろ。
 廷吏  判決理由は代理人に渡してあります。代理人にお聞き下さい。
 傍聴者 理由を聞きたいから来ているんだ!
     直接聞かせろ!
     なぜ言わないんだ!
 廷吏  退廷して下さい。
 傍聴者 法廷の様子を裁判官に伝えて、どうしましょうって聞いて来い!
 廷吏  退廷していただくのが私の仕事です。
 傍聴者 理由をきかなければ帰れない!

 こうした抗議・要求を背に、某氏から「反戦地主や弁護士の方々は、外に出られました。外の集会に合流しましょう。抗議のシュプレヒコールを挙げて新たな闘いに出発しよう!」と行動提起。法廷に残った六十余人、これを拍手で確認してシュプレヒコール。
 「上告棄却、弾ガーイ!」
 「強制使用、許サーン!」
 「大田知事と一緒に闘うゾー!」
 「特別立法、許さんゾー!」
 それでも席を立って外に出る人少なく、行動提起をした某氏に、「さあ、外の闘いに合流しましょう」と促されても、
 「出るんですか?」
 「出たくないなあ!」
の声があがる。
 廷吏の方はあい変わらず、
 「退廷して下さい。」
 「こちらからお帰り下さい。」
の繰り返し。

 さきほどの某氏ら、何人かで今後の対応を相談。再入廷を保障させるため廷吏の同行を求めて外の仲間と連絡をとることになる。ややあっての報告は「残った人は残った人で、人間らしく自分で判断して!」とのこと。
 それを受けてさらに相談。「傍聴者の意思をまとめて裁判官に伝え、その上で外の集会に合流しよう」というになる。まとめられた意思は以下の通り。


 傍聴者有志による申し入れ書

  1996年8月28目

               最高裁大法廷傍聴者一同

  最高裁大法廷判事
  三好裁判長 殿


 16時10分、これを拍手で採択。代表者が下平・主席書記官に手交。受領書と抗議文のコピーを三部受け取って帰廷。
 「がんばろう!」でしめくくり、16時20分、座り込み状態を解く。


 『反戦地主狩り?』のゆくえ

 前号(77号)で、防衛施設庁による、反戦地主の個人調査が組織的におこなわれ、しかも、職員が意識的に外部に漏らした件で、反戦地主会ら三団体が7月11日に申し入れたことをお知らせしました。
 翌12日に、着任したばかりの嶋口武彦那覇防衛施設局局長が会見をおこない、土地使用についての協力を県に要請したついでに、かの職員へは「厳重に注意」を強調するばかりでした。これは、前日の橋口氏の弁と何ら変るところはなく、こんなことでお茶を濁されてはたまりません。七月末の回答期限から一か月以上。施設庁は開き直っているとしか思われません。三団体としては、再び回答を促し、あくまで追及していきます。ひきつづき注目して下さい


一坪反戦通信 No.78][一坪反戦通信][沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック