沖縄県収用委員会審理記録
三宅俊司弁護士(土地所有者代理人)
○土地所有者代理人(弁護士 三宅俊司)
法律上の見解につきましては、こちらもちゃんとした文書で、今ここで口頭で話をされた以上のものを出していきますので、ぜひ収用委員会のほうで十分ご検討をお願いしたいと思います。
概略的には、先ほど松永弁護士が言ったようなのがこちらの柱になりますけれども、私のほうで釈明をしたい、それから事実関係を明らかにしたいというのは、いかに今の理由説明がうそであるかということを明らかにしておきたいと思います。
まず、真実の所有者の石原さんのところに、3月12日の午前6時に行きました。前回の調査では、自分たちはまだ調査をしてないので分からないと言っています。ところが、石原さんの前では、石原さんは施設局の課長との話を全部テープに録音しました。そこでは、「私どものほうは土地の登記簿謄本を取りまして、一応確認はさせていただいていますので、その中に石原正一さんの名義が一応ありますので、それで昨日確かに石原さん土地であるということがちょっと判明したものですから、それに対して、そのお詫びにお伺いさせていただいたということで」ということです。
前回、ここで調査をしていてまだ権利者が分からないと言っている段階で、既に施設局は、石原正一本人のところに行ってお詫びをし、権利者であったということを認めています。この公開審理で、偽証罪の拘束はないけれども、ちゃんとした本当のことを言ってください。うそを言わないでください。
それから、石原正一さんに対して何と言っているのか、ちょっとテープを聞いてください。強制使用の問題は一言も言っていません。
「私どものほうは、土地の登記簿謄本等取りまして、確認はさせていただいてますので、その中に石原正一さんの名義で一応ありますので、それが昨日、確かに石原さんの土地があるということが判明したものですから、これまで手続きが取れなかったといいますか、取らなかったものですから、それに対してお詫びにお伺いさせていただいたということで、今後につきましては、判明いたしましたので、いろんな手続きを取らせていただくということでよろしくお願いしたいということで、今日ちょっと朝早くから申しわけなかったんですが、ご挨拶にお伺いさせていただきました。よろしくお願いいたします。
ご承知だと思いますが、ことしの5月の14日で、20年前に契約、石原さん名義じゃなかつたかも分かりませんけど、当初契約させていただいて、それから20年ということで、その期限が今年の5月の14日ということになりまして、改めて契約をお願いするということなんですが、できればぜひ契約していただければ、われわれとしてはありがたいということなんですが。」
お聞きになりましたように、施設局課長が言っているのは、強制使用手続きをあなたに対してしていなかったからというお詫びではなくて、ことし5月14日で、あなたでない別の人が20年間の賃貸借契約を結んでいた者が、契約 期間が満了になる。5月14日ということで、それ以後も改めて契約をお願いしますということを石原正一さんのところへ来て言っているんです。
こんなだまし方を、おそらく私たち一坪に対してこういうことをやっているわけですから、反戦地主の人たちにはもっと大変なうそをついて契約をさせているんだと思います。こういった事態について、施設局はどう考えますか。こういううそをついてまで、当事者に会いに行くんですか。
それからもう1点、石原恭子さん、亡くなられた遺族の方、この人に対して確認をとったところ、夫の意思を継ぐからと言ったので、権利書など確認をしたというふうに言いました。これもまっ赤なうそです。私たちは、石原恭子さんにも、今回の事件で大変ご迷惑をかけたことをお詫びをし、事実関係の確認を取りました。そこでこういうことを言っていました。朝9時から3人の人が来た。内容証明が来ているけれども、これはどういうことなんですかと言ったら、いや、おたくのご主人が一坪反戦地主で、土地を一たん持っていたものなんですけれども、5月15日で期限が切れるのでどうお考えになりますかというふうに聞かれた。本人は、夫から(10年前に亡くなられた方ですから)沖縄の土地があるということも全く知らなかった。聞かされていないんです。で、自分たちは全く分からない、私は持っていたことも分からなかった。今ここで初めて知ったので、考えはちょっと分からないと言った。施設局の3人の職員が、じゃあまた1ヵ月後、外をまわってからまた1カ月後に来ますので、それまで考えをまとめてくださいねと言って帰っていった。1ヵ月後に施設局の職員はだれも来ませんでした。そのために今回の事情になっているんです。だれが夫の意思を継ぐと言ったんですか。その報告をした職員を前に出してください。
一度だけ、しかも1ヵ月後にまた来ますよと言って、全く来ない。とうとうお見えにならなかったんですと言っています。あなた方は防衛施設局の中でどういう調査をしているんですか。うその証明を付けて登記をした。今回はまたうその報告書をつくって、この公開審理、使用裁決を乗り切ろうとしているんですか。
それから、清水市について、同じように私たちは調査をしました。清水市の課長さんは非常に親切に対応してくれました。一つは、10年前の申請ということで、一番最初に申請したものについては分からない。それについて、施設局は公用ではなくて自費で出したというふうな依頼をしたというようなことを清水市に言っているんじゃないですか。公用で一番最初10年前の住民票を取ったんではなくて、私費で依頼をしたというふうに言っているんじゃないですか。これについて、課長は、依頼したんだぞということだったものですから、うんと言わざるを得ないというふうに答えています。
それから、この件については申請書の保管期間が既に経過しているので、事実関係については調査ができないと言っています。清水市では調査ができないと言っています。調査ができないことをいいことに、あなたたちはうそをついたらだめですよ。それから、10年前の請求については、ほとんど時間の問題があってどちらの請求をしたのか分からないというんです。それから、その後の請求については、あなたたちが今言っているように亡くなられた方の住民票を請求し、亡くなられた方の住民票を送ったのであって、自分たちは請求どおりのものを出しているので全く問題はないと言ってます。
それから、清水市の住民票の管理はコンピューター化しているそうですよ。コンピューター化しているときに石原正一の名前で出して、わざわざ別の住所の石原正一の住所を出してきますか。亡くなられた方の住所をコンピューターが当然出してきますか。普通、コンピューターの操作をしコンピューターでやっていけば、石原正一という名前を基準にして整理しているはずですよ。あなたが住民票を台帳でどうのこうのと言ってますけれども、これは、そんなページをめくって住民票を調べるようなことをやっているわけではないんですよ、コンピューターで出してきているんですよ。あなたたちの言うことは全くうそじやないですか。
だから、先ほど松永弁護士が言われているように、これまでの経過についての書類をすべてちゃんと出していただきたい。私たちに直接出せないというのであれば、収用委員会に対して付属文書も含めて、ぜひ出していただきたいと思います。
それから、先ほどあなたたちは、補正で足りるというようなことを言ってますけれども、皆さん方は、既にこの事件については、却下されるということを当然の前提として、法改正をしているじゃないですか。
私たちは、きのう一坪反戦地主会の代表を通じて、法改正の法案を入手しました。これによりますと、裁決申請等について却下の裁決があったとき、前条の起用により適用される土地収用法第130条2項に規定する期日の末日ということで、使用裁決の却下があったときの手続きが挙げられています。しかもその中に、括弧内で「当該裁決について防衛施設局長から審査請求があったときは、当該審査請求に対して、却下または棄却の決定があった日まで継続して使用できる」ということです。
つまり、この裁決申請で収用委員会の裁決で却下の決定が出る、そうすると防衛施設局は、建設大臣に対して審査請求をやっていく、それで決定を取り消して、またもとに戻していく、そういう手続きをわざわざ改正書の中の括弧書きでこんなもの入れているんですね。私たち一坪反戦地主会は、裁決の決定が出たことに対して、審査請求を建設大臣にやつてきました。5年たっても何も一つも進んでいません。実際に意見陳述が出された件はほとんどありません。
地主側がこの制度をつくれば、5年間放置されていく。ところが、自分たちはさっさとこういう法律をつくって、却下決定が出されても国に泣きついていく、建設大臣に泣きついていってこの決定を取り消してもらって、また、裁決申請をして裁決手続きに乗せ替えていく、それまでずっと自分たちが使えるような方法を今回とっているわけですね。
そうだったら、ここで私たちが一生懸命、これについて過失があるのかないのか、何のためにやっているんでしょうか。何をやろうと、この土地を継続して使用するための法律をつくり、しかも、石原さんのこの土地がパンクになることを予測して、わざわざ括弧書きでこういうふうなことまで入れて改正をしようとしている。
こういう状況の中であなたたちは、先ほど亡くなられた石原さんの問題もありましたけれども、私たちがお詫びをしました。皆さん方は、石原さんのところにお詫びに行ってますか。あなたたちは、国民を適当に利用しても、全く反省の色がない。皆さんは、一坪は特定の思想をもっているからどうのこうの言いますけれども、皆さんの頭の中には国民の顔なんかないんでしょう。
ぜひ、この事件については、これまで2人の方が釈明しましたけれども、実際に、あなた方が補正で足りるんだっていう資料をすべて収用委員会に出していただきたい。そして、地主の側にも出していただきたい。それを最後にお願いしたいと思います。
○当山会長代理
はい、ご苦労さま。今のは一応意見として聞いてよろしいですね。収用委員会としても、非常に興味深く聞いておりますので、双方から資料を徴収して、最終的には判断したいと思っております。
それでは、続きまして求釈明事項、前回の残り分がございましたので、まず、長野真一郎さんからお願いしたいと思います。