求釈明申立書


 米軍用地強制使用事件について、第一回公開審理において那覇防衛施設局長がなした「使用の裁決の申請理由説明」に関し、第2回公開審理において、下記の事項について釈明を求められたい。

 なお、求釈明事項中のページ数は、那覇防衛施設強調作成の平成9年2月21日付「使用の裁決の申請理由説明要旨」のページ数である。

一、1ページ「使用の裁決の申請理由」の前文について

  1. 「賃貸借契約を締結して使用してきた土地で……契約更新を拒否されている土地がある」というが、その契約更新拒絶されている土地の筆数、面積、地主数。
  2. 賃貸借契約している土地(又は使用していた土地)各土地の賃貸借期間の満了日。
  3. 右各土地のうち、地主に返還した土地があるか。あるのであれば、その筆数、面積、地主数。

二、 1ページないし2ページ「第1 申請理由等」について

  1.  (2)「民公有地のうち、約99.9パーセントの土地については、その所有者との合意を得られた」とあるが、
    (一)右合意すなわち賃貸借契約の内容を明らかにされたい
    (二)右につき、賃貸借の予約をなしたことがあれば、その内容。
    *右(一)(二)については、賃貸借契約書ならびに同予約書を盛ってその内容を明らかにされたい。
  2. (3)「平成9年5月14日までに使用期間中においても、賃貸借契約の締結ならびに施設及び区域の整理・統合・縮小の努力を重ねた」とあるが、いかなる努力をしたのか、具体的に明らかにされたい。
  3. (3)「約36.6ヘクタールの土地については、所有者との合意が得られる見込みがない状況にある」とあるが、
    (一)見込みがないと判断した根拠は何か。任意交渉はしたのか。
    (二)任意交渉をしたのであれば、全ての対象土地と交渉したのか。
    (三)一部の地主とだけ交渉したのであれば、他の地主とは、なぜ交渉をしなかったのか。
  4. (4)(楚辺通信所)について
    (一)平成8年4月1日以降の土地使用権源は有るのか、無いのか
    (二)権限がないのであれば、今これを占拠し、地主に返還しない根拠は何か。

三 2ページないし3ページ「2 申請理由」について

  1. (1)について
    (一)「日米安全保障体制」とは何か。「日米安保条約」との関係はどうか。
    (二)「アジア・太平洋地域」と「極東」との関係。同じ地域か、異なる地域か。それぞれの地理的範囲を地図で示されたい。
    (三)「今後相当長期間にわたり使用されると考えられるので」とあるが、このように考えるのは政府なのか、国民なのか。仮に政府だというのであっても、政府の政策選択は、その時代の国民の意思によって決定されるのであり、国民の意思が「今後相当長期間にわたり」変化しないとは、誰も予測できないはずだ。そうだとすれば、この主張は論理的に証明不能であると考えるが、どうか。
    (四)「日本は米国に対し、今後相当長期間にわたり……安定的使用を図」らなければならないとする条約上の義務があるのか。あれば、この義務は安保条約のどの条文に明示されているのか。
  2. (2)について
    (一)在沖米軍基地が、イラク攻撃のために使用されている実態がある。これは、日米安保条約第6条に違反するものであると考えるが、そうか。
    (二)“第3海兵遠征軍”と呼ばれる海兵隊について、アメリカ国防長官は“日本の防衛任務に当てられていない”と議会で証言している。同部隊は、日本を直接防衛する任務を持たない兵力だと考えるが、どうか。
    (三)“海兵隊”は、陸・海・空いずれの軍隊か。
    (四)沖縄の米軍基地、特に嘉手納弾薬庫に核兵器は貯蔵されているのか。劣化ウラン弾は貯蔵されているのか(根拠をも含めて回答を求めてください)。
  3. (3)について、昭和47年5月15日に日米両国代表が締結した協定の内容を明らかにされたい(具体的資料を添えての回答を求められたい)。
  4. (4)について、「それぞれ、施設及び区域の運用上、他の地域と有機的一体として機能しており、必要欠くべからざるものである」とあるが、
    (一)「有機的一体」とは、そもそもどのような状態を言うのか。
    (二)本件各土地が使用できないことによって、各施設や区域の運用上、どのような不都合が生じるのか、具体的に明らかにされたい。
    (三)キャンプ瑞慶覧の教会用地が、如何なる意味において、施設及び区域の運用上、他の土地と有機的一体として機能していると言えるのか。

四 3ページないし6ページ「3 裁決申請にいたるまでの手続きの経緯」について

  1. (1)について
    (一)意見照会する前に、3085名の地主のうち何名の地主に対し任意交渉をしたのか。他の地主に任意交渉をしなかった理由は何か。
    (二)意見照会に対する回答(意見書提出)は、全ての土地所有者がなしているのか。
    (三)意見書を提出しようとして、平成7年3月24日、那覇防衛施設局に出向いた地主のうち、意見書の受理を拒否されたものがあるか。
    (四)意見書の提出方法として、直接“手交”する方法は認められないのか。できないのであれば、その理由を明らかにされたい。
    (五)手交を拒否され、那覇防衛施設局の玄関前に置かれた意見書があったか。その意見書はどのように取り扱われたか。
    (六)嘉手納町字東野理原351番の土地について、実測平面図が添付されていなかったとあるが、なぜ添付されていなかったのか。
    (七)翌6月4日に、立ち会い署名の日時を変更することについて地主の同意を得たのか。
    (八)意見書の提出に先立ち、地主は現地立ち入り調査の申立をしたが、これについて那覇防衛施設局は“その必要性は認められない”として拒否した。必要性が認められない理由を明らかにされたい。
  2. (2)について、「使用認定後、……土地調書及び物件調書の作成に着手した。」とあるが、
    (一)使用認定告示の日(平成7年5月9日)以前に着手したのではないか。「平成6年7月、測量専門業者に発注し、……同年9月に作成した」とあるのは、矛盾した主張ではないか。
    (二)現地測量をした日は、何時か(各土地ごとに明らかにされたい)。
    (三)告示の日である平成7年5月9日以降に、現地測量をしたことはないのか。
    (四)那覇防衛施設局は、使用認定前の実測平面図でも適法であると考えているのか。
    (五)物件調書作成に関し、誰が、何時、現地を確認したのか。施設ごとに明らかにされたい。
    (六)使用認定のなされた13施設すべてについて、

1. 施設の任務
2. 施設の概要
3. 施設の管理部隊名
4. 施設の使用部隊名及びその任務

五 6ページ「第2 申請内容」について1

  1. 嘉手納弾薬庫について
    (一)「保安用地」とあるが、「保安緩衝地帯用地」との違いは何か。
    (二)「保安用地」の範囲(区域)を定める基準があれば、それを明らかにされたい。
  2. 嘉手納飛行場について
    (一)「保安緩衝地帯用地」の範囲(区域)を定める基準があれば、それらを明らかにされたい。
    (二)住宅地区、学校、家族住宅地行きについてまで、日本国が提供義務を負う理由を明らかにされたい。
  3. キャンプ瑞慶覧について
    (一)排水路敷地として使用されている土地の地目は何か。その土地は、返還する際に現状回復は可能な状態となっているのか。
    (二)「教会用地」として使用されている土地について
    1. その教会の施設管理権はどこに属しているのか。
    2. 教会は、誰が使用しているのか。軍人のみの使用か。
    3. 特定宗教の施設のための土地を提供することは、政教分離の原則に反すると考えるが、どうか。
  4. 楚辺通信所および瀬名波通信所について
    (一)平成13年3月31日までには対象土地を確実に返還することを、土地所有者に確約することができるのか。
  5. 楚辺通信所および瀬名波通信所以外の施設について
    「使用の期間」を10年とした根拠は何か。米軍と交渉した上で決めたのか。交渉したのであれば、その内容・経緯を明らかにされたい(各施設ごとに明らかにされたい)
  6. 各施設について
    「使用の方法」について、何を根拠にして「使用の方法」を決めたのか。米軍と交渉して決めたのであれば、その内容・経緯を明らかにされたい(各施設ごとに明らかにされたい)


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