沖縄県収用委員会 第10回審理記録

新垣萬徳(土地所有者)


 土地所有者(新垣萬徳)

 こんにちは。キャンプ瑞慶覧の新垣です。

 意見陳情する前に、土地の立ち入りを認めなかったのに抗議いたします。管理権を理由に、なぜ米軍が土地立入りを拒否するのか不思議である。なぜならば、我が国は、資本主義国家であり、憲法上、土地の私有財産権を認めている。

 私は、米軍の管理権よりも私有財産権が優先するべきだと思っているからである。私は、以前自分の土地に入ったことがあるが、土地に入ったからといって、米軍の活動には、何も支障はなかったと思っております。なぜ自分の土地に入りたいかと言うと、一つには、自分の土地は、地籍明確化法で、集団和解方式で配分された土地であるので、図面どおりの面積があるかどうか、自分の目で確かめたい。なぜならば、私の父は、生前約400坪余りの土地が、集団和解方式のため損したと言っていましたか ら。

 それと二つ目には、土地の一部に長さ約20m、幅20cmぐらい、深さ15cmぐらいの穴 が掘ってあったので、その穴が何のために使用されているかを知りたい。そのためにぜひ自分の土地に入りたいと思います。なお証拠の写真は、後日提出したいと思っております。今は、土地に入った証拠はあります。(資料を渡す)

 それから次に土地について意見陳述をします。

 私は四つの大きな理由で契約を拒否した。

 1番目に、今度の戦争で、祖父をはじめ、5親等内の親族を6人亡くしました。だか ら自分の土地が人殺しに使用されたくなく、平和のために使用したい。

 それと2番目には、土地はいつかは返されると思っています。永久に沖縄に米軍基 地があるとは思っていません。私は、以前民間車検場をつくるために、土地を探したことがあるが、しかし中部一帯で、自分の条件に合う土地を探すことは不可能でした。同じいつかは返される土地ならば、自分の代で返してもらって、その土地に民間車検場をつくって3分の1の面積だけで、現在の地料の収入を上げることができると思っております。自分の代で本来の土地の姿にしたい。子や孫の代に土地の件で苦労させたくない。

 3番目に、日本政府とそれに加担した国民に対して不満から拒否した。日本政府と それに加担した国民は、日米安保条約を認めている以上は、その重圧を受けるべきである。

 しかし、基地の重圧は沖縄県民だけに押しつけて、自分たちは楽に生活している。沖縄は、全国の約1%の人口しかないので、米軍基地も1%で十分である。なぜ全国の約75%を沖縄に押しつけるのか。沖縄県民は、いつまでも米軍基地の重圧に苦しむ必要はない。

 3番目に、米軍に対しての不満から拒否した。私は、中学校時代のころから新聞を 読むのが好きでよく読んでいたが、沖縄での米軍の事故、事件の対応に大変不満を持っている。米軍の沖縄県民に対しての対応は、人権人格を全く無視した対応であると思っている。米国は口を開けば、世界の自由、人権を守っていると言っているが、しかし沖縄県民の人権、人格を守らない国が、どうして世界の自由、人権を守ることができるのか、疑問である。私は、米国が言う自由、人権とは、米国国民だけに適用され、決して沖縄県民には、適用されていないと思っております。

 スライド8番できますかね。

 これも見たとおり、1,000坪あります、建物が2件建って、一つは、3分の1、一つは約4分の1しか建っていませんが、さっき言ったように、1,000坪の中に、まるっきり建っているもの二つ。そうすれば平均3件だと見ていますが、1件当たり350坪ぐらい 使っていると思います。そのために、沖縄県民は狭い面積に閉じ込められ、沖縄県民のような条件で、家をつくれば米軍の住宅地の多くが返還が可能である。土地を返還して、県民に楽しい生活をさせるべきだと思っております。そういう理由で契約を拒否したので、1日も早く自分の土地が沖縄県民の人権、人格の抑圧から解放され、人殺しの土地から生産の土地に変えることを願っています。以上で陳述を終わります。どうもありがとうございました。

 当山会長:

 はい、ありがとうございました。 続きまして、照屋宏さん。


 出典:第10回公開審理の議事録から(テキスト化は仲田

 スライド写真提供:違憲共闘会議


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