シュワブ沖調査結果報告書

平成9年11月

普天間飛行場移設対策本部


 V 調査結果

 4 現地現況調査

 4−6 騒音調査

 4−6−1 航空機騒音予測

(1)予測目的

 航空機騒音の影響を把握する観点から、海上へリポート周辺の航空機騒音を予測する。

(2)予測内容

 海上ヘリポートにおける航空機の運用形態については、今後、米側と詳細に亘る調整を行う必要があるものの、普天問飛行場におけるへリコプターの運用形態とほぼ同様になるものと見込まれることから、同飛行場の運用形態に基づき航空機騒音を予測した。

(3)予測方法

ア 航空機騒昔予測については、「航空機騒音に係る環境基準」(環境庁告示)に示すWECPNL(加重等価継続感覚騒音レベル)の算定式に基づき行った。

イ 予測に用いた航空機の音響、飛行経路、飛行比率等については、米軍からの提供データ等を基とした。

ウ 予測に用いる航空機の機種は、普天間飛行場の配備機種であるAH一1、UH−1、CH一46、CH一53とした。
 航空機の昔響データは表4−6−1−1のとおりである。

航空機の音響データ(航空機までの近接距離と騒音レベルの関係)

単位:dB(A)

距離(m)

61

152

305

610

1524

3048

AH-1

93.3

85.0

78.5

71.6

61.2

52.1

UH-1

88.7

80.5

74.0

67.1

57.1

48.3

CH-46

91.8

83.4

76.8

69.8

59.1

49.6

CH-53

97.5

89.3

83.0

76.5

67.1

59.1

エ 海上へリポートにおける航空機の飛行経路については、集落や学校、幼稚園等の上空の飛行を避ける等の措置を講ずることとしているが、その具体的な航空機の運用形態等については、今後、米側と詳細に亘る調整を行う必要があることから、とりあえず現在の普天間飛行場の運用形態を前提に飛行経路を設定した。

オ 予測に用いた航空機の飛行回数については、普天間飛行場の滑走路両端において測定したデータを用いた。
 飛行回数、飛行比率は表4−6−1−2のとおりである。

(4)予測結果

 航空機騒音の予測について、現在の普天問飛行場とほぼ同様の運用が行われるとの前提で検討した結果、「航空機騒昔に係る環境基準」(環境庁告示)によって「専ら住居の用に供される地域」について定められた基準値てある70WECPNLを超える範囲は、図4−6−1のとおりである。


参考

WECPNLについて

 WECPNL(Weighted Equivalent Continuous Perceived Noise Level 加重等価継続感覚騒音レベル)とは、ICAO(International Civil Aviation Organization 国際民間航空機構)で提案された航空機騒音の「うるささ」を表す単位であり、昔響の強度だけてはなく、その頻度、発生時問帯などの諸要素を加味し、多数の航空機による騒音の総瀑露量を1日の平均として総合的に評価するものである。

W.E.C.P.N.L.を概説すると次のとおりである.

W 加重

 同じ大ききの航空機騒音であっても時間帯によってうるさく感ずる度合が異なるため、1機ごとの騒音値に対して夕方(午後7時から午後10時まで)は5dBを、夜間(午後10時から翌朝7時まで)は10dBを加算する。
(ただし、計算を簡便にするため、夕方の騒音発生回数を3倍し、夜間の騒音発生回数を10倍にする補正方法を採っている)

E 等価

 1日の総騒音量を求めて24時間で平均(等価)する。

C 継続

 平均(等価)された騒音が1日継続することを表したもの。

P 感覚
N 騒音
L レベル

騒音の周波数成分を考慮し、大きさだけではなくうるささの程度に重きをおいて評価したもの。(通常、簡便方式としてPNL=dB(A)+13が用いられる)

 WECPNL=dB(A)+101og10N-27

 ここで、dB(A):1日発生した航空桟騒音のパワー(エネルギー)平均値。

 N:時間帯ごとに補正された騒音の発生回数で次式による求める。

 N=N2+3N3+10(N1+N4)

N1: 00:00〜07:00の発生回数
N2: 07:00〜19:00の発生回数
N3: 19:00〜22:00の発生回数
N4: 22:00〜24:00の発生回数

 WECPNLコンター

 コンター(contour)は等高線又は海岸線のことをいい、WECPNLコンターとは等WECPNL線のことで、上式で求めたWECPNLの等しい点を結んで作る、第一種区域、第二種区域及び第三種区域の指定の基となる線である.


 4−6−2 道路交通騒音、環境騒音調査

(1)調査目的

 調査水域周辺地域の騒昔の現況を把握する。

(2)調査内容

 調査水域周辺地域における道路交通騒昔として国道329号線道路端3地点、環境騒音としてキャンプ・シュワブ内1地点を選定し騒音測定を実施し、とりまとめる。
 調査位置は図4−6−2のとおりである。
 なお、4測定地点の内、NO.3(世冨慶)のみ環境基準の「A地域のうち2車線を有する道路に面する地域」に指定されている。

(3)調査方法(測定日:平成9年9月4日、9月5日、9月8日、9月9日)

 各測定地点にて、毎正時から10分間の測定を24時間連続で行った。測定は環境基本法に基づく騒音に係る環境基準で定める方法に従い行った。

(4)調査結果

 調査桔果は、表4−6−2−1〜2のとおりである。

ア 道路交通騒音

 環境基準の「A地域のうち2車線を有する道路に面する地域」に指定されている測定地点NO.3(世冨慶)は、昼間、タとも環境基準を5−10d B(A)上回っていた。また、朝及び夜問については環境基準を満足していた。
 他の2地点は環境基準の地域の指定はないが、朝、昼間、タ、夜間ともすべて環境基準「A地域のうち2車線を有する道路に面する地域」の値を下回る値であった。

イ 環境騒音

 調査地点は環境基準の地域の指定はないが、主として住宅の用に供される地域にあてはめられる環境基準「A地域」の値を満足する値であった。


 4−7 振動調査

(1) 調査目的

 調査水域周辺地域の振動の現況を把握する。

(2)調査内容

 調査水域周辺地域における道路交通振動として国道329号線道路端3地点、環境振動としてキャンプ・シュワブ内1地点を選定し振動測定を実施し、とりまとめる。
 調査位置は図4−6−2のとおりである。
 なお、3測定地点の内、NO.3(世冨慶)のみ振動規制法における第1種区域に指定されている。

(3)調査方法(測定日:平成9年9月4日、9月5日、9月8日、9月9日)

 各測定地点にて、毎正時から10分間の測定を24時間連続で行った。測定は振動規制法で定める方法に従い行った。

(4)調査結果

 調査結果は、表4−7−1−2のとおりである。

 ア 道路交通振動

 すべての測定地点で振動規制法に基づく道路交通振動の要請限度(第1種区域)を下回る値であった。

イ 環境振動

 調査地点における振動は全ての時間帯で振動計の測定限界値を下回る値であった。



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