7. 施設周辺の状況
普天間飛行場は宜野湾市の中央部に位置し、しかも同市の全面積の約25%を占め、施設周辺は住民地域となっているため、航空機騒音、墜落等事故、雨水排水被害、道路交通網の遮断による経済的損失、都市開発等地域振興上の障害等の問題がある。
(1)航空機騒音について
ヘリコプター等の航空機による離着陸訓練及び住民地域上空の訓練飛行により航空機騒音が発生し、周辺住民の生活環境を悪化させている。
県環境保健部公害対策課が宜野湾市の協力で実施している騒音測定の平成3年度の結果は、字野嵩で平均値80.5WECPNLとなっており、基準値の70WECPNLを大幅に上回っている。また、同飛行場と隣接している普天間第二小学校では、平均値78.2WECPNLとなっており、基準値70WECPNLを超えているばかりでなく、平成4年7月の宜野湾市独自の調査では、ひと月間で7〜19時の間に70db以上の発生回数が1,347回も記録され、授業に大きな支障をきたしている。
周辺住民は常に騒音被害を受けており、その解消のためには、米軍は住民地域上空の飛行及び夜間飛行を禁止すること等の騒音綬和措置をとることが必要である。
(2)航空機墜落事故等について
この施設及びその周辺の航空機等墜落事故等については、復帰後から平成4年10月末現在で、昭和47年12月4日、沖縄国際大学の校舎建設現場におけるOV−10ブロンコ観測機からの燃料タンクの落下事故。昭和55年10月2日のOV-10ブロンコ観測機の滑走路における墜落、乗員死亡1名。昭和57年8月19日のUH-1ヘリコプター機の飛行場内における横転大破。最近では、平成4年10月20日のCH-46ヘリコプター機の滑走路における墜落大破と、これまで固定翼機2件、ヘリコプター2件、計4件の事故が発生している。
なお、この施設に所属する航空機等の事故発生件数は、平成4年10月末現在で固定翼機5件、へリコプター44件、計49件にのぼっており、県内米軍航空機等事故発生件数106件のうちの約46%を占めている。
(3)雨水排水被害について
この施設は、比較的高台に位置しており、しかも施設内の排水施設の整備が不十分なため、大雨の際は施設内の排水溝から雨水・汚水があふれ、周辺住宅、道路、農作物が冠水するなど、たびたび被害をもたらしている。
(4)道路交通網の遮断による経済損失及び地域振興上の障害について
宜野湾市の中央部にこの施設が位置するため、公共施設の整備をはじめとする都市計画の策定、執行はもとより周辺集落間の道路交通網が遮断され、基地周辺道路の交通渋滞や交通料金の割高等を余犠なくされて、住民は不利益をこうむっている。
また、同施設は那覇市と沖縄市を結ぷ都市軸上の中心に位置し、中南部都市圏の都市開発整備を図る上でも重視されている。宜野湾市当局及び市議会では、同施設から発生するたび重なる基地被害に対して、そのつど抗議を行うとともに同施設の返還を強く求めている。
県でもこのような状況を踏まえ、平成3年7月の知事訪米をはじめその他開係機関との析衡で、特に同施設の返還を要望しているところである。