1997年4月10日  

沖縄軍用地違憲訴訟支援県民共闘会議  

議  長      有 銘 政 夫  

沖縄は告発する!米軍用地収用特措法

改悪を許さない東京集会への協力要請

 貴団体におかれましては、常日頃から沖縄問題に取り組んでいただいていることに対し敬意を表します。

 政府は、現在、契約拒否地主の土地を米軍に提供するため、沖縄県収用委員会に対し、米軍用地収用特措法に基づく強制使用裁決申請をなし、目下、収用委員会において審理が行われている最中であります。

 ところが、政府は、使用期間が終了する本年5月14日までに、裁決に基づく土地使用権を取得することができないとして、国が収用委員会に対し、強制使用の裁決申請を行うだけで、使用権を取得するとの内容の米軍用地収用特措法の改悪を画策し、去る4月3日閣議決定をして国会に提案をしています。この政府の策動は、法案の具体的内容を国民の前に明らかにして、広く国民的論議を起こすという民主主義のルールに反すると同時に、安保優先の立場から時の権力の都合に合わせて法をねじ曲げるものであり、絶対に許されるものではありません。

 強制収用・使用は、憲法第29条が国民に保障する私有財産権を制限・剥奪するものであり、その手続については憲法第31条の適性手続の保障がなされるべきであります。

 また、準司法機関である収用委員会が中立的立場で「公共の利益と私有財産との調整を図る」観点から強制収用・使用の是非を判断することは、適正手続の保障の上で不可欠なものであります。

 今回の改悪法案は、米軍に土地を提供することを拒否する地主に対して、事前の告知、弁解、防御の機会を与えないまま、しかも、中立的な第三者機関たる収用委員会の判断が未だなされていないにも関わらず、収用委員会に強制使用申請を行っただけで、国に使用権を与えるものであり、憲法が定める私有財産権・適性手続の保障を根底から否定し、国民の平和的生存権を侵害し、さらに、実質的に沖縄を適用対象とした差別立法であり、何重にも憲法違反を重ねた暴挙法案と断ぜざるをえません。

 法の支配は、長い人類の歴史の中で、不断の努力により、確立された人類の英知であり近代社会・国家を成立せしめる基礎であります。しかし、法の支配を否定する今回の政府の行為は、自らの存立の基盤を掘り崩すものであり、自殺行為と評すべきものであります。沖縄における米軍基地の形成・維持の歴史は、国際法に違反して米軍が「銃剣とブルドーザー」で築いた基地を、米軍の布令・布告で、白本復帰後は「法律」の名で「正当化」しようとしてきた歴史であります。

 今回の米軍用地収用特措法の改悪は、このような沖縄への差別の歴史に更に上乗りすることであり断じて許されるものではありません。

 強制使用の期限切れという状況を迎えたことは、このような沖縄県民の人権を無視した日本政府の差別政策がもたらしたものであり、反戦地主や一坪反戦地主に責任があるものではなく、ましてや県収用委員会に責任があるものでもありません。

 私たちは、沖縄の21世紀に責任を持つものとして、ここで、日本政府の沖縄差別の政策に明確に“否”ということを表明し行動することが求められていると考えています。

 別紙のとおり、「沖縄は告発する!米軍用地収用特措法改悪を許さない東京集会」を開催することとなりました、つきましては、ど多忙のおりとは思いますが、ご協力の程よろしくお願い致します。


米軍用地特措法改悪関連の資料][声明・決議等][沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック