11 7月23日、東京・日比谷野外音楽堂での反国旗・国歌法案6千人集会について (1999/07/24掲載)
以下は、7月24日、〔aml〕通信に私が送った投稿です。それを再録します。
昨夕の「日の丸・君が代」法制化反対!7・23大集会については、NHKなど昨夜のTVニュースでは報じていましたが、今朝の朝日、毎日などは、まったく無視していましたので、簡単ですが、ご報告しておきます。
主催者によると6,500人参加。集会場でのカンパ(アピールは婦人民主クラブの赤石千衣子さん)は60万円。連日あった夕立もなく、暑さの中を国会コースと新橋・銀座コースに分かれてデモをしました。
集会には、呼びかけ人の中から、大津健一(日本キリスト教協議会総幹事)、内田雅敏(弁護士)北村小夜(元教師)、松井やより(アジア女性センター代表)、山住正己(東京都立大前総長)、森川金寿(弁護士)氏ら、多数が参加していました。政党代表では、共産党(不破哲三)、社会党(清水澄子)が挨拶、ほかに民主党の坂上富男衆院議員が同党の法案反対者の一人として挨拶しました。坂上議員の話は、党として反対できなかったのは残念だが、しかし、衆院での反対投票議員の数のうち、過半数が同党議員だということを強調して、参加者からは笑いがもれました。
採択された集会アピールは、最後に掲げますが、当日配布されたアピール印刷物、および、今朝の『しんぶん赤旗』に載っている文と違って、最初の一節、全体の三分の一ほどが、当日は朗読されませんでした。時間がオーバーしていたためかとは思いますが、断りもなかったように思います。
この集会にも、前の盗聴法反対集会のように、JR総連、100万人署名運動などが参加していましたが、今回は、入り口付近での険悪な状況はなかったようです一つには、準備段階で、事務局の腕章管理などが厳密に行われ、問題を起こす可能性のあるグループに腕章が渡らないようにするなど、かなり神経が使われたためかと思います。
余計なことですが、いくつか、私の個人的感想。
当日のためのチラシ一つ見ても、準備段階でのいろいろなトラブル防止の苦労が察せられます。たとえば、実行委の出したチラシの右上にあるカットの中で、最左端の人物が首から下げているプラカードが白紙になっているのですが、ここは、原案では、「国民的大討論を起こそう」という趣旨の文字が入っていたそうです。この表現がある政党の力説している主張なので、削ることになったとか、あるいは、「この集会は、非暴力の集まりです」という注意が目立つように入っているなどです。当日配布された実行委のビラにある
「実行委員会確認事項」には、「◎この集会は非暴力の集まりです。ヘルメットなどは着用しないでください。/◎発言者に野次を飛ばしたり、集会・デモの妨害を行わないでください。……」などともありました。これらの確認事項も苦心の産物かもしれませんが、かつてベトナム反戦運動での共同行動の中で確立されてきた原則などと比べると、ずいぶん貧弱な後退した内容のように、私には思えました。
なお、「日の丸・君が代」法案通過についての私の個人的意見としては、私のホームページの「最近文献」にある行動の提案をしていますので、ご覧くだされば幸いです。(
→ リンク)
集会アピール
私たち研究者・教育者・文化人・宗教者・市民・団体は、それぞれの立場から「日の丸・君が代」の法制化に反対するさまざまな取り組みをしてきました。私たちは、咋日、衆議院本会議で「日の丸・君が代」を国旗・国歌とする「国旗及び国歌に関する法律案」が可決されたことに対して、深い憤りを覚えながらこの集会を開きました。国民の間に定着しているという政府の意見にもかかわらず、国民の間には「日の丸・君が代」を「国旗・国歌」として法制化することに対する反対の声が日増しに強くなっています。にもかかわらず「国旗・国歌に関する法律案」などの重要法案が、次々と自自公の合意のみで、しかも短期間で決められることは、議会制民主主義の破壊を意味しています。(ここまでは、当日朗読されなかった――吉川注)
「日の丸」は、戦前、日本のアジアヘの侵略、植民地支配の先頭にいつも掲げられていたものです。「君が代」は、天皇を賛美する歌であり、憲法の主権在民の原則に反します。「日の丸・君が代」の法制化は、学校現場においては、教師と子どもに対する「日の丸・君が代」の強制になり、良心に従って「日の丸・君が代」に従わない教師と子どもへの処罰問題などによって、学校現場に大きな混乱をもたらすことになります。また、私たちはアジアの一員としてアジアの人々の感情、特にアジアの戦争被害者の感情に繊細でなければなりません。更に、かつて日本に侵略された歴史を持つアジアの国をルーツにもつ「在日外国人」の子どもたちへの「日の丸・君が代」の強制を許せません。地上戦の体験と基地の重圧に苦しむ沖縄の人々に対しても、「日の丸・君が代」の強制を許せません。私たちは、憲法によって保障された「良心・思想・信仰の自由」によって「日の丸・君が代」に従う自由と従わない白由をもっています。しかし、今回の法制化による強制は、それらの自由を奪い取っていくものであり、これは憲法違反です。私たちは、参議院においても引き続き「日の丸・君が代」法制化反対の声を上げ
続け、この法案の廃案を求めていく決意を表明します。
1999年7月23日
「日の丸・君が代」法制化反対!7・23大集会参加者一同
吉川勇一