78 小田実さんの病状について (『市民の意見』 (『市民の意見30の会・東京ニュース』改題 No. 102 2007 年8月1日号) (07/07/22搭載)
小田実さんの病状について
吉川勇一
「市民の意見30・関西」、「良心的軍事拒否国家日本実現の会」 の代表者である作家の小田実さんは、この3月、オランダで開かれたフィリピンでの弾圧問題に関する「恒久民族民衆法廷」に判事の一人として参加している間に、健康状態が不調となり、帰国後、4月に病院で検査を受けた結果、重度の冒ガンにかかっていることがわかりました。小田さんは、5月7日に入院し、今、抗がん剤の投与による治療が始まっています。
このことは、小田さん白身が、知人や市民運動の中の親しい仲間に送った「民衆法廷」の報告の手紙の中で明らかにされました。マスコミの上でも『東京新聞』5月2日号に載った瀬戸内寂聴さんの文「小田実さんとの仲」でも触れられ、ついで 『毎日新聞』 『日経新聞』などでも記事として報道されました。そのため、小田さんの健康を案じる多くのお問い合わせを、市民の意見罰の会・東京宛にも、私個人宛にも頂きました。それで、小田さんの手紙全文を「旧べ平連運動」 のホームページの上で公開することにしました。インターネットをご利用になれる方は以下をご覧になってください。
http‥\\www.jca.apc.〇rg\beheiren\
私は、小田さんとは1965年のべ平連運動発足以来の長い運動仲間で、4月末、西宮のご自宅にも、また5月に入っての入院直後にもお見舞いに行き、いろいろ話を交わしてきました。率直に言って、病状は軽くありません。
しかし、小田さんはそれを非常に冷静に受け止め、なんとか化学療法で悪化を先にのばしっつ、与えられた時間の中で、最低限、書きたいと思っている論文、小説、そして翻訳(ィーリアス) などの執筆に専念するつもりだと言われています。今の加療は、5週間1クールの予定で進められており、それが終わり次第、自宅に戻って、執筆を続けるとのことです。
憲法をめぐる状況が重大になっている時期に、小田さんの病気はなんとも残念なことでただただ、治療が効を奏するよう、念じるのみです。とりあえずのご報告です。(5月10日記)
なお、小田さんの最新著の小説『終らない旅』(新潮社、髄年n月刊、3200円+税) に続いて、6月中にNHK出版から最新評論の 『中流の復脱出が刊行される予定とのことです。
(よしかわ・ゆういち、本誌編集委員)
(『市民の意見』 (『市民の意見30の会・東京ニュース』改題 No.
102 2007年8月1日号)