77 成功した憲法記念日の反改憲意見広告運動 ( 『反改憲運動通信(第3期)』 2007年6月6日号) (07/06/11搭載)
成功した憲法記念日の反改憲意見広告運動
――来年は、地方ブロック紙への同時掲載をやりませんか――
吉川 勇一
市民意見広告運動がよびかけた今年の憲法記念日の意見広告は、「9条実現」「非武装・不戦の憲法を変えさせない」「自衛隊はイラクとインド洋からすぐ撤退を」と呼びかける全面広告として『朝日新聞』(全国版)、『中日新聞』(『北陸中日新聞』を含む)、『東京新聞』の3紙に掲載された(3紙合計の発行部数は1,155万4千部)。賛同者総数は8,978件(個人・団体)、寄せられた賛同金は3,149万2,230円だったが、広告掲載後も、それを見た人びとからの賛同金が送り続けられている(これは、来年の計画に参入される。)
賛同者の氏名がアイウエオ順にぎっしりと印刷された紙面には、中央に「9条実現」の文字が大きく配置されるとともに、氏名の活字の濃淡によって、北海道から沖縄までの日本地図が背景のように浮かび上がるレイアウトは、これまで5期の紙面の基本を踏襲しつつ新しさも表現した鈴木一誌デザイナーの見事な作品であった。
運動は、総じて成功だったと言える。
報告したいことは多々あるが、ここでは2点だけを指摘するに留める。ひとつは、昨年の5月3日に『読売』に掲載した意見広告への反響のうち、誹謗中傷は別として、反論あるいは疑問として寄せられてきた意見を14項目にまとめ、それへの正面からの回答を明らかにしたパンフレット『武力で平和はつくれない――私たちが改憲に反対する14の理由』を発行したところ、半年のうちに1万7千部もの注文が殺到して売り切り、それは今年に入って書籍の形の増補版として一般書店にも並ぶようになり、好調な売れ行きを続けていることである(合同出版刊、1,000円)。市民運動体が出したパンフレットで、これほどの反響をよんだことは近頃なかったことだった。安部政権の強引な改憲へのドライブが、人びとの間に大きな危機感を生み出し、それへの対応を広い層の人びとが求めだしていることの一つの証左だろう。
第二には、多数の賛同者があったとはいえ、この問題に関心を持つ人びと全体の中から言えば、その数はごくごく少数に過ぎないということだ。反響の1例だけを引用する。「本日の朝日新聞で、非武装・不戦の憲法を変えさせないの意見広告を読みました。これだけ多くの人が勇気をもって声を挙げていることに驚きを感じたと共に、憲法改正の国会の動きに気にはなっていたが、とめる事はできないとあきらめ、あえて無関心を装っていた自分を恥ずかしく思いました。遅ればせながら、私も意見を共にし、運動の趣旨と意義に賛同します。今、できることを教えください。(山口市、36歳)」 こうした人びとが全国に多数いて、その意見はいまだ潜在したままとなっている。改憲への動きを阻止するには、あと数年のうちに、こういう人びとの意見を顕在化させ、大きな世論の力へと形成しなければならない。その意味で、こういう意見広告運動は、ますます重要な反改憲意見顕在化のためのチャンネルの役割を果たすことだろう。
すでに意見広告運動では、来年の次期意見広告についての計画検討が始まっている。課題としては、全国紙だけでなく、『北海道新聞』『中日新聞』『中国新聞』『西日本新聞』といった主要ブロック紙への同時掲載ができないか、ということだ。それには、各ブロックごとにさまざまな運動体が協力し合うセンターが形成され、それが相互に連絡を取り合うといった態勢がつくられなければならない。検討し、調整すべき問題点も多数あると予想できる。しかし、一挙に可能とはならないまでも、なんとか実現のための努力を開始したいと希望している。志を共にする各地の人びと、グループのご意見を求めたい。
(よしかわ・ゆういち、市民意見広告運動、市民の意見30の会・東京)
(『反改憲運動通信(第3期)』 2007年6月6日号に掲載)