6 障害者への補助と介護保険との関係 (2001/10/10記入)
いい人は介護する(?)――障害者として、介護者としての雑感
(その6)
都が発行している『身体障害者手帳のしおり』を見ていたら、身障者が受けられる「日常生活の援助」の表の中に「ホームヘルパーの派遣」という項があり、そこには、「身障者手帳を持つ重度の障害者の家庭で障害者又はその家族が当該障害者の家事、介護等のサービスを必要とする世帯」を対象に、「ホームヘルパーを派遣して、介護、家事援助及び相談、助言等を行います。所得に応じて利用者負担があります。ただし、週2日(合計6時間)までは無料」とあるではありませんか。
今、私の家庭で受けているのは介護保険による週6時間の家事援助です。この身障者のほうのサービスを利用すると、介護保険によると支払わねばならぬ 1割の自己負担もなくなるのか? また これと介護保険による1割負担の介護サービスとはどういう関係なのか、両方同時に受けられるのか、などよくわかりません。
それで、市役所福祉課に電話で問い合わせました。
でてきた係員は、「介護保険を受けておられる方は、そちらのほうをまず利用していただくことになっています」「すると、身障者手帳にある方はなくなったのですか?」「いや、それもあります」「だったら、そっちの方は、 1割の自己負担も6時間まではないわけですから、有利ではないですか?」「ですが、あなたの奥さんの場合、介護保険が適用されていますので、そちらを優先させていただくことになっています。」「優先って、その規定はどこにあるのですか? 介護保険の法律か何かにそういう条文があるんですか?」「エッ! 条文……ですか?」「ええ」「ちょっとお待ちください」 しばらく待っていると「今、調べますので、折り返しお電話いたします」
しばらくして、また市から電話があり、介護保険の「ホームヘルプサービス事業要綱」なるものの中に、両者の関係を記述して、介護保険の適用を受けられる者は、まず、そちらを優先させて適用し、身障者手帳によるホームヘルパー派遣は同時には受けられない、という記述がある、という返事がありました。
それはそれで理解しましたが、福祉課の窓口でも、こんな質問に即答できないで、折り返しのお電話でとなってしまうのには、いささか心もとなく思えた次第です。
何にせよ、官庁や自治体の出しているこの種の「しおり」や「パンフ」「市報」などの判りにくさったらありません。もとはといえば、介護保険自体にかなりの無理や矛盾があるのだろうと思いますが。
それにしても、すでに書いたように、身障者手帳保持者で、「家事・介護等のサービスを必要とする世帯」には、「週2日(合計6時間)までは無料」のホームヘルパー派遣が可能」となっています。しかし、介護保険が適用されるもの(たとえば65歳以上)は、介護保険によるヘルパー制度が適用されるということでした。
とすると、たとえば64歳までは無料で週 6時間のサービスを受けていたものが、65歳になると、それ以降は介護保険適用者になるので、費用の 1割を負担するということになります。つまり、歳をとると無料から有料になってしまうわけで、それはおかしい話です。このことも都の福祉局に電話で聞いてみました。
答えは以下のようなものでした。
身障者へのホームヘルパー派遣の制度は、各自治体が決めていることで、都としては、これまで「身障者ホームペルプサービスに関する運営要綱」なるものを作って、都の費用でそれを実施してきたのだそうです。ところが、介護保険は、国がつくった保険制度で、行政措置としては、自治体の規定や制度よりも国の行政制度として決められたものが必ず優先するということになっており、そのため、介護保険適用者には、都の制度は適用されなくなるのだ、ということでした。
今、介護保険の保険料を、自治体が肩代わりしたり、あとから返還したりするところが次第に増えてきていて、厚生省や自治省との間でもめそうになっているのも、これと同じことなのでしょう。 それでも武蔵野市では本人負担を7割軽減していますし、65歳以上の保険料の減免制度を設ける自治体も増えてきており、中には、古河市のように保険料全額免除の規定を設けたところもあります。ただ、都の場合は、抵抗せずに、あっさりと 「上部機関」である国の規定だか指導だかに従ったということなのだと思います。 (ところで、武蔵野市のような人口規模になりたいといって合併したわが西東京市では、この介護保険料減免についてはどうするつもりなのでしょう? 武蔵野市のようにはやらないのですかね)
それにしても、介護保険については、こうした矛盾がいろいろ露呈してきています。