アメリカで『猿でもわかるベトナム戦争』出版。ほかにハワード・ジン教授の新刊も続々。(01/03/28)
アメリカで、最近、"The
COMPLETE IDIOT'S GUIDE TO The Vietnam War"(『猿でもわかるベトナム戦争』とでも訳しますか)という本が出版された(alpha
books 刊)。著者、 Timothy P. Maga, Ph. D.は、東京国際戦犯法定についての
"Judgment at Tokyo"などの著者として名を知られた国際法学者。
いささかふざけたような題名だが、内容はまじめな入門書。ベトナム戦争を知らない世代が多くなってくる中で、フランスのインドシナ支配の崩壊から米軍ヘリコプターの最後の一機がサイゴンから逃げ出すまでの、ベトナム戦争の全期間を全面的に扱い、その間のアメリカの介入から撤退までの基本を分り易く、資料をもとに記述、また、国内の反戦運動の経過もかなり詳しく分析している。翻訳されることが望ましいが、日本でも、こういう本を出版してくれる書店はないものか。書き手はいくらでもいるはずだが……。
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なお、旧ベ平連と関係が深く、何度も来日しているハワード・ジン教授の新著も続々刊行されている。最近の主なものは、"THE TWENTIETH CENTURY"(『20世紀』 1998年 HarperPerennial 刊)。これは、アメリカで大ベストセラーになった歴史書 "A People's History of the United States"(邦訳は『民衆のアメリカ史』上中下3巻 TBSブリタニカ ただし現在絶版で残念ながら入手困難)の中の20世紀の部分を抜き出したものだが、原書にはなかったブッシュ、クリントン政権の時代(前半)の歴史を付け加えたもので、湾岸戦争とそれ以降の時期が詳述されており、まさに時宜適切な現代史のテキスト。これこそ、まず邦訳が切望される。(ペーパーバック版で、やはり Amazonで $15 が $12)
また、今年に入ってからは、ジン教授のこれまでの戦争について論じた文を集めた評論集"Howard Zinn on War" (『ハワード・ジン戦争論集』)と、歴史に関する論文を集めた"Howard Zinn on History"(『ハワード・ジン歴史論集』)がSeven Stories Press から出版された。前者の戦争論には、ベトナム戦争はもちろんだが、コソボ、イラク、リビアなどを相手の戦争、第二次大戦についての論文のほか、正義の戦争と不正義の戦争論なども含まれている。後者の歴史論には、ホロコースト、マルキシズム、社会主義などに関する論文ほか、行動主義、歴史家の責任論など、重要論考が含まれている。(これも Amazon で、$12.95 が2割引の $10.36)