ベトナムの経済事情がよくわかる本――大野健一『途上国のグローバリゼーション』
今年になって、2度もベトナムを訪れることになり、この国の経済事情についてまったく暗い私は、知人の白川真澄さんに、参考となる本を尋ねたところ、大野健一著『途上国のグローバリゼーション』を紹介されました。難しい経済学の本は苦手だが、と言ったところ、白川さんは、この本は、具体的事例を豊富に引きながら、やさしく書かれているので、素人でも大丈夫、ということでした。第一回大佛次郎論壇賞を受賞して、かなり評判になった本なのですが、読んでいませんでした。
早速取り寄せました。全部がベトナム経済についての記述ではないのですが、かなりの部分がベトナムの事例を引いて論ぜられており、確かにわかりやすい本で、勉強になりました。グローバリズムが、いかに途上国を窮地に追い込んでいるかがよくわかりました。
『市民の意見30の会・東京ニュース』の最新号に、白川さんがこの本の書評を書かれています。それを以下にご紹介しておきます。
グローバル市場に組み込まれる発展途上国のリアルな分析
グローバリゼーションが世界の人びとの経済や生活をどのように破壊したり苦しめているかという現実は、次第に明らかになってきている。なかでも、多くの発展途上国にとってグローバリゼーションは、従来の社会や経済のあり方を一変する衝撃を及ぼしている。グローバリゼーションは発展途上国にどのような作用をもたらしているのか、また途上国の政府はどのような政策的対応をとっているか。本書はこのテーマを、ベトナム、中央アジア諸国、そして一九九七年のアジア通貨危機の経験に即して具体的に分析している。 (『市民の意見30の会・東京ニュース』第72号 2002年6月1日発行より)
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