京都ALS女性の嘱託殺人事件で思う

看護師K
先日、NHKTVでの特集が放映されました。

1.「安楽死したい」は「生きたい」の裏返しだったのではないか

特集では、林さんのブログが紹介されるだけでなく、ヘルパーさんや友人たちのインタビューも豊富に語られていた。
悲しくつらいことばかりではなく、笑いあり、喜びもあり、一生懸命生きていた姿を垣間見ることができた。
林さんは、海外(スイス)での安楽死を受けるという目標をもってブログを立ち上げた。だが、彼女は揺れていた。ALSの治療薬の治験が開始されたことを知ると、その時点で望みをもち、安楽死に対して休戦宣告をする。彼女「死にたい」という気持ちを抱いていたが、それは、「生きたい」という気持ちの裏返し、つまりコインの表と裏であったのではないか。

2.24時間の介護体制がもっと充実していたら・・・

林さんは2011年にALSを発症してからも、色々なことにチャレンジしていた。自立した生活。自分でマンションを借り、24時間の介護ヘルパーの支援を受けて、生活をしていた。
家で音楽会をしたり、テレビのテニスを見て、友人とブログを交わしたり。
でも、一方で、毎日進行していく症状、寝たきりで指1本動かせない。ヘルパーさんとコミュニケーションを図るには、透明な文字盤を視線で追いながら伝える手段をとっていた。メールはパソコンのスクリーンに映したキーボードの視線入力を使っていた。機械が進化しても、たくさんの文字を入力するのは本当に困難だ。疲れるし、うまく表現できない苛立ちも出てくるだろう。途中であきらめることも多々あっただろう。

ヘルパーさんも慣れた人、慣れてない人、気が合う人、合わない人色々だろう。毎年ヘルパーさんを探すのも一苦労だったと聞く。17か所の事業所で2~3時間交代で介護体制を組むのは至難の業だ。24時間の介護体制がもっと充実していたら、林さんの負担ももっと少なくてすんだのではないか…そう思えてならない。

3.安楽死のブログ開始後、新薬情報を得て いったん休戦宣告

林さんは、2018年5月「スイスで安楽死をうける」ことを目標にブログを開設した。進行してく症状に対して「壊れていくからだとこころ、死の苦しみの恐怖と毎日闘っています」「こんな姿で生きていたくない。みじめだ」とつづっていた。他の難病患者さんとも交流し、自分の気持ちがコントロールできないこと、ポジティブな気持ちばかり持ち続けられないこと、正直な気持ちを出していた。
でも、2018年8月新薬の治療法の情報をえると、「安楽死うけることは少し休む」と休戦宣言をする。わずかでも生きる希望を見出したのだろう。
揺れ動く気持ちが、多くのALS患者さんの共通の思いだ。だからこそ、希望を持ち続けてほしかった。・・・

つづく


【京都 ALS 患者嘱託殺人事件報道に接しての声明】

 公立福生病院事件を考える連絡会・事務局の声明「私たちは、医療者による『死なせる』行為は容認できません!『生きるため』の支援を求めます 」(別添)に、やめて!!家族同意だけの「脳死」臓器摘出!市民の会、尊厳死法いらない連絡会として、賛同しました。

 この問題でも、会として取り組みをすすめていきたいと思っています。

「透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言」(一般社団法人日本透析医学会)に対する批判

日本透析医学会は、2020年4月17日、従来からのガイドラインを改め、終末期の患者でなくても透析中止を認める提言を公表しました。

私たち、やめて!!家族同意だけの「脳死」臓器摘出!市民の会と尊厳死法いらない連絡会は、この提言を、許しがたい、異常な提言であると考え、その撤回と再考を求めて別添の「批判」を作成し、日本透析医学会に送付しました。

2020年7月27日
  • 「透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言」(一般社団法人日本透析医学会)に対する批判

     PDF形式  テキスト形式


過去記事からホームに戻る