先日2018年2月17日の集会で紹介したリーフレット
「『終末期医療』に関する事前指示書には危険がいっぱい!」
以下のようにつくっていただいて活用をお願いします。
リーフレットの作り方
- 両面コピーします。
- 真ん中でカットします。
- ページで合わせて、中綴じすると出来上がり!
終末期医療に関する「事前指示書」には危険がいっぱい!
〜2018年2月17日に討論集会〜
寒い中でしたが、35名の参加があり、率直な意見交換ができた討論集会でした。司会者からは、京都市の終活リーフレットに、<終末期に関する「事前指示書」>が一緒に配布されていることがどんな意味を持つのかを、医療費が削減されたり、世界的にみて命を早く終わらせる状況(安楽死の法制化)が進んでいる中でしっかり考えていきたい、とあいさつがありました。
終末期医療に関する事前指示書って何?
「事前指示書」について、現在既に公になっている数例の写真と京都市版がパワポで紹介されました。指示書の内容は、1番目には終末期を迎える場所を病院か自宅かなど選択させています。2番目には終末期の医療処置について、心臓マッサージや人工呼吸器など6項目について希望するか希望しないかを聞いています。そして、京都新聞に掲載された批判的な意見が紹介されました。連絡会では以下の3点を理由に、京都市に「事前指示書」の回収を要望しました。@あいまいな終末期に事前に指示は不可能であることAもしもの時という状況が具体的にわからないのに、「事前指示書」を勧めることは「自己決定」の無理強いになるのではないかB行政の姿勢が、今までの医療の大前提である「救ける」ではなく、処置や治療をしない方向に進むのではないか、という点です。
公開質問状と、京都市との交渉の報告(スライド参照)
「事前指示書」に心臓マッサージを希望しないと書いてある場合、救急隊は来てくれるのか?心臓マッサージはしてくれるのか?の疑問に対して、京都市は救急患者の場合は救急車で病院に運ぶと回答。しかし、新聞(2月14日読売)には、救急隊が家族の要望で蘇生中止をした事例が3年間で54件もあると報道されており、私たちの危惧が現実になるのではないかとの指摘がありました。
具体的な事例(脳梗塞で肺炎を合併した場合、抗生剤を投与しないのか)に対しては京都市は回答をしませんでしたが、終末期を考えるきっかけにしてほしいとの姿勢は終始変わりませんでした。連絡会では皆さんと一緒に次回の交渉につなげていきたいと呼びかけもありました。
会の代表である弁護士からは、医療現場では蘇生中止の同意書が押しつけられている現実がある中で、「事前指示書」は本当に法的効力がないのかと疑問が呈されました。また、在宅医療が進められると、家庭で世話をする人が必要になるが、国が保障してくれるのか?結局は、死ぬ場所を自宅にする人が増えて「助けないでください」という意識が強まるのではないか。
このような現実を社会に広めていくこと、患者と病院が連帯して国の政策の転換を求められないかと提起がありました。
リーフレット「『終末期医療』に関する事前指示書には危険がいっぱい!」の紹介
会でリーフレットをつくり、その内容を寸劇の形で紹介しました。リーフレットは添付しましたので印刷してご利用いただけたらありがたいです。
「バクバクの会〜人工呼吸器とともに生きる」からの発言
もし、終末期だからといって治療をしてもらえないなら、息子の今の状況はないと思う。
「脳死」臓器移植が「死して生きる」と美化されている。拒否すると「そこまでして生きたいか」となる。「生きていることが悪いことなのか」と正直思う。健常なときは人工呼吸器をつけることを想定していない人が多いと思う。しかしいざというとき、治療や人工呼吸器を拒否していいのか?考えていきたい。おかしいなと思うことは当事者が言っていきたい。
日本自立生活センター(代表:矢吹氏)
障害者にとって生きている時の尊厳が守られていないのに、死ぬ時の尊厳が守られるのか?大きな流れの中に安楽死や尊厳死、「事前指示書」がある。差別構造を払拭しないと解決されないだろう。
長期間介護が必要になると家族だけの負担になるから大変、もっと世の中に出ていったらいい。生きてて楽しいと思えておおらかに死にたい。
この問題でも共有していきたい。
診療報酬改定など医療政策について報告
4月に医療介護の診療報酬のダブル改定がされます。急性期病院の7対1看護基準が10対1(保険点数が低い方)に誘導されるようになっています。また、紹介状なしなら400床(今までは500床)の病院でも5000円以上を負担させられます。
全体に見て中小病院の経営は苦しくなり、大病院の患者さんは早く退院させられるようになります。
一方、厚労省が作成している終末期の「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」にそって施設が対応すれば「看取り加算」がとれるようにして「看取り」を誘導する仕組みが進んでいきます。
また高齢者の肺炎には、呼吸器学会が抗生剤の治療をしない方向でガイドラインの改定を進めており、治療してもらえなくなる危険が高まっています。
会場からの発言
- 障がい者に対して、あんな姿なら死んだ方がましと言われる。「尊厳死」や「事前指示書」は心の奥にあるものを行政が操っている感じ。
- 介護保険にも問題が大きい。要介護5は自宅の訪問サービスは朝、夕1時間づつしか来てくれない。
- ある大きな病院に夫が入院した。内科では1週間、整形外科では3週間しか入院させてくれないと聞いた。自分の時は一人なので心配。
- 医師:京都市の「事前指示書」のもとは、国立長寿医療研究センターのもので長寿しない指示書である。終末期というのは、家族を納得させるための言葉でしかない。「事前指示書」は、どこで保管するのか?医療現場には届かないため救命治療をする。矛盾に満ちている。結局、医療費を削減したいからではないか。
2017年11月に政府は海外で移植をする一家族に対して1000万円補助金をだすと決めた。そんなお金があるなら、高齢者の医療を充実してほしい。
- 看護師:昨年一昨年に父親と弟を亡くした。父は「死にたい」とは一切言わなかった。だから悩まなかった。支える医療でいいのではないか。そのために看護師になったし、それ以外に何がある?と言いたい。
- 看護師:病院は包括医療になっているから、それ以上したら病院の持ち出しになるから○日で退院してもらう、ということを医療者は知っている。でも、患者側にはわからない。患者さんには、簡単に了解しないで、納得できるまで聞いてほしい。
「事前指示書」の運動をどう進めていくかで悩んだ。「ちょっと待って」ではなまぬるいかな。黒幕は誰か?「尊厳死」法制化の場合は法律なので厚労省とはっきりしていた。だが「事前指示書」の場合は、病院では医師、あるいは京都市など行政である。この問題では、世論に働きかけることと対厚労省や対京都市への働きかけの両方をする必要がある。
まとめ
国は本当は尊厳死の法制化=医師の免責をしたいのだろう。でも抵抗があり困難。そこで、本人意思で治療拒否させることで、国も病院も責任をとらなくていいようにしていくのではないか。現場の病院は経営を成り立たせるためには患者を病院から追い出さないといけないから悩んでいる。
私たちは、病院と患者が連携して運動できないか。医療労働者に訴えかけていったり、いろいろ考えていこう。不合理なことはあきらめないで言い続けよう。
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