東京平和運動センター89-1

TKOPEACENEWS

　1面　NO.89　09.9.16

ついに与野党逆転

総選挙での与野党逆転に引き続き「９・１９ＪＣＯ臨界事故１０周年東海村集会」、「９・２６ジョージ・ワシントン寄港１周年抗議集会」、「１０・３エネルギーの転換求める１万人集会」を総力あげて成功を勝ち取ろう！

　遂に与野党逆転！
８月30日の総選挙で遂に与野党が逆転し、民主党が308議席で第一党となった。小泉自公政権以来、安倍・福田・麻生と衆議院での３分の２議席の圧倒的有利を駆使し、強行採決や再採決で自衛隊のイラク派兵、インド洋給油、ソマリア沖「海賊対策」など自衛隊派兵を強行してきました。イラクからは撤退しましたが、現在も1000名以上の自衛隊が海外に派兵され、ソマリア沖での派遣を決めた「海賊新法」では、終了期限もなく、国内船籍に限らず外国船も含めた集団的自衛権の行使であり、銃器の使用制限も大幅に緩和し、いつでも、どこでも自衛隊を派兵出来る恒久法の先取りといえます。
戦後守ってきた「専守防衛、極東地域の範囲」は、戦闘による自衛隊員の死傷者は皆無でした。
しかし、「海賊新法」では、駆け付け警備や銃撃戦や戦闘の可能性があり、戦後初の自衛隊の死傷者が出ることも否定できないほど危険が切迫しています。
　９月16日の特別国会で首班指名が行われ、鳩山民主党代表が総理内閣になります。私たちはまだ明らかになっていない、安全保障、防衛、外交など注視する必要があります。マニフェストでは、「対等な日米関係」とありますが、沖縄辺野古新基地建設や地位協定、思いやり予算、インド洋での給油問題、在日米軍再編問題、「核廃絶と核の傘」問題、そしてエネルギー問題や地球環境、原発に対する政策をどうするのかなど、当面どのようになるか監視が必要です。また、東北アジア非核地帯の設定や６カ国協議に対する日本政府の対応、「拉致問題」「密約問題」や官僚支配の排除など多くの課題があります。
　私たちは今秋の闘いを総選挙での与野党逆転に引き続き、「９・１９ＪＣＯ臨界事故１０周年東海村集会」、「９・２６ジョージ・ワシントン寄港１周年抗議集会」、「１０・３エネルギーの　転換求める１万人集会」を総力あげて成功を勝ち取りましょう。

第６４回原水禁世界大会国際会議
８月５日の世界会議でのアメリカピースアクション代表のケビン・マーティンの話は、全世界とくに日本では、広島平和宣言で発表された「オバマジョリティー」、志位委員長のオバマ賛美、メディアの賛美の一色に警鐘の一石を投じるものとして、会議での発言を掲載します。
ワシントン、ボストン、ピッツバーグでの開票検査人としての活動を通じて、1985年から平和運動に携わっている。2001年９月に設立された、ピースアクション教育ファンドの代表でもある。ピース・アクションは、全米最大の平和・軍縮運動団体であり、マーティン氏は10万人の会員を率いる。原水禁とも深い関わりがある。ピース・アクション代表の傍ら、2002年に設立された｢平和と正義のための連合｣の共同代表も務める。昨年５月には、平和派遣団の一員として中国人民平和軍縮協会に招かれた。

　平和と軍縮に対する当面の見通し
オバマ大統領、ＮＰＴ、世界の平和・軍縮運動にとっての課題と機会
ケビン・マーデイン(米国　ピースアクション代表)

　今回の３度目の来日にあたり、私の個人的な考えを述べることから始めたいと思います(これまで2002年と2004年に来日)。来日するたび、北朝鮮の核兵器や好戦的な発言によって、東北アジアが緊張状態にあることをひしひしと感じています。しかし、少なくとも今回は、米国の政権が大人の対応で、北朝鮮の核開発計画や、その他の地域安全保障の問題について真摯に交渉を行い、対応するという期待を感じています。最近の中傷はさておき、北朝鮮は、おそらく６カ国協議の枠組みを通じてではないにせよ、米国との対話を真剣に求めているように見えます。昨年、私は米国の調停者の代表団として中国を訪れ、６カ国協議における中国の建設的な役割に対し、外務省の高官に感謝の念を伝えました。しかし、６カ国協議は死んだと北朝鮮が主張するのであれば、残念ながらその役割は過去のものになりかねません。そうでなくとも、中国の北朝鮮に対する影響力は弱まるかも知れませんが、もちろん、中国は地域の安全保障の問題に強い関心を持っており、オバマ政権が北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)との直接対話を求めるのであれば、中国に対し意見を求めるでしょう。
　この重大な時期、ＮＰＴ(核拡散防止条約)再検討会議や、核軍縮に向けた進展のための全体の機会と、北朝鮮の核開発計画や東北アジア地域の安全保障の問題とを、私たち平和運動家の側が結び付けることが重要です。しかし同時に、核軍縮の問題と、東北アジア地域および世界を非武装化する一般的な必要性とを結び付けることも必要です。米国政府、そして米国内で軍縮を訴える者でさえ、孤立した状態で核兵器の問題を考えるという危険を冒しかねません。
　言い換えれば、もし私たちが孤立した状態で、核軍縮や核拡散防止の目標を追求しようとするなら、前進はおぼつかないでしょう。東北アジア地域では、すべての国の人々が、核の脅威を減らすだけでなく、地域の安全保障や経済戦略で協力し、通常戦力や通常の軍事基地からシフトすることに関し、共通の利害を持っています。
　米国はオバマ政権になったとは言え、地域の軍事的、政治的、経済的覇権国家と見られることは明らかで、しかも現段階では欧州およびアジア全域に米軍が駐留していることから、ロシアや中国に対する脅威となっていることは疑いありません。地域および世界全体の核軍縮や核拡散防止への動きが決して確かなものではないとは言え、近い将来首尾よく達成されたとしても、外国に800カ所以上の米軍基地を持ち、軍事予算が年間７千億ドル以上と、米国以外の国全部の軍事費を合わせた額に匹敵する米国の通常戦力の優位性は、深刻な懸念材料となるでしょう。北朝鮮のシン・ソンホ(辛善虎)国連大使の最近のコメントがこのことを物語っています。｢われわれは常に米国の核の脅威にさらされている。日本と韓国は米国の核の傘の庇護の下にある。そして、われわれの近隣国はすべて核兵器を保有している。地域で核兵器を保有していないのはただ１ヵ国朝鮮民主主義人民共和国である。われわれは無防である。従って、核抑止力を保有することはわれわれの最後の手段である｣。もちろん、私たちの考えは、いかなる国も核兵器を持つべきではないというものですが、北朝鮮の懸念は理解できます。そして同様に、核廃絶への道のりは決して遠くないですが、米国の巨大な通常戦力の優位性がそのまま維持される場合、ロシアや中国をはじめとしたその他の核保有国が、米国に比べ通常戦力で劣勢に立つことから、核兵器をごく数発に減らす、あるいはゼロにすることを拒否することは間違いない以上、それが核廃絶へ道のりにおける障害となることは確実です。
米国、そしておそらく世界の他の国でも、オバマ大統領に対する｢ヒーロー崇拝｣の危険が見られます。彼は前任者とは正反対に、聡明で思慮深く、説得力があり、面倒見が良いことは確かです。しかし、彼がブッシュではないという理由だけで、彼がガンジーであるという意味にはなりません。
　国際関係、そして米国の新しい外交政策において、国際法、国際協力、国際外交、国際開発、国際人権、および軍事力からの脱却に基づく新しい基準を渇望する動きがあることは確かです。オバマ政権が外交政策の非軍事的側面に重点を置き、その新しい基準に向かって動き出すという期待が高まっていると見ることができます。
　しかし同時に、オバマ大統領はアフガニスタンとパキスタンで戦線を拡大させている責任者で、パキスタンに関しては、米国の行動がその不安定化の火に油を注いでいるかのように思えます。また、オバマ大統領の対イラン政策や、イスラエル・パレスチナ紛争に対する政策が、ブッシュ政権に比べ、一般的に融和的なしトリックであるにもかかわらず、前任者の政策と完全に異なる結果になるかどうかは未知数です。私の感覚としては、オバマ政権は、外交に重点を置き、明らかに政治的な理由でブッシュ政権に比べてタカ派的性格が薄いと見られたいが、政策の道具として戦争という手段を使うことを厭わないことが明らかな、外交政策の｢現実主義者｣と見るべきだということです。とりわけ、アフガニスタンとパキスタンでは、これらの地域の人々にとって、そして、おそらくはオバマ氏の大統領としての地位に対し、この矛盾が破滅的な結果を招くと証明されるかも知れません。しかし、大統領やその就任補佐官を含む米国政府の高官の多くがこのことを認識し、１年以内という比較的短い時間で、アフガニスタンでの戦争に関する状況の好転を求め、そして、状況が好転しない場合、戦略の大幅な変更が見られる可能性があります。
　そしてもちろん、イラクでは非常に困難な状況が続いています。オバマ氏が大統領に選出され、米軍をイラクから撤退させるという意見を多くの人が持っているにもかかわらず、米軍を2011年末までにイラクから撤退させるよう求め、ブッシュ大統領が合意した米軍地位協定の期限を過ぎても米国がイラクの占領を続けるのでは、という非常に現実的な懸念があります。米国政府の高官の中には、オバマ大統領の任期を過ぎても、米国が引き続きイラクに相当数の米軍を駐留させる必要があると公言する者もいます。私が主に懸念しているのは、オバマ大統領の政治生命ではなく、イラクとアフガニスタンの占領が続き、米国経済がぜい弱なまま2012年の大統領選に立った場合、彼の再選に黄信号がともるということです。
　要約すると、私たちがオバマ政権をどのようにとらえ、オバマ政権とどう向き合っていくかについて、私たちの立ち位置を微妙に変える必要があるということです。彼はブッシュではありませんが、ガンジーでもありませんし、彼がそうであるふりをする理由もありません。
　米国西部と東部の平和活動家のほとんどがこのことを理解し、包括的な形で平和や核軍縮、核拡散防
止、地域安全保障および非軍事化の問題に取り組む数多くの運動を立ち上げています。
これらには次のものが含まれます:
　－アジア太平洋フリーズ(凍結)キャンペーン:大幅な軍事費削減への第一歩として、６カ国協議の当事国に対し、その軍事予算を凍結するよう求めます。このような予算凍結により、ロシア、中国、日本、北朝鮮、韓国に比べ、米国が依然特権的立場にいることは確かですが、米国にいる私たちにとって、もちろん、米国の軍事予算を削減し、人間や環境のニーズに予算を割り当てるという重要な仕事があります。
　－国際的な外国基地反対ネットワーク:すべての外国軍事基地の閉鎖を求めます。そのうちのほとんどは、もちろん米軍基地です。
　－イラクとアフガニスタンの占領を終わらせること。このことは明らかに、米国およびＮＡＴＯ(北大西洋条約機構)加盟国における平和運動にとって、引き続き優先度の高い問題となっています。米国がこれらの国の占領を続けるのであれば、オバマ政権は平和と軍縮の問題でほとんど国際的な信用を得られないでしょう。同様に、来年はパレスチナの民衆にとっての正義を実現するため、状況を進展させることが重要になってきます。
　－北朝鮮とイランとの間には、地域の核安全保障に関して明らかにに類似点があります。オバマ政権は、少なくとも今のところ、軍事的な解決方法はなく、外交が唯一の方法であることを理解しているように思えますが、イランの場合、イスラエルや、おそらく中東の他の国がイランの核施設に対する軍事攻撃の圧力を徐々に高める可能性があり、このことは絶対に避けなければなりません。
　米国が直面する国内の危機と、こうした喫緊の問題の背景に対し、オバマ政権が上院による包括的核実験禁止条約(ＣＴＢＴ)の批准や、ＳＴＡＲＴ(戦略兵器削減条約)の延長を追求するとともに、来年のＮＰＴ再検討会議を真剣に受け止めているというのが私の印象です。
　ワシントンＤＣで開かれる米国核戦略見直しと、来年３月の核安全保障サミットも、平和運動が平和や非軍事化、そして核兵器廃絶に向けた進展を後押しする重要な機会です。
　米国の平和運動に身を置く私たちがオバマ政権と一線を画すことを明確にする必要がある一方、ここ数十年間に比べ、私たちの平和や軍縮に関する取り組みを進展させる突破口が確実に増えていることを認める必要があります。来年のＮＰＴ再検討会議は、私たちが最も重要な機会として十分に活用すべきものだと考えます。そして、私たちは、ＮＰＴ再検討会議で多くの人々を結集させ、一般市民への啓発を行い、米国高官や各国大使へのロビー活動を行うとともに、原水禁をはじめとした国際的な平和団体と協力し、ＮＰＴ再検討会議前に核兵器廃絶のための交渉を開始するよう呼びかける、国際的な請願活動を組織できることを心待ちにしています。

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