東京平和運動センター62-2

TKOPEACENEWS

　2面　NO.62　06.5発行

◆活動報告
三多摩平和運動センター「横田基地でのたたかい」

三多摩での在日米軍再編反対の活動

三多摩平和運動センター事務局長　出田光男

　　昨年10月29日に発表された「日米同盟･未来のための変革と再編」と題する在日米軍の再編に関する「中間報告」は、基地に苦しむ沖縄をはじめ、地元自治体･住民の声を無視した政府の一方的な決定のため、全国的に大きな反発が湧きあがっています。この中間報告のここの問題点は１月から３月発行の「東京平和運動センターニュース」の中で触れられていますので、省略しますが、三多摩では横田基地に府中にある航空自衛隊航空総隊司令部が移転し、第５空軍司令部と一体となり、防空やミサイル防衛での日米の共同運用や日米の軍事統合が進められ、憲法に違反する集団的自衛権の行使に踏み込むことが想定され、この一事を見ても容認することはできませんが、あわせて航空総隊司令部の横田移転は横田基地の恒久化に通じ、私たちの永年の懸案事項である「横田基地の撤去」を遠い未来に押しやることになり、到底認めることはできません。
　三多摩平和運動センターでは、「中間報告」と前後して発表された自民党の「新憲法草案」が、自衛軍を持つことを明らかにしましたので、米軍再編と憲法改悪を一体の問題として反対のための活動を進めることにしました。
１月17日には、ピースデポの田巻一彦副代表を講師に、米軍再編をめぐる問題点についての理解を深めるため、『「在日米軍再編」は、平和憲法の「規制緩和」とグローバル「戦争市場」への統合』というテーマで学習会を開催しました。
　この学習会を経て、２月９日には、横田基地周辺自治体の議員団と打ち合わせを行い、横田周辺自治体の首長への要請行動を具体化すること、引き続き、三多摩各自治体首長への要請行動を行うことや要請内容についての検討も行いました。
　要請事項は、在日米軍の再編に関する中間報告を撤回することや、横田基地での日米共同統合運用調整所の設置を行わないこと、航空総隊司令部の移転を行わないこと、日米地位協定を改定することなど５項目とし、これを実現するため、自治体の平和力を発揮し、政府等関係機関へ必要な措置を講ずることし、周辺自治体の５市１町への要請は２月22日に実施し、昭島、福生、羽村、立川の４市では関係議員団の協力も得て、市長に直接要請することができました。他の自治体については、基本的に地区平和運動センターの責任で要請することとし、一部を除き要請は終わっています。
　周辺自治体の動向は、要請時点では瑞穂町がいち早く容認を発表し、立川市長が明確に反対を表明し、他の市長は態度を明確にしませんでした。最近では昭島、武蔵村山市長が容認を表明しています。
大衆行動については横田基地の地元の西多摩平和運動センターが主催して、３月２日に「在日米軍再編反対･航空総隊司令部の横大典を許さない３･２西多摩集会」を福生市民会館で開催し、西多摩地区を中心に250名余が参加しました。
　集会では、東京国際大の前田哲夫教授から「航空総隊の横田移転を許さない！」というテーマで講演をうけ、三多摩の米軍基地反対闘争の歴史や基地があるゆえの諸問題、「改憲と再編」が同時に進行していることなど米軍再編をめぐる諸問題とこれからのたたかいの課題について詳しい話がありました。その後、神奈川の戦いの現状や立川、昭島、福生の議員からそれぞれの自治体の現状と問題点についての報告があり、最後にアピールを採択し、成功裡に終わることができました。
　３月11日には、三多摩平和運動センターを中心にした「在日米軍再編反対！三多摩集中行進」実施しました。当日は西多摩（昭島出発）、八王子(日野出発)、府中、国分寺の４コースを設定し、午後１時からそれぞれの集合場所でミニ集会を開催し、１時20分から立川市の市民会館の横の錦中央公園までおよそ１時間半をかけてデモ行進し、沿道では「中間報告の白紙撤回」、横田基地の機能強化反対、航空総隊司令部移転反対、憲法改悪･国民投票法案反対などを訴えてきました。
　参加者は国分寺コースが約200名、他の３コースが100名余で総勢520名が参加しました。集会集約では主催者挨拶に続き、来賓として東京平和運動センター関事務局長、社民党代表から連帯のあいさつをうけ、各コースの報告と決意表明、最後にアピールを採択して終了しました。
航空総隊司令部の移転に明確に反対しているのは立川市長だけで、福生市長は容認も反対もしないということで、事実上容認したようなものです。羽村市長は情報が不足しているとし当面静観を続けるようです。
　横田基地周辺自治体首長の動向では、航空総隊司令部の移転が容認される可能性が高くなっています。改めて問題点を整理し、航空総隊司令部の移転を許さない活動を強化していかねばなりません。

チェルノブイリ20年に改めて思う低線量被曝の怖さ
原子力資料室理事　　　　　　　小林　晃

　水戸地裁での東海村のＪＣＯ事故の被害者訴訟は、５月10日で18回を数え、いよいよ証人尋問も佳境に入りますが、それは、低レベル放射線被曝の評価が中心になります。
　昨年発表された米国科学アカデミーのＢＥＩＲ－７（電離放射線の生物学的影響に関する第7報告）では、これまで認めていなかった低線量被曝の（０～約100mSv）影響を認め「しきい値なしの直線モデル」を妥当とし、放射線業務従事者の線量限度である５年間で100ｍSvの被曝でも約１％の人が放射線に起因するがんになるとまとめています。そして、集団被曝のがん、白血病死確率として、10万人が100ｍSv（100万人が10ｍSv、1000万人が１ｍSvも同じ）被曝したとして、一般のがん、白血病死にプラスして約1100人が死ぬとしています。このがん死確率はＪ．Ｗゴフマン博士の約4000人よりは低いけれど、同博士が1980年当時すでに主張していた低被曝線量の直線的影響（どんな低線量被曝もがん死確率の影響を免れない）があるということを遅ればせながら認めた点で意義があります。
　ＪＣＯ事故では、科学技術庁は事故の被害者666人の集団被曝線量は二人が死亡した３人の作業者をのぞき1.76Svであるといっています。実際は、これに中性子線評価の補正や中性子やヨーソなど核分裂生成物がかなりの範囲に飛散した影響も加算すると相当上回るものと思われます。しかし、科技庁のいう1.76Svでも将来のがん死確率ではおよそ0.2人となっています。ゴフマン博士の確率では0.7人となります。これを少ないとみるかどうか。
さて、私は、去年12月東京新宿のカタログハウスで開催された高木学校の「医療被曝をどう考えるか」という市民講座に参加しました。先にあげたゴフマン博士の大著「人間と放射線」を読むと、がん死確率を導出す計算基礎に多種の疫学調査結果を採用していますが、その中にいくつかのレントゲン被曝もはいっています。講座では、「医療被ばくの記録手帳」をいただきました。
　2004年のイギリスの医学雑誌に掲載されたランセット論文では、15ヶ国を調査したところ、一人あたりの医療被曝は日本がトップであったとなっています。これに慌てた日本の放射線技師会はー安心できる放射線治療のためにーなる４回のシンポジウムを開きその低減について検討をはじめました。その結果の一つとして「レントゲン手帳」が作成されました。この手帳は、患者の記録を残すという点では画期的ですが、そのなかに「少ない量の放射線で、がんなどの身体的影響が現れることはありません」とあり、直線的確率的影響を否定しています。こんなこともあり、高木学校の手帳では、「被ばくすると、何年、何十年後にがんや心疾患などにかかる危険性が増えます。それは、線量に比例して増加し蓄積するので『ある値以下だと安全』ということはありません。」と手帳に明記し、広範な利用を薦めています。ｍSV単位で非常にわかりやすく、記帳しやすい健保手帳並みのものです。ぜひ、周囲に薦めて見てはいかがでしうか。
　今年は、チェルノブイリ事故から20年です。見過ごせないことですが、昨年ウイーンでＩＡＥＡ主催のチェルノブイリフォーラムが開催されました。そこでは、被爆者を1986年～87年の事故処理作業従事者、30キロ圏内からの移住者など60万人のみに限定し、またがん白血病以外は評価せず、死者4000人にとどまると報告されています。これは死者を含めチェルノブイリの被害を過少に評価、低線量被曝の影響を無視などいくつもの問題点が指摘できますが、ＩＡＥＡがなぜこんなに強引にチェルノブイリの幕引きを図るのかといえば、事故の忘却を原発推進の梃子にしようとしているのではないでしょうか。また、650万人にものぼる被災三国の汚染地域住民を切捨て各国の政府負担を減らす協力もその目的かもしれません。
　日本として残念なことは、このフォーラムには広島・長崎にある放射線影響研究所（放影研）の前理事長Ｂ．ベネット氏が議長として報告を強引にまとめるという重要な役割を担っていることです。私は、昨年夏広島の放影研の公開講座に出席しました。そのおり、私が、集団被曝のがん死確率について質問したところ、講師は答えてくれませんでした。放影研には過去も現在も科学とは無縁な政治的な影がちらついています。
　いま、このＩＡＥＡ報告には、被曝三国の科学者をはじめ、世界各国から非難や抗議の声があがっています。私たちも抗議の声をあげねばなりません。４月16日の東京代々木のシンポジウムや各地の取組みを成功させましょう。
軍団司令部と陸上自衛隊中央即応集団司令部の移駐と自衛隊との統合戦略を狙った日米軍事同盟強化と永久使用を固定化しようとするのに反対するため、座間公園で集会が開催され、3,000名が参加した。東京からも250名が参加。集会終了後、座間基地司令部に抗議行動とデモ行進を行った。なお、神奈川平和運動センターなどで前段の抗議行動を５日と11日座り込みを行った。

◆活動日誌
★今後の日程

３月12日　「岩国市住民投票結果」
　＊在日米軍再編に伴う米海兵隊岩国基地への米軍厚木基地の空母艦載機移駐の賛否を問う山口県岩国市の住民投票が３月12日、投開票された。投票率は56.68％で成立に必要な50％を超えました。反対は43,433票で投票総数の87％に達し、賛成の5,369票を大きく上回った。岩国市の伊原勝介市長は記者会見し「14日に市議会と相談したうえで、移駐案撤回を求める。国は地元の声を大切にし、適切な政策判断をして欲しい」と述べた。額賀防衛長官は12日深夜、「岩国移駐は、日本の安全などの面から、ぜひとも実現しなければならない。地元に必要性を説明し、理解と協力が得られるよう最大限の努力をする」との談話を発表した。しかし、自民党の片山寅之助参院幹事長は住民投票について、「国の安全保障は国の責任。住民投票は適当でない。地元との調整はしないといけないが、最終的には国が決めざるえない。反対というのは一種の地域エゴイズムだ」と批判。山崎拓安全保障調査会長は「（周辺町村）合併直前に実施され効力は１週間しかない」また、艦載機移転について「日米同盟を安定的に維持していくためで、岩国基地周辺住民の生活環境が現状より悪化しないよう十分留意した」と強調した。
　この住民投票の結果は、米軍再編に伴う新たな基地負担に対し、地元自治体がはっきりと受け入れノーの意思を明示したことは大変意義のあることであり、６割の投票で９割の反対票は過半数を占めており説得力を持つものであり、全国的にも大きな影響力を持つものである。地元との頭越しに進めた「中間報告」は、岩国だけでなく、沖縄普天間基地の移設沿岸案を巡る名護市や原子力空母の母港化を巡る横須賀市、司令部統合の横田や座間、嘉手納基地のＦ15の受け入れ予定地の福岡県・築城基地、北海道・千歳基地、宮崎県・新田原基地、茨城県・百里基地、石川県・小松基地などの基地機能強化反対、基地縮小、返還を求める私たちを勇気付けるものである。

３月13日「全国基地ネット幹事会」
３月18日「ＷＯＲＬＤ・ＰＥＡＣＥ・ＮＯＷ」
　＊イラク戦争開始して３年目を迎え、イラク戦争の即時停止と自衛隊の即時撤退を求めて日比谷公園で集会を行った。

３月19日「在日米軍再編に反対する岩国中国ブロック集会(岩国)」
３月27～31日　「六ケ所再処理工場アクティブ試験反対・経済産業省前座り込み行動」
　＊　六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場の実質的な稼動となる試運転(アクティブ試験)の開始の前提となる青森県、六ケ所村との安全協定が締結されれば、今月中に試運転が開始されることを受けて、資源エネルギー庁前で座り込み行動を行った。

３月30日「国民投票法案反対院内集会」
　＊　憲法調査会理事懇談会で「論点整理」に入るという緊迫した中で、院内集会が開催された。高田健、福山真劫両氏などの主催者挨拶。日森（社）、佐々木(共)、喜納、川内、近藤(民)、照屋、近藤、菅野、保坂、福島（社）、糸数(無)などの多くの議員から決意があった。その後、基地ネット、自治労などの団体から挨拶と取り組みを受け、署名活動など強化することを確認して終わった。参加200名。

「４・２原子力空母の横須賀母港化に反対する集会」（横須賀市）
　＊　オープニング、リレートーク、バンド演奏、梅林先生のトーク＆質問コーナー、軍港めぐりや販売コーナーなど盛りだくさんのメニューでピースフェスティバルが開催された。天候にもかかわらず成果を勝ち取りました。参加2,500名。

４月４日　「在外被爆者裁判」最高裁口頭弁論
　＊　李康寧（イ・カンニョン）の出国を理由に打ち切られた被爆者援護法の健康管理手当ての支給と広瀬方人の出国中の手当て支払いを求めた裁判です。「被爆者はどこにいても被爆者だ」との認識で運動を進めてきました。最高裁の判決は６月13日と言い渡されました。

４月８日～９日反核燃の日全国集会（青森市）
　＊　私たちの再処理工場稼動中止の声を無視し、青森県と原燃は３月31日からアクティブ試験が開始しました。アクティブ試験とは、原発から出された使用済み核燃料を使って再使用し実際にはプルトニウムを４トン（原爆500発分）も生み出すもので、「試験」というものの実質的な再処理工場の稼動といえるものです。ここから取り出したプルトニウムを高速増殖炉「もんじゅ」で使用するとされていましたが、事故で停止したままです。
そこで政府や業界は取り出されたプルトニウムをＭＯＸ燃料に変えて、プルサーマル計画を進めようと、2012年度には16基～18基の原発で稼動させるとしました。しかし、地元の了解を（佐賀県）得ているのは、玄海原発のみである。
　こうしたなかで「反核燃の日･全国集会」が開催されました。８日は分科会「再処理･プルサーマルの問題点」「青森の抱える原子力問題」フィールドワーク「青森～六ケ所核燃料サイクル基地見学」を行い、９日の午前中は全体集会、午後には全国集会を開催し、青森県庁に向かってデモを行い、再処理工場の即時中止を訴えました。参加者1500名。

４月10日　「第30回常任幹事会」（自治労東京会議室・午後３時）

「４・16チェルノブイリ事故20周年シンポジュウム」
　＊　1986年４月26日に起こったチェルノブイリ原発事故から20年。人々の記憶から風化しつつある中で、いまも現地では核被害は深刻に続いています。あらためて、20年の節目の年にあたり、現在も続く被害の実相を多くの人々に訴え、脱原発への必要性を訴えるため集会が国立オリンピック記念青少年総合センターで行われました。
　午後１時半から始まり、ウクライナ・キエフ出身のオクサーナ・ステパニュックさんの民族音楽、ウクライナ最高会議国際問題顧問のユーリー・シチェルバクさんの「チェルノブイリの遺産：21世紀に向けて」の講演－技術的に遅れた国々での原子力発電のとりくみは、チェルノブイリのような事態をもとらす可能性がある。また、ソビエト連邦が経験したように、その国家の政治的経済的システムに破壊的な影響を及ぼすだろうと述べ、テロや原子力施設の機密扱いにされていることも非難した。同時に、大規模技術災害に向けて備えることが国際的な課題とも述べられました。
　パネルディスカッション「何が起きたか、何が続いているのか」では、今中哲二（京都大学原子炉実験所助手）、振津かつみ（医師・チェルノブイリ救援･関西）、広川隆一（フォトジャーナリスト、チェルノブイリ子ども基金顧問）の三氏が行いました。参加者410名。

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