TKOPEACENEWS
  1面 NO.18/01.6.1発行

東京平和運動センター 2001年度活動方針(案)

 1.護憲、原水禁など平和運動をめぐる情勢の特徴
(1)衆参両院の憲法調査会は2000年1月20日、国会の正式な機関として設置され、最近においては「21世紀の日本のあるべき姿」をテーマに学者、ジャーナリストなどの参考人から意見を聴取しています。憲法9条の改正、国際貢献のため改正、有事を想定しての改正、集団的自衛のため改正などなどが議論され2004年をめどに報告書をまとめる方向で作業が進行しています。こうした議論は国会内で圧倒的な与党勢力の主導ですすめられ、今後は民主党の動きが改正へのキャチングボードを握ることになりそうです。私たちは、平和のうちに生存する権利を有することを確認した憲法前文および、国権の発動による戦争と武力の行使を放棄し国の交戦権を認めないとする憲法9条など、憲法を擁護し国際的にも評価されている平和主義を守り抜かなければなりません。

(2)大東亞戦争のおかげで、「独立できたという国の首脳もたくさんいる」などと侵略戦争を否定し、歴史認識を逆行させる発言した野呂田・衆院予算委員長(元防衛庁長官)、「新しい歴史教科書をつくる会」の主導でつくられた2002年度版の中学教科書においては、太平洋戦争をアジア解放を目指した「大東亜戦争」としたほか、「東アジアを安定させる政策として欧米列強から支持された」、「韓国併合は合法的に行われた」など歴史をねじ曲げる偏狭なナショナリズムが台頭しています。 
   一方、教育基本法に関しても「愛国心を育むようになっていない」、「道徳教育が必要、奉仕の心を教えよう」、「権利ばかりで義務がない」など国家主義の導入を考えての動きも活発になっています。奉仕活動の義務化は徴兵制に結びつくのではと批判もされています。人権教育・人間の尊厳をうたった教育基本法を変える動きを許さない運動の強化が求められています。

(3)このような日本国内の偏狭なナショナリズムの動向は、「北朝鮮の脅威」に結び付けられ「日本独自のミサイル防衛を」(石原都知事3/12ー米紙ロサンゼルス・タイムズ)、軍備増強や核武装を意図した教科書(つくる会)など、北東アジアの緊張緩和と日朝国交正常化に逆行するものとして警戒しなければならないと考えます。
   今、韓国、中国、シンガポールなどなど日本の侵略において甚大な被害を受けた国々から猛烈に抗議がわき起こっています、日本への不信感が増幅されています。日本は加害者として当然の責任を果たすのに誠意をつくしたことが国際的に認められていないところから、問題発言のたびに批判が集中します。今、重要なことは北東アジアで日本が信頼される事です。そのためにも北朝鮮との国交正常化が一日も早く実現することだと思います。

(4)ストックホルム国際平和研究所などの調べによると、地球上には2万個近い核兵器があります。その95%を米国、ロシアがもち、英、中、仏の三か国が残る5%の千個をもっています。インド、パキスタンも核保有国になりました。核兵器がなくならない限り安全は保障されない。そのため核とは共存できないと言う事を核兵器廃絶までいい続けなければならないのが反核運動であると考えます。
   米国は今、米本土ミサイル防衛(NMD)計画が進行中であり、それに対抗してロシア、中国などにおいてはNMDを突き破るための核増強が考えられ、その他の国においても生物・化学兵器や通常戦力で対抗をしようなど核拡散と軍事力の拡大が進行しつつあります。
   日本政府は米国の核の傘に依存し、戦域ミサイル防衛計画について日米で共同研究を始めるなど北東アジア諸国から反発をうけています。
   私たちは原水爆禁止世界大会を中心に、この55年間核廃絶のため闘ってきました。さらに核保有国をはじめ世界に核軍縮を求める世論を喚起できるかどうか。どうすれば核廃絶へと関係国政府を動かせるか。新アジェンダ連合や各国NGOとも連携を強める必要があります。

(5)1986年4月にチェルノブイリ原子力発電所が爆発しました。この事故により人類は原子力を完全に制御できないことを学びました。そしてエネルギー源の多くを原子力に頼る危うさも教えられました。
   米国はスリーマイル島事故のあと、新しい原発の建設はありません。スェーデンが国民投票で脱原発を決定。現在、西欧では原発建設の計画はなく、近くでは台湾においても脱原発が進行しています。
   日本だけが事故後も20基も増え、この間、高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ爆発事故、東海村の再処理施設の爆発・火災事故、ウラン加工施設の臨界事故など事故が続発しています。にもかかわらずプルサーマル計画を推進しようとしています。原発をさらに建設しやすくするための「原発推進特措法」を成立させるなど、あいもかわらずのバラマキ政策が横行しています。
   しかし、日本においても原発から環境に優しいクリーンなエネルギーを求めた意識の改革もいたるところで見ることがきます。北海道平和フォーラムなどが中心となり、市民が2億円も出資し出力1000kw「市民風車1号機」を完成させました。(NPO法人・北海道グリーンファンド)
   このような原発に頼らないエルネギーをもとめての活動はさらに拡大されるだろうと思います。
   東京など首都圏で生活する私たちこそもっと真剣に脱原発を考えなくてはならないだろうと思います。

(6)いま、沖縄の県民は米軍基地による過重な負担を押しつけられ、耐えに耐えているのが現状ではないかと思います。米軍人による婦女子わいせつ、傷害・暴行事件、放火事件、無免許・飲酒運転による事故とあて逃げ、建造物損壊、器物損壊などなど今年に入って10数件発生し、たまりかねた沖縄県議会は海兵隊削減、日米地位協定の見直しを全会一致で可決しました。他の市町村議会においても「海兵隊」の外出禁止を求める決議など沖縄中が怒りに爆発していると言っても過言ではありません。
   一方、普天間飛行場の県内移設問題は県民や名護市民を完全に無視して、辺野古海域に建設を予定し、政府と代替施設協議会は建設工法をとして@くい式桟橋、Aメガフロート、B埋め立て人口島方式などが提案され滑走路の長さも2,000m級にするなど着工に向けた動きも活発化しつつあります。             
   また、浦添市へ米軍那覇軍港を移設とした軍港の新設が急浮上しています。これは先の市長選挙で軍港新設を主張する候補者が当選し具体的に動き出しています。この軍港も軍事基地は50年、100年基地を背負ったまま自然破壊、文化破壊につながるだろうと警告する学者、市民の声を無視して進められようとしています。
   私たちは、米政府に過去に普天間基地返還決定と引き替えに辺野古での代替基地建設と新ガイドライン策定などに道をひらく日米安保共同宣言を約束させられ、こんどは沖縄の世論をテコに海兵隊削減と引き替えに自衛隊の集団的自衛権の行使、国連PKF参加や、TMD配備などが考えられているかもしれない。こうしたことを警戒し沖縄の米軍基地の縮小・撤去を求めていく闘いを強化していくこととします。

(7)狭山事件は、1999年7月8日第2次再審請求にたいして不当にも棄却決定がされ、現在、東京高等裁判所刑事第5部で異議審闘争が闘われています。
   東京高等裁判所刑事第4部高木裁判長は13年間ものあいだ、事実調べ、証拠調べを只の一回すら行いませんでした。また、東京高等検察庁は狭山弁護団や多くの司法の専門家からの「証拠開示」の意見を無視して、これまた行いませんでした。異議審闘争においてはこの事実しらべと、全証拠開示が重要なポイントになることはいうまでもありません。有力な証拠としての「指紋」について脅迫状、封筒、被害者の教科書、自転車、時計、万年筆などには犯人の指紋が付いていたはずであります。にもかかわらず検察は証拠を開示していません。この証拠開示だけても石川さんの無罪が証明できる本当に重要な証拠です。
   もう一つの課題は、裁判官に犯罪が行われたとき近所で農作業していた人の目撃証人、石川さん宅を家宅捜査した元捜査官の証言、脅迫状を鑑定した専門家の意見など鑑定人や証人の尋問を決定し、裁判長も狭山の地を踏んで事実を調査して判決を出すべきと強くこの異議審闘争で主張していきたいと考えます。長期の闘いになる事を自覚し闘争勝利まで頑張りたい。                          

(8)21世紀は環境問題が最大の課題といわれています。地球の温暖化防止、大気汚染、廃棄物問題など非常に多岐にわたっています。東京平和運動センターとしても、平和フォーラム、市民団体、食とみどり、水を守る東京都民会議とも連携しながら運動を強めていくこととします。

2.東京平和運動センター2001年度重点課題と活動について

(1)護憲の活動について
 @憲法調査会の動向を注視し、憲法理念を広め、「集団的自衛権」導入などを許さないとりくみについては、平和フォーラムとも連携を強め、全国の仲間や市民団体とともに運動を展開していきます。
 A平和フォーラムが主催する施行54周年憲法記念日集会(5/3)、第38回護憲大会(11/3〜11/5伊勢市)、全国1,000所憲法討論集会・シンポジウムなど積極的に参加していきます。
 B靖国神社国家管理、昭和の日の制定、教育基本法の改悪、歴史に逆行する教科書の導入に反対するなど偏狭なナショナリズムの動向を許さない活動を進めます。

(2)核兵器廃絶への活動について
 @いかなる国の核実験に反対し、原水爆禁止国民会議が主催する8月4日からの広島、7日からの長崎で開催される被爆56周年原水爆禁止世界大会に積極的に参加します。
   また、21世紀最初の原水禁大会であることを重要視して開催される、「核ない平和な21世紀に!メッセージinヒロシマ」として全国から子ども達が3,000人広島にあつまり、子どもたち自らが考える平和のパフォーマンスも開催されます。東京からもこの集まりに多くの子どもたちを参加させていくためサポートを強めます。
 A核兵器廃絶のため、CTBの発行促進と、カットオフ条約の即時交渉開始、未臨界核実験に反対をしていきます。
 B日本政府に非核三原則の法制化を求め、非核法の制定の取組みを強めていきます。また、新たな軍拡競争をまねく、戦域ミサイル防衛構想に反対していきます。

(3)プルトニウム利用政策に反対し、脱原発社会をめざして
 @原水禁国民会議の主催する4・9反核燃の日全国集会、チェルノブイリ爆発事故、JCO東海事故2周年9・30集会などの抗議行動に参加していきます。
 Aプルサーマル計画に反対し、プルトニウム利用計画の中止を求めます。MOX燃料問題を当面する重点課題として取組みます。
 B再生可能なクリーンエネルギーをもとめて、政府に原子力政策の転換を求めていきます。

(4)沖縄との連帯活動について
 @普天間基地建設について「普天間代替施設協議会」から建設工法、滑走路など名護市民の反対をおしきって計画が進行しています。この計画はジュゴンやヤンバルクイナなど貴重な動植物を犠牲をともなうことも明らかになっています。また、浦添市の軍港建設も当選した市長のもと具体化しつつあります。今年は県内移設が山場になると思います。全国の仲間と連帯した闘いに参加していきます。 
 A沖縄県道104号越え実弾砲撃演習は、本土5所に移転し夜間演習や砲撃数など地域住民の生活と命を脅かす重大な問題に発展しています。沖縄と各県とも連帯して演習の中止を求めていきます。
 B沖縄では今年に入り、米海兵隊による少女ワイセツ事件、婦女子暴行・傷害事件、放火事件などが頻発して発生しています。これらの犯人は基地内に逃げ込み日本の警察の追及をかわすなど、海兵隊の米本土撤退と日米地位協定の見直しが強く求められています。沖縄の基地縮小・整理・撤去と地位協定を見直す活動を強めます。

(5)平和のための3要求実現と日朝国交正常化をもとめて
 @米軍横田基地の返還、平和都市宣言の採択、平和祈念館の建設を求めて粘り強く取組んでいきます。
   国際反戦デーの闘いの継承するため10・21行動を取組みます。
 A戦後補償、歴史認識、アジア諸国との共生をもとめて、平和視察団を派遣します。
 B日朝国交正常化のため活動を強めます。

(6)狭山事件の勝利と人権確立の活動について
 @狭山事件の事実しらべと再審をもとめて、現在闘っている異議審闘争に全力をあげます。そのため、2月の東京集会の成功と東京高等裁判所、東京高等検察庁などへ働きかけを強めます。
 A外国人に対する地方参政権などの権利と人権を守る闘いを前進させます。
 B偏狭なナショナリズムの動きなど民主主義を脅かす課題については機敏に対応するため、平和フォーラムとも連携して取組みます。

(7)環境を守る活動について
 @地球温暖化や環境ホルモン、ダイオキシン、有害物資対策などについては、平和フォーラム、市民団体と連携し取組みます。
 A合成洗剤追放や水基本法の制定など、森や川、湖、海などの環境破壊をゆるさない活動を強めます。
 B食品や水などを守るために「食とみどり、水を守る都民会議」と連携した取組みをします。

▲東京平和運動センター結成以来代表幹事、副議長の大役を勤められ顧問に就任された菅谷八重子さん


総会アピール


 東京平和運動センターは、国民主権・人権・平和を堅持した日本国憲法を守り、世界の平和と人類の幸福をき築くために核廃絶、狭山闘争をはじめとした人権擁護、地球の環境を破壊をさせない、アジア諸国との連帯などを目的に結成しました。この運動の基調というべきそれぞれの課題が自・公・保連立政権とそれに追随する自由主義史観グループ、右翼団体などの偏狭なナショナリズムの台頭により大きくゆがめられようとしています。
 とりわけ教育の分野では「自由主義史観」などと称して、日本の戦争責任や憲法の理念や核廃絶をも否定する「新しい教科書をつくる会」などが登場し国家への献身、国防の義務など憲法をねじ曲げ「天皇中心の神の国」という歴史観を植えつけようとする非常に危険な内容となっています。このことによりアジア諸国との信頼関係が悪化する事を心配します。すでに韓国金大統領が善処をもとめるとの表明や、中国、朝鮮民主主義人民共和国などは日本の「右傾化」と警戒を強めています。
 北東アジアにおいてはロシア、中国、アメリカの核兵器が存在しています、世界でもっとも危険な地域といわれています。21世紀こそ核兵器の廃絶と軍縮が急務となっています。にもかかわらず日本は沖縄に新しい米軍基地を建設するなど新ガイドラン関連法にもとずく米軍との戦争協力やイージス艦や戦域ミサイル防衛など近隣諸国が緊張する軍備の拡大を続けています。
 狭山事件の再審を求める闘いは13年もの間ただの一度も事実調べを行わず棄却するなど司法の反動が続いています、日本に在住する外国人に対しても石原知事発言にあるように生命を脅かされている現状です。永住外国人の地方参政権についても自民党の一部が右翼団体と結託して国会での審議が止まったままになっています。
 このように、憲法も民主主義も平和もとりまく状況は非常に厳しいといわざるをえません。それだけ平和運動の強化がもとめられているといえます。朝鮮民主主義人民共和国との一日も早い国交正常化を実現し、朝鮮半島の自主的統一をめざした運動を強化するとともに、世界の平和に大きく貢献している憲法を守り、核も戦争もない21世紀を実現するため全力で闘い抜きましょう。以上、アピールします。

2001年4月23日
東京平和運動センター第12回定期総会

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