第9回口頭審理
陳述書
舩津和信
1999年10月15日(金)
陳述書
審査請求人 竹永公一
処分者 埼玉県教育委員会
右当事者間の平成10年(不)第3号審査請求事案につき、私舩津和信は左記のと
おり陳述いたします。
記
1.私は、平成8年度と平成9年度には埼玉県教育委員会事務局に勤務し、平成10
年度は県立南教育センターに勤務しておりました。
平成8年度は教育局指導部高校教育第1課主任管理主事として、また平成9年度
は同課主席管理主事として勤務し、そして、平成10年度は南教育センターの次長
として勤務しておりました。
主任管理主事の職務は、県立高等学校職員の人事及び学校管理運営の指導、助言
に関するものであります。主席管理主事は、主任管理主事の職務の統括をしており
ました。また、埼玉県立南教育センターでは、所長をたすけ、職員の担当する事務
を監督し、南教育センターの所掌する事務を整理しておりました。
平成11年4月1日からは、埼玉県立川越工業高等学校の校長として勤務してい
るものであります。
2.所沢高等学校の平成9年度の卒業式について、平成9年度の2学期の初めに、生
徒会役員などから卒業式は行わずに生徒主催の卒業を祝う会を実施したいとの希望
が出されたことを、何の用事で来たかははっきりしませんが、内田校長先生から聞
きました。職員会議においても、卒業式は行わず、生徒主催の教員が参画した卒業
記念祭をのみを行うということでありました。内田校長先生は職員会議の中で卒業
式は行うので、卒業式をやってください。卒業式をやらないことは認めないと発言
したと聞いております。その後の職員会議においてもそれを繰り返したと聞いてお
ります。
後日、内田校長先生が来庁された際、卒業式後に卒業記念祭を行いたいと話され
たときに、私は、校長先生のお考えのようになさればよいのではないかと言ったか
と思います。
3.所沢高等学校で、入学式を行わないで入学を祝う会を行うということが職員会議
の議題として出された期日はわかりませんが、内田校長先生が来庁したときに、そ
のような内容の話を聞いております。多分それは2学期のころだと思いますが、い
つであったかははっきりした記憶はありません。入学式についての内田校長先生の
お考えは、最終的には卒業式の時と同じような形、すなわち入学式を行った後に入
学を祝う会を行いたいとの意向であったと思いますので、最終的には校長先生がお
決めになることでもあり、そのような方法でよいのではないかと話したかと思いま
す。
また、内田校長先生は入学するためには入学許可が必要であり、入学式の中で入
学許可を行うということから、入学式を行うという考え方は常に持っておりました。
しかし、生徒・教員は祝う会のみを行うとのことであり、入学式の後に祝う会を行
うという考え方に改めたと思います。
4.所沢高等学校の入学許可候補者説明会がいつ行われるかは知りませんでした。平
成10年3月18日の午後5時頃、高校教育第2課に「校長と学年の先生の説明が
違う。どうなっているのか」との内容の電話と同日午後6時頃内田校長先生から電
話があったことを高等教育第2課の者から当日午後9時ころ聞きました。
その内容は、内田校長先生が入学許可候補者説明会の中のあいさつの中で行った
内容の説明に反し、4月9日は「入学を祝う会」のみで行いたいという内容の発言
をしたということでありました。しかしながら直接話を聞いておりませんのでその
ときは校長先生に対して何の指示もしておりません。
私は、このことがあったので、3月20日に、所沢高等学校に赴き、内田校長先
生と遠藤教頭先から3月18日のことを聞きました。その内容は、内田校長先生が
入学許可候補者説明会の最初の挨拶で、『「入学式」及び「入学を祝う会」の御案
内』という印刷物をその場で配布して、入学には校長が行う入学許可を受けること
が必要であり「入学を祝う会は入学式の終了後に実施する」と説明したところ、そ
の説明に反し、請求人の竹永教諭は学年関係の説明の際に校長の了解を得ることな
く、『4月9日は「入学を祝う会」のみを行いたい』という内容の発言をしたとい
うことであります。内田校長先生に、この事実は間違いないですね、と確認をしま
したが、内田校長先生は、入学許可候補者説明会の時に録音したテープを聴いてい
るので間違いないと話されました。
私はこれは事故であると判断し、すぐに事故報告書を提出して下さいと話しまし
た。
内田校長先生から本件についての職員事故報告書が提出されましたが、その職員
事故報告書に記載されている内容については間違いありません。この事故報告書に
記載されていることについては、内田校長先生からも確認しております。またテー
プを取っていたことについては、3月20日に校長先生のところに赴き、校長先生
から事実の確認をした時に知りました。そのテープは高校教育第1課に3月末に提
出されました。
5.前述しましたように、所沢高等学校に赴き、平成10年3月20日に校長先生か
ら本件についての事実関係を聞きました。そこで、事故であると判断し、事故報告
書を提出して下さいとお願いしたものであります。その後、請求人から事情を聞こ
うととしましたが、請求人は年休を取っていたため、請求人の出勤を待ち、教頭先
生にお願いし、校長室まできてもらうように話してもらいました。しかし、これは
請求人に拒否されてしまいました。そこで校長先生が職員室に行き職務命令で請求
人に校長室にきてもらうようにして事情を聞こうとしましたが、請求人は何人かの
教員を連れて校長室に入って来ました。そこで私が「3月18日のことについて請
求人にお聞きしたいので、それ以外の先生は校長室から退室してください」と何度
も話しました。何度かそのやり取りが繰り返されましたが一向に聞き入れてくれま
せんでした。その後、校長先生が「請求人以外は退室しなさい」と言うと、入り口
付近にいた20〜25人の教員が校長室に入ってきました。「なぜ来たか」「おま
えは誰だ」「処分に来たのか」などの言葉が浴びせられました。この間も校長先生
は請求人以外の教員について、退室するよう指示しましたが、全く無視された状態
でした。このやりとりは請求人が校長室に来てから約1時間30分続きました。こ
のため本日の事情聴取ができないと判断し、その日の事情聴取はやめました。
3月23日にも高校教育第1課の他の主任管理主事と課長補佐が請求人の竹永教
諭から本件についての事情を聞くため所沢高等学校へ行きましたが「9時頃内田校
長と遠藤教頭が請求人の竹永教諭を職員室に呼びに行きましたが、9時35分頃請
求人が校長室に入ってきました。その他の教員も多数校長室に入ってきました。内
田校長先生がその他の先生に対し、退室を命じましたが、退室せず結局請求人に対
し、本件についての事情聴取することはできませんでした。この日も30分近く事
情聴取をしようと努力をしましたが、出来ず、最終的に竹永教諭からの事情聴取は
中止せざるを得ないものであった」との報告を受けました。
このようなことから、本件について、請求人の竹永教諭からは事情聴取できなかっ
たものであります。
6.卒業式や入学式は高等学校学習指導要領特別活動及び埼玉県高等学校教育課程編
成要領において、学校行事のなかの儀式的行事として行う一つとして例示されてお
り、学校で卒業式や入学式を行うことは定着しているものであります。また、生徒
の入学許可や卒業の認定は一般的には入学式で校長が行うことになっております。
私は、卒業式や入学式は行うべきものであると考えております。
また、高等学校学習指導要領では「入学式や卒業式などにおいては、国旗を掲揚
するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」と定められており、当然
卒業式や入学式では国歌斉唱や国旗掲揚を行い、生徒には教員が指導するものと理
解しております。
学校における卒業式や入学式などの行事に関することは、最終的には校長が決め
ることであり、その責任は校長にありますので、校長が決めたことに反した行動等
はしてはならないものと考えております。
平成11年10月15日
埼玉県川越市新宿町6−4−15
舩津和信
(Web管理者記)
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