所高祭展示補足資料
今だからこそを伝えたい真実、語りたい親の思い
―2年半前の入学式を振り返って―
発行者:所沢高校3年保護者有志
発行日:1999年9月11日(土)
所高祭展示補足資料
今だからこそを伝えたい真実、語りたい親の思い
―2年半前の入学式を振り返って―
1999.9.11
所沢高校3年保護者有志
入学式、卒業式を巡る経過のそもそもの発端であった、97年の入学式。マスコミ
にもまだ報道されなかったあの混乱の入学式については、未だに釈然としない思いを
抱き続けている人が多数います。私たち3年の保護者以外の方にもその事実を伝えて
いきたい(1,2年の保護者の方からも伝えてほしいという声もあります。〉と3年
保護者有志であの入学式を親の視点で振り返ってみることにしました。当時のビデオ
やテープも掘り起こし、その時の私たち親の思いも加えてあの時の状況をお伝えでき
たらとまとめてみました。
1997年度の入学式
<4月9日の動き> │ <当時を思い起こす3年P有志の声>
│
期待に胸弾ませ入学式ヘ。 │ 学校説明会で自主自立の校風を高く評価してい
│ た新井教萌の話を聞いていたので、所高への大き
│ な期待をもって入学式を迎えた。
┌──────┐ │
│開式が遅れる│ │ 待っている間、吹奏楽部の生徒が演奏してくれて
└──────┘ │ 少し気が紛れたね。
定刻になっても入学式が始ま │
らない。ステージに花、校旗 │ 待っている時に一度、「職員会議が長引いている
│ のでいるのでしばらくお待ちください。」という
│ 連絡があって、なんで今頃職員会議をしているん
│ だろうと思った。
│ 生徒会やPTAが配ったビラを読んで事情がわか
│ ってきたわ。
定刻を30分過ぎて先生が式 │
の遅れの説明。「・・職員会 │ この辺で校長、教頭、事務室長の3人が息を切ら
議で(式の)内容が統一され │ して顔面蒼白でつかつかと体育館にはいってくる
ないまま現在に至っています。│ のを見たわ。
式はもう少し後にしていただ │ (校長も教頭も新しい人に替わっていた。)
き、入学生の皆さんは先にホ │
ームルームに・・」 │ 場内「エー?」のどよめき
│
校長が続いて発言し先に入学 │ 校長は時間がだいぶ過ぎてしまった事へのおわび
式を行うと述べる。「私、校 │ は言ってたけど、経過説明はしないし担任の先生
長の内田達雄と申します。 │ も会場にいないみたいだし(校長の命令で職員室
・・・このまま席にいていた │ に待機させられていたらしい)この状態で入学式
だいて、入学式を行います。 │ をほんとにやるのかしらって疑問に思ったわ。
呼名しまして、私がここで │ 場内ももざわついでいたし。
(入学を)許可しまして、そ │
れで初めて本校の生徒さんに │
なるのでございますので、是 │ 聞いててドキドキしてきたわ。
非ここでお待ちいただきまし │
て、その後、予定通り教室の │ ザワザワし校長の声がよく聞き取れなかったわ。
方に入るということで・・・ │
すぐに始めますので、よろし │
くお願いします。」 │
│
┌───────────┐ │
│管理職3人で入学式開始│ │ 舞台袖(正面からは見えない)には大きな日の丸
│日の丸、君が代強行。 │ │ があったという話を聞いたわ。
└───────────┘ │
│
│ 小旗は滑稽なほど小さな卓上日の丸で私も思わず
事務室長がステージの演壇の │ 笑ってしまったわ。
右隅に日の丸の小旗を置く。 │
場内から大きな笑い声。 │ 遠くから見るとまるでお子さまランチの旗みたい
長い間どよめきが消えない。 │ だったね。
│
│ 小さくてよく見えなかったけど小さな式次第には
あらかじめ貼ってあった式次 │ すでに貼ってあったものにはなかった「国欲斉唱」
第の下に小さな紙の式次第を │ が盛り込まれていたそうよ。
貼る。 │
│
管理職を追って入って来た先 │ 先生が校長の態度に怒って帰ってしまったかと思
生方がしぱらく校長とやりと │ っていたけど、本当は式の妨害ととられ処分され
りしていたが後方ヘ退く。 │ かねないのでやむを得ず引がったそうよ。
│
教頭が演壇にラジカセを置き │ このカセットは教頭がしっかり胸に抱いていたわ
何の言葉もないまま、いきな │ ね。
りスイッチを入れて、テープ │
から君が代のメロディーが流 │ 式のことぱも何もなくいきなり君が代が流れてき
れ出す。 │ てとても違和感があった。
│
│
┌──────┐ │
│在校生が抗議│ │
└──────┘ │
後ろにいた在校生数名が抗議 │ こんな状態を無視して何も対応しないということ
の声を上げながら前に出てく │ がふしぎだったわ。
る。会場が騒然とした中、君 │
が代が流れ続ける。 │
│
校長に対して在校生が「これ │ 在校生たちは日の丸・君が代反対というのではな
からの所高を創る生徒たちに │ く、話し合い尊重の伝統がつぶされてしまうとい
聞えないからちやんと話して │ う危機感から新入生のためにも所高を守りたいと
ください。」「みんなにきち │ 思って抗議したのだそうよ。
んと話してください。」「面 │
と向かって校長らしく話して │
ください。」と次々と発言。 │
「・・これからの所高を創る │ もう我慢できないという感じだったね。
のはあなたの独断でなく、こ │ もし、従来と達うやり方の場合は、事前に連絡し
れからの生徒です。」の発言 │ てほしいと校長に申し入れていたのに、それを無
に会場から「いいぞ」と保護 │ 視して強行するのに反発したのでしょうね。
者の声。大きな拍手。 │
「新入生を温かく迎えてあげ │ 勇気あるしっかりした発言に新入生も保護者も拍
たいんです。」の発言にも大 │ 手してたわ。
きな拍手。 │
│ 生徒たちの訴えに胸が打たれたわ。
┌──────────┐ │
│騒然とした中で呼名と│ │
│入学許可の強行 │ │
└──────────┘ │
在校生の発言を全く無視して │
教頭、「それでは入学者の呼 │
名をします。元気にハイと返 │
事をして・・」と言ってどん │
どん呼名を始める。 │
それを遮るように母親の発言。│ 親の方も、もう黙ってはいられないと怒りがこみ
「こういう形でうちの子ども │ 上げてしきていたね。
が入学式として迎えられるの │
は許されないと思います!」 │
場内一斉に拍手。 │
│
生徒会長が演壇に立ち発言。 │ この説明のおかげで、ようやく事の次第がはっき
混乱のお詫びやこういう事態 │ りしてきたわ。
になった経過の説明。 │
「子どもの権利条約に則って │ 校長が忍び寄ってマイクを取り上げようとしてる
我が校には生徒会が作った権 │ のを2人の男の子が必死にガードしてたね。
利章典があります。 │
・・・自分たちの自由を守る │
ためにみんなでがんばってい │ この間も教頭はずうーっと淡々と呼名を続けてい
きましょう。」と結び、会場 │ たよ。誰も返事したり立ったりしなかったけど。
から大きな拍手。 │ これに対してはあきれの笑いが場内におこってい
│ たわ。
│
別の在校生が替わって発言。 │
「生徒の皆さん、この入学式 │ 「先生たちは会議をやっていたのだけれど校長先
は生徒皆さんのものです。で │ 生は会議を抜け出して勝手に始めてしまうという
すから生徒の皆さん、保護者 │ 行動をとられたので、僕たちもあえてこういう皆
の皆さんにも聞きます。校長 │ さんの入学式を台無しにするということになって
先生に意見を言ってほしいと │ しまったのですが、校長先生の個人としての意見
思う生徒や保護者の方はご起 │ をしっかりとここで述べてもらいたいと思いま
立ください。」と呼びかける。│ す。」と説明しながらの提案に大多致が、一斉に
ぽとんどの新入生と保護者が │ 立ち上がったよね。
起立し拍手も多く起こる。 │
│
「校長としてこの場で話して │
ください。」と要請。 │
│
しかし校長は無視。 │
相変わらず呼名が淡々と続け │
られる。 │
│ 勇気ある新入生の発言に感動したわ。
新入生から抗議の声。 │ あまりのひどさに思い切って発言したんでしょう
「ちょっと待ってください。 │ ね。
自分の名前を呼ばれたのに気 │
がつきませんでした。こんな │ 何か言いたくて声に出せない生徒たちの思いを代
形で名前を呼ばれてもうれし │ 表してくれたのではないかな。
くありません。」 │
会場から大きな拍手。 │
│ 切実な新入生の声もまるっきり無視するなんてひ
校長は無視。教頭の呼名続く。│ どいよね。
│
校長が演壇に立ち新入生の入 │ 「聞こえなーい。」の声もあったわ。
学許可を宣言。「ただいま呼 │
名をしましたが(エー! う │
そー! よばれた? と疑問 │
の声が挙がる。) │
後ろに名簿が貼ってある皆さ │
ん402名の入学を許可しま │
す」 │
│ こんな呼名で入学許可なんて!と唖然とし
「きちんと話し合いをしてか │ たよね。
らやり直してください!」の │
の保護者の声。拍手。 │
│
┌───────────┐ │
│場違いな式辞を読む校長│ │
└───────────┘ │
校長は混乱を詫びた後用意し │
ていた式辞を読み出す。 │
「このような状況を皆様の前 │ 「校長の責任だぞ!」の声が挙がったわね。
にお見せしましてほんとうに │
申しわけなく思っております。│
厳粛な入学式である本日でご │
ざいますが私どもの生徒への │
指導並びに校長としての本校 │
の責任者としての不行き届き │
な面がありまして・・・ │
(父親から、あたりまえだ! │ この「あたりまえだ!」の怒りの声はすぐに
の怒りの声)・・・ │ あがったね。
気持ちは皆様のお子様のご入 │
学を心からお祝いしているわ │ 校長は新入生でなく新入生の保護者に向かって
けでございますので、この後 │ だけしゃべっているよね。主役は新入生と思う
の式辞の中で気持ちを込めて │ けど・・・
皆様に申しあげたいと思いま │
す。」と式辞の紙を取り出し、│
「木々の芽が膨らみ、新しい │ こういう状況を無視してあらかじめ用意した式辞
い生命を感じる・・・」と読 │ を読み続けるなんて信じられない。もっとこの場
み始める。 │ に応じて話すことがあると思う。
│
保護者から「校長先生呼名を │ 切実な声をまたも無視して何事もなかったかのよ
やり直してください!」の声。│ うに読み続けるなんていったい誰のための入学式
大きな拍手。 │ なのかしら。
│
校長、無視。読み続ける。 │ 混乱の式を目の当たりにして涙ぐんでいる母親も
│ いたね。
│
┌───────────┐ │
│式辞の最中新入生退場し│ │ 新入生の中にも泣いている子がいたので、先生方
│ホームルームへ │ │ が新入生の心情を配慮して退場したそうよ。
└───────────┘ │
式辞の読み上げが始まって間 │
もなく、担任の先生の後につ │ 新入生が退場し始めてほっとしたわ。とても、こ
いて新入生が次々と退場、会 │ のまま平然と座ってはいられない状態だったもの。
場から大きな拍手が起こる。 │
│
│ この時もずっととんちんかんな式辞を読み上げて
新入生が退場し始めると吹奏 │ いてそれをかき消すように演奏が始まったわ。
楽部の生徒たちが校歌の演奏 │
を始める。 │ 後日、吹奏楽部の子のお母さんに聞いたんだけど、
│ この時新入生が退場し始めたので部員たちは「こ
│ れでは校歌も聴かせられないまま式が終わってし
│ まう。これは大変!」とせめて校歌を聴かせたい
│ とあわてて演奏を始めたそうよ。
│
│ 在校生たちが誇らしげに歌っていたよね。
│
校長は新入生の席がすっかり │ 後で校長は吹奏楽部の子に聞き取り調査をしよう
空になっても、そのまま式辞 │ としたそうよ。
を読み続けていた。 │ 生徒会の子はいろいろ聞かれたようね。
│
続いて教頭が「次はPTA会 │
長の・・・」と用意した式次 │
第通り進めようとするがそれ │ 新入生がいないのに、この上まだ続けるのかと
を遮るように「待ってくださ │ 思った。
い!」「恥さらし!」と保護 │
者の声。 │
にもかかわらず、教頭は「来 │
賓紹介を・・・」と続けよう │ 「子どもたちは希望を持ってこの学校へ来たんだ
とする。 │ ぞ・・・」の抗議の声も挙がったよね。
│
保護者の相次ぐ抗議の声で式 │ この式は始めも終わりもわからない式だったね。
は事実上中断。 │
│
│
┌───────────┐ │
│保護者に対し先生、 │ │
│PTAが謝罪や事情説明│ │
└───────────┘ │
新入牟が引き上げた体育館の │ 「所高百年の歴史が今つぶされようとしている・
中で一人の先生が今日の混乱 │ ・・」と、涙ながらに語る姿に先生たちもすごく
について涙ながらに謝罪した。│ 苦しんでいること、誰よりも強く所高を愛する気
│ 持ちが伝わってきたわ。
「自主、自立の民主的な手続 │
きを大事にするという、校風 │
を全く無視した形で管理職は │ 先生の他にPTAの役員の人も事情を説明してた
こうした挙行に踏み切ったわ │ よね。
けです。その事が悲しいので │
す。その事に職員一同怒りを │
覚えています。・・・本当に │
申し訳ありません。」と言う │
先生に「先生たちはよくがん │
ばってくれました。」との声。│
│ 「我々よりも子どもたちに詫びてください。」
│ と一人の父親の発言に拍手があって、
「努力してる先生に対しこう │ 「見解の違いはいいんですよ。いろいろあるから。
いう状況を招いたのは管理職 │ しかし何故こんな状態で・・・どっちもどっちな
が悪い!」の声。 │ んですよ。」に対してこの声が挙がったね。
「そうだ!」の声。 │
│
┌─────────┐ │
│校長が保護者に弁明│ │
└─────────┘ │
抗議の声に押されるようにし │ 校長は「日の丸、君が代は学習指導要領に書いて
て校長が登場し弁明するがよ │ あるんですから・・」とかあれこれ弁明していた
く聞き取れない。 │ けど、申し訳ないといった表情や態度をしている
│ ようには思えなかった。
│ 居直っているみたいにこ見えたわ。
│
┌────────┐ │
│やり直しの入学式│ │
└────────┘ │
先生から入学式をやり直すこ │ 先生が式をやり直してくれると聞いて本当に
とを聞く。 │ うれしかったわ。
│
新入生退場の約三十分後 │ これが本当の入学式だと思って、力一杯拍拍手
再入場。吹奏楽部の演奏に合 │ したわ。
わせ、どこからともなく手拍 │
子が始まり温かく新入生を迎 │
えた。 │
校長はいない。 │ 校長先生にも出席を要請したけど断られたそうよ。
│
先生から開式のことば。 │
「ただいまから平成九年度入 │
学式を教職員一同、心を込め │ 「教職員一同心を込めてjのことぱにジーンと
て行いたいと思います。 │ 目頭が熟くなった。
│
吹奏楽部が校歌演奏 │ 校歌を口ずさんでいぎ保護者もいた。私も思
│ わず小さな声で唱和してしまったわ。
│
担任の先生より呼名 │ 教頭の呼名とは違って生徒一人一人をしっかり
│ 確認しながら呼んでくれたね。生徒も大きな声
│ で返事してる子が多かった。
PTA会長の挨拶 │
「・・・心配ないです。子ど │ 「先生の熱意だけが子どもたちの将来を左右しま
もたちは逞しいです。なかな │ す。全カでフォローアップしていただきい。」の
か、ちょっとやそっとではめ │ 言葉も良かったよね。
げない。自信を持って入学さ │
せてください・・・」と語る。│
│
生徒会長が在校生代表として │
歓迎の言葉。 │
改めてきょうの混乱のお詫び │
と校長との交渉の経過報告。 │ 仲間っていいなって思わされる話だったよね。
そして「皆さんも一緒にがん │ 大きな拍手が起こった。
ばれる友だちをつくってほん │
とに楽しく過ごしてくださ │
い。」と結ぶ。 │
│
新入生代表のことば。 │
代表のI君は演壇に立つと挨 │
拶文を読む前に「とてもあつ │
い入学式で・・・初日からこ │ この言葉、印象的だったわね。今でもよく覚えて
れだったら卒業する前に溶け │ いるわ。
ちゃうんじゃないか・・・」 │
と語り、会場から笑い声と拍 │ とても感動してそれまでドキドキしていた大人の
手が起こる。 │ 私が慰められるような気がしてぐっと来た。この
│ ように混乱した状況の中でもユーモアを忘れず、
│ 冷静な目で事態をとらえられる子どもたちと我が
│ 子が一緒に高校生活を送れるのかと思うとホッと
│ した。
│
開式のことばの後担任紹介 │
│
新入生は再度数室へ行き担任 │
の話を聞いてから解散。 │
│ 各クラスで担任の先生からも謝罪のことばが聞か
次に保護者が教室へ行き担任 │ れた。
の話を聞く。 │
│ 前日、当日と職員会議でもめて(式服に)着替え
│ られなかった先生もいて、その事も謝っていたわ。
│
ようやく長い一日が終わった。│
│
│ 私はとっても疲れて次の日寝込んでしまった。
│
│ うちの子は、この式で「すごくやる気が出てき
│ た!」と言っていたわ。
│
│ 形ばかりにこだわる管理職とひたむきな生徒たち
│ の姿がとても対照的だったと思う。
│
│ 後日校長は「厳粛な部分に欠けるところもあった
│ が入学式は無事終了したと考えている。」と発言
│ してるけど、「日の丸、君が代がなくて混乱のな
│ い入学式」より「大きな混乱があっても日の丸、
│ 君が代がある入学式」を評価しているんだね。
│
だけど、新入生の心を一番大切にしてほしかった!!
(Web管理者記)
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