人事委員会

平成10年(不)第3号懲戒戒告処分事案

第2回口頭審理調書

1998年12月16日(水)


(Web管理者記)
 下記資料は、第2回口頭審理調書ですが、証人に関する部分についてはマスキング
をしております。

┌────────────────────────────────────┐ │         第 2 回 口 頭 審 理 調 書          │ ├───────────┬────────────────────────┤ │ 事 案 の 表 示 │   平成10年(不)第3号事案        │ ├───────────┼────────────────────────┤ │ 請   求   人 │   竹永 公一                │ ├───────────┼────────────────────────┤ │ 処   分   者 │   埼玉県教育委員会             │ ├───────────┼────────────────────────┤ │ 期       日 │   平成10年12月16日          │ ├───────────┼────────────────────────┤ │ 場所及び公開の有無 │   埼玉県庁第3庁舎講堂  公 開      │ ├───────────┼────────────────────────┤ │ 開会及び閉会時刻  │   午後2時39分開会  午後4時44分閉会 │ ├───────────┼────────────────────────┤ │           │ 委 員 長   坂 巻  幸 次       │ │ 審 理 委 員   │ 委   員   森 田  益 弘       │ │           │ 委   員   渡 邉  圭 一       │ ├───────────┼────────────────────────┤ │           │  事務局長   加村 トク江         │ │           │  次  長   上野  義光         │ │ 審理事務補助職員  │  主  幹   清水   誠         │ │           │  主  査   川崎   啓         │ │           │  主  事   渡辺 佳代子         │ ├───────────┼────────────────────────┤ │           │ 請求人側                   │ │           │  請求人 竹永公一              │ │           │  代理人 桜井和人  中山福二  野本夏生  │ │           │      佐々木新一 設楽あづさ 鍛治伸明  │ │           │      池永知樹  岩下豊彦  谷村勝彦  │ │ 当事者の出席状況  │      和田 茂  米浦 正  竹下里志  │ │           │      林  哲              │ │           │ 処分者側                   │ │           │  代理人 鍛治 勉  飯塚 肇  白鳥敏男  │ │           │      島嵜祥司  赤松峰親  飯田 徹  │ │           │      中川 晃  水野 潔  長沢 攻  │ │           │      鈴木民儀  遠山幸雄  柴崎昌子  │ │           │      門谷修二郎             │ ├───────────┼────────────────────────┤ │ 審理の記録     │       別 の と お り        │ ├───────────┼────────────────────────┤ │ 付属書類      │         な   し          │ └───────────┴────────────────────────┘ ------------------------------------(01)------------------------------------           平成10年(不)第3号事案 第2回口頭審理 平成10竿12月16日(水曜日) 午後2時39分開会 ○委員長(坂巻) それでは、審理を開始いたします。     撮影のほうは、以上をもって止めていただきたいと思います。     なお、第1回口頭審理の後、審理の録音に関し人事委員会で協議した結果を    申し上げます。     ロ頭審理の内容につきましては、人事委員会事務局職員が録音を反訳してい    るのではなく、御案内のとおり、速記業者にお願いして速記録を作成し、その    内容に誤りがないかチェックのうえ両当事者に送付しています。審理内容の録    音につきましては、前回の口頭審理で申し上げましたように、審理中の秩序の    維持の点から禁止いたします。     しかしながら、調書については、前回請求人側から要望のありましたとおり、    また、両当事者の攻撃防御の準備が十分にできるように、今後とも、できるだ    け速やかに両当事者に送付するように事務局に強く指示しておりますので、御    了解を願います。     それでは、ただ今から平成10年(不)第3号懲戒戒告処分事案の第2回口    頭審理を行います。     人事委員会としましては、不服申立て制度の趣旨のもとにこの審理を進めて    まいりますので、両当事者及ぴ代理人におかれましては、秩序ある審理が行わ    れますよう御協カ願います。    また、傍聴人の皆さんも、不服申立て制度の趣旨を御理解の上、御静粛に御協    力を願います。     なお、審理に際しまして、3点ほど御注意を申し上げます。     まず、当事者の発言は、速記者が記録を取っておりますので、その都度お名    前をはっきりおっしやって発言してください。     それから、先ほど申し上げましたが、録音機の使用や撮影は禁止します。     次に、傍聴人は傍聴券の裏に記載されている傍聴規則を守ってください。特    に、審理関係者の発言に対して批判や野次を加えたり、拍手をしたりすること    は厳に慎んでください。     また、審理進行の妨げになるので、場内で携帯電話、ポケットベル等をお持    ちの方は、スイツチはお切りください。 ------------------------------------(02)------------------------------------     これらの注意事項を守らない傍聴人には退場していただくこともありますの    で、あらかじめ御注意申し上げます。     これまで提出された書面の確認について申し上げます。     請求人側から、平成10年10月28日付け求釈明書(2)が提出されてお    り、委員会としては、これを同年11月17日に受理し、その写しを処分者側    に送付しましたが、これに対し処分者側から、同年12月8日付け準備書面が    提出され、当委員会はこれを昨日付けで受理して、本日、その写しを請求人側    にお渡ししてあると思います。     また併せて、処分者側から提出された同年12月9日付け証拠申出書及び書    証の写しを請求人側にお渡ししました。     次に、処分者側から同年11月10日付け準備書面が提出されており、委員    会は、これを同月17日付けで受理し、その写しを請求人側に送付しましたが、    これに対して請求人側から同年12月11日付け準備書面(1)が提出されて    おります。これは、当委員会として昨日付けで受理して、本日、その写しを処    分者側にお渡ししました。     これらの準備書面に対する認否等は、それぞれの当事者に伺いますけれども、    請求人側、どうしますか。 ○請求人代理人(中山) 準備書面の(1)及び(2)につきまして、口頭で若干補    充して御説明したいというふうに思っております。 ○委員長(坂巻) どうぞ。 ○請求人代理人(鍛冶) まず、当方より提出しております、1998年(平成10    年)12月11日付けの準備書面(1)に関してですが、まず、この平成10    年11月10日付け処分者側の準備書面に対し釈明を求めたい点がございます。     一つ目は、この本件処分対象事実に関する点ですが、この処分対象事実のう    ちの、入学許可に関する校長の発言につきまして、この11月10日付け処分    者側準備書面の冒頭では、入学には校長が行う入学許可を受けることが必要で    あるというふうに述べておりますが、処分者側は、同じ準備書面の中で、入学    許可に関する校長の発言につきまして、「入学許可は、入学式の中で校長が行    う。」というふうにとらえております。     これにつきまして、そもそも、校長が入学許可侯補者説明会において、入学    には校長が行う入学許可を受けることが必要であり、というふうに発言したと    いう趣旨なのか、それとも、入学許可は入学式の中で校長が行うと発言したと    いう趣旨なのか、その点について特定していただきたいと思います。 ------------------------------------(03)------------------------------------     次に、校長が、入学許可は入学式の中で校長が行うというふうに発言したと    した場合、入学式において入学を許可をするということは、これは処分者の見    解なのか、それともこの校長独自の見解なのか。いずれにせよ、入学式におい    て入学を許可をするという点、これについての法的根拠を明らかにしていただ    きたいと思います。     そして、二つ目なんですが、これは入学許可侯補者説明会の中身なんですが、    この入学許可侯補者説明会では、審査請求人は、新1学年団の代表として発言    した、代表としての説明を行った場合以外にも、PTA等からの質疑応答の場    面でも、質問に答えるというかたちで発言しております。     そこで、1点目としまして、この本件処分対象事実となる審査請求人の発言    というものは、審査請求人が新1学年団の代表として説明した場面、そこでの    場面のものに限られるのか、これ以外での場面での発言も含むという趣旨なの    か、これを特定していただきたいと思います。     仮に、新1学年団の代表として説明した場面以外の場面での発言も含まれる    という趣旨であれぱ、どのような場面でのどのような発言なのか、これを特定    していただきたいと思います。     そして、仮に、新1学年団代表として説明した場面、この場面での発言に限    られるとするのであれぱ、そこでなされた審査請求人の発言内容、これについ    て正確に特定していただきたいと思います。     以上です。 ○委員長(坂巻) 処分者側に伺いますけれども、今の準備書面(1)の中の求釈明    についての意見はどうしますか。 ○処分者代理人(鐙治) 次回までに準備いたします。 ○委員長(坂巻) 次回までということで……。 ○請求人代理人(中山) そういうお答えが来るとは思って私も出したつもりなんで    すけれども、そんなにこれ、口頭で発言することが難しいんでしょうか。これ    いずれも、非常にわかりやすく、練りに練って求釈明の内容をつくったつもり    なんですけれども、今ここで、やはりお答えいただけないでしようか。公開口    頭審理の趣旨からしても、できる限り書面ではなく口頭でお答えいただくのが    筋ではないかと思うんですが、いかがでしようか。 ○委員長(坂巻) 処分者代理人は、答えられるようでしたら……。 ○処分者代理人(鍛治) 今述べたとおりですよ。次回までに検討したうえで準備い    たします。 ------------------------------------(04)------------------------------------     いつこちらに、今の準備害面(1)をもらったと思ってるんでしょうかね。 ○請求人代理人(中山) 私のほうは、あらかじめ渡せるように提出したつもりです    けどね。     昨日受け取ったんですか。昨日受け取られたんであれぱ、考える時間は24    時間あるんですけれども。 ○委員長(坂巻) なるべく早く処分者側が書面にまとめて御提出願うということで    御了解ください。 ○請求人代理人(中山)こちらのほうとしてはですね、処分者側のほうからこれに対    する応答があれぱ、当然、反論すべきものは反論いたしますけれども、そうい    うかたちで、じゃ、今度その、更にこちらから再求釈明、再々求釈明があった    場合にですね、どうしてもその、処分者側から出た意見に対して書きますから、    受け取ったのはやはり直前になっちゃうことだってあり得ると思うんですね。    そうするとまた、それに対して次回ということになるとですね、いつまでたっ    てもこういう状態が続くということになりかねないので、こちらとしては、今    日ですね、この質問に対する答えがないからといって、じゃ、次回また同じこ    とを繰り返すつもりは、はっきり言ってありません。できれぱ審理を、処分者    側の応答如何にかかわらずですね、どんどん進めたいと思っているんですけれ    ども、とにかく、審理を促進する意味でも、きちっと答えられるべきはずのも    のであるし、答えられる内容だし、答える義務があるものだと思いますのでね、    この内容は。とにかく、できるだけ早く回答していただきたいというふうに意    見を申し上げておきます。 ○委員長(坂巻) 今、請求人側の補足的な希望というか、その意見を尊重して、処    分者側でも、できるだけ早く書面にまとめて提出していただいて、審理進行の    促進に御協カ願いたいと申し上げているところです。     それでは、準備書面(2)について、どうぞ。 ○請求人代理人(設楽) 準備書面の前半部分について、まず陳述させていただきま    す。     準備書面(2)では、まず、所高において今日まで実践されてきた学校運営    における生徒の民主的参加のシステムについて概観し、かかる実践が、我が国    の憲法の保障する個人の尊厳、及び子どもの権利条約12条の規定する子ども    の意見表明権を具体的に実現するものと評価されること、そして、右権利条約    に照らせば、憲法及び条約に規定された権利の具体的保障が既に実現されてい    る状況にあって、これを後退させるような公権カの行使は原則として許されな ------------------------------------(05)------------------------------------    いということについて述べたいと思います。     まず、所高における生徒の学校運営に対する民主的参加のシステムでござい    ますけれども、所沢高校は、長年にわたって自主自立を一貫して学校の基本方    針とし、生徒の自主的、自治的活動を援助、推進をしてきました。生徒会は生    徒の総意を受けて活動する自治的機開として機能し、生徒総会を通じて形成さ    れる生徒の意思は、学校運営において最大限尊重されてまいりました。そして、    学校行事等の決定過程に生徒の参加、意思の反映が前提とされて、生徒と教職    員による共同決定の原則、これが具体化されており、特に学校行事の分野では、    生徒参加が制度的に明確に保障されてまいりました。     この民主的参加のシステムで、特に特筆すべきは、教職員と生徒の間の協議    会並びに定例連絡会議の二つの制度でございます。     まず協議会ですが、これは1982年から実施され、そもそも、もともとは、    所沢高校の生徒が職員会議の傍聴を要望したことに対して、職員会議からの提    案によって、生徒協議会、職員生徒協議会を設置するというかたちでつくられ    たものです。これは、教職員、生徒の代表者による自由な討議をすることを目    的とし、職員会議は、協議会を行ったあとも、生徒が職員会議の決定に納得し    ない場合は再度職員会議において審議をするということが規定されており、生    徒が単にああしたいこうしたいという自分たちの意見を学校に伝えることだけ    ではなく、それが学校において学校の運営の中で尊重される、尊重されてそれ    が取り込まれて学校運営が行われるということを制度的に保障したものという    ことができます。     また、教職員と生徒との定例連絡会議は、1998年4月から設置されまし    た。協議会が、生徒側の決定を職員会議が否決したときに行われるものである    のに対して、定例連絡会議は、生徒と教職員が定期的に意見を交換し、多くの    情報公開と自由な討議を通じて、生徒、職員の疑問、意見、要望を広い範囲で    吸収することを目的としております。双方から議題を提出し、毎学期に1回開    かれることによって、生徒のよりきめ細かな意見の吸い上げ、学校運営への反    映が行われるようになってまいりました。     所沢高校では、このような制度のもとで、各学校行事を中心とした特別活動    領域の分野で生徒の学校参加が実現されており、これは、例えば体育祭、ある    いは所高祭、遠足、修学旅行、門出式、ロングホームルームなど、各場面で、    学校運営の各場面で様々な具体的なかたちをとって保障されているというもの    であります。その具体的な内容は、準備書面に記載されているとおりでござい    ます。 ------------------------------------(06)------------------------------------     ところで、このような生徒の学校運営に対する参加ということが、権利とし    て、我が国の国内において権利として保障されているかということでございま    すけれども、我が国の憲法13条は、国民すべてに対して、これが個人として    尊重されるということを規定しております。いわゆる個人の尊厳の規定と言わ    れているこの規定は、国民各自は、自分にかかわろすべての事柄について、こ    れを自己の意思に従って決定するという、自己決定権がその中核をなしている    と解釈されております。大人においては、法律的にも、あるいは能カ的にもこ    の自己決定権を全うする機会と能カが与えられているわけでございますけれど    も、成長・発達途上における子供において、様々なその行動の制限、あるいは    能カ的な限界等の事情により、子供においては自己決定権の具体的な行使が十    分になし得ないという前提から、子供における個人の尊厳というのは、自己決    定、大人のそれにおける自己決定権ということよりは、むしろ、自分の意思を    表明してこれを正当に尊重される権利というふうに解するべきだと言われてお    ります。     とすれば、子供において、その参加の権利、特に、その日常生活の大部分、    重要な位置を占める学校生活における参加の権利というのは、子供が憲法13    条で保障された個人の尊厳を全うするために重要な権利であると言うことがで    きる、というのが、憲法の保障する個人の尊巌の、子供における具体的な保障    内容ではないかということが、まず述べられております。     また、憲法26条では、子供の教育を受ける権利、学習権と俗に言われてお    りますが、これを保障しております。この憲法26条によっても、子供の参加    の権利というものが保障されていると解されるわけであります。     この教育を受ける権利は、学習権、国民各自が、一個の人格として、また市    民として成長・発達し、自己の人格を完成、実現するために必要な学習をする    固有の権利の保障を含むというのが我が国の判例の認めるところでございます    が、子供が民主主義社会において独立した人格としてその成長・発達を遂げて    人格を完成、実現していくためには、自己にかかわる問題を自分で考え、その    意見、見解をまとめてこれを表明する能力を醸成するために必要な教育を受け    るとともに、これを自らのカで解決していく能カを育てなけれぱいけません。    そのためには、生徒が自己を取り巻く社会その他の環境に対して、単にそこに    対して意見を表明するにとどまらず、更に、その意思が尊重されること、その    意思が尊重されることを前提としてまた自らが変わっていくことが重要である    というふうに解されるのてありまして、この憲法26条の教育を受ける権利は、    生徒の年齢に応じた参加の権利ということもそこに含むものと解するべきであ ------------------------------------(07)------------------------------------    るということが記載されております。     更に、我が国が批准した子どもの権利条約における参加権の保障ですが、子    どもの権利条約12条においては、子どもの意見表明権、子どもの表明した意    見が正当に重視されるということを保障しております。この12条の文言から    は、これを単なる意見の表明のみを保障した規定であって積極的に参加の権利    まで保障するものではないのではないかという見解が当初ありましたが、この    子どもの権利条約が、子供の市民的自由を保障し、子供を単なる保護の対象と    してではなくて独立した人格として尊重し、その人権を自ら行使する主体とし    てとらえていることを考えるならば、条約の12条は、自ら意見を表明しつつ、    その成長に応じて、自己の環境、自分を取り巻く環境とかかわりあいながら成    長・発達を遂げる子供たちに対して、その単なる意見表明だけではなくて、成    長や発達に応じた環境への参加、かかわりを保障していると解するべきであり    ます。     このように、憲法はもちろんですが、権利条約においてより具体的に保障さ    れた子供の参加の権利といいましても、この参加の具体的な態様、形式という    のは、子供の成長・発達、それぞれの環境に応じて様々であって、これを具体    的に定める法律がなければ、それは権利として具体的に保障されないのではな    いかという疑問が生じます。     しかしながら、既にその権利の内容を自主的に具体化して、しかも制度的に    それを保障するかたちで実践している現場において、それはまさにこの所沢高    校における生徒の参加のシステムなわけでありますけれども、そういう場にお    いて、その実践の中で保障されてきた具体的権利を後退させ、制限するという    ことは、子どもの権利条約の4条が、各国が条約に定める子供の権利の実現を    推進する義務ということを定めていることに照らせぱ、既に存在する権利を剥    奪ないし後退させるという意味で、この4条にも違反する行為であるとともに、    憲法及び条約12条に反するものであると、そういうふうに解すべきでありま    す。     これはもう既に争いのない事実でありますが、批准された条約が我が国の国    内法的効力を直ちに有し、しかも法律に優位するということは、争いのない解    釈でありまして、そのような法律に優位する条約の内容に反する現状を放置す    る公権カの行使自体も、違法の評価をまぬがれないものでありますが、既にそ    れが実践として現に具体的に保障されている状況にあって、これを制限する、    あるいは正当な理由なしに後退させるという公権カの行使は、いかなる理由に    おいても許されないということが、この準備書面(2)の前半で述べられてい    ることでございます。 ------------------------------------(08)------------------------------------ ○請求人代理人(野本) 審査請求人代理人の野本のほうから、後半部分について説    明します。     このように、所沢高校では、協議会、あるいは定例連絡会議を中心として、    教職員と生徒との民主的な話し合いに基づく学校運営が行われていたわけです    けれども、それでは、1997年の4月に内田校長が着任してから、この生徒    の参加権を尊重するような学校運営が行われてきたんだろうかという点につい    てお書きしたのが、第3、内田校長着任後の所沢高校の学校運営の実態の部分    です。     まず、内田校長が生徒たちにどのような対応をとってきたかということが、    11ページから12ページにかけてお書きしています。     内田校長は、生徒会活動などを中心とした生徒たちの自主的な取組、活動に    ついて、無理解と言っていい対応をとり続けてきました。そしてまた、時とし    てこれを妨害する行為を繰り返していたのです。98年3月の卒業記念祭、そ    して4月の入学を祝う会に向けての生徒たちの取組について内田校長がとった    対応、これがまさに典型でした。     また、内田校長は、PTAに対して、着任以降、一貢して敵対視するような    姿勢をとり続けてきました。1997年4月、着任直後に開かれたPTAの常    任理事会では、その4月に開かれた入学式の混乱の原因は内田校長にあるので    はないかと、こういう発言がPTAの中からあいついだわけですが、内田校長    は、PTAは学校運営に口出ししてもらっては困るという発言などをして、そ    れ以降、PTAの会合には参加も控えると、こういう対応をしています。     また、PTAの活動で学校施設を利用する場合には、その都度、いちいち施    設利用許可願を提出させる、まさにいやがらせと言うほかない対応をとってき    ました。     また、教職員に対しての内田校長の対応は、常識を欠くと言わざるを得ない    ものでした。着任直後に、カメラを上着の内ポケットに入れて、いつでも写真    撮影を撮るという構えで教師に対したのを皮切りにして、その後は、職員会議    等の場における教職員との協議を軽視して、職務命令を乱発し、権力的と言え    る学校運営を行ってきました。     こうした内田校長の非民主的な権カ的な学校運営の手法に対しては、98年    4月2日の職員会議が校長罷免要求決議を採択するという事態にまでなってい    たのであります。     教職員と校長の間に信頼関係が一向に築けない状況が存在していた、この点    については13ベージから14ページに詳しくお書きしています。     このような内田校長の学校運営の進め方、権力的な学校運営の進め方は、戦 ------------------------------------(09)------------------------------------    後進められてきた教育の民主化に逆行するものです。また、市民常識から見て    もおよそかけ離れたものでした。     請求人に対する今回の本件処分は、こうした内田校長の学校運営を容認、正    当化しようとする意図のもとに出されている点で、極めて不当なものだと考え    ます。     次に、第2の部分では、校長の職務掌理の権限等、職員会議の自治、あるい    は生徒の学校運営参加権との関係について述べています。     処分者は、学校教育法、あるいは施行規則、あるいは学習指導要領を根拠と    して、校長は、入学式に代わる生徒主催の入学を祝う会を開催したいという生    徒や教職員の決定には何ら拘束されないんだと、独自の判断、決定によって、    入学を祝う会とは別に入学式を行うことも許されると、このように主張するよ    うですが、しかし、校長の校務掌理の権限というものも、憲法以下の法令に反    することは当然できません。その意味で無制約のものではあり得ないわけです。     この書面でお書きしたのは、まず、職員会議の自治との関係です。     教育の専門家である教員が討議をして出した結論については、校長も尊重し    なけれぱならないという点での制約があります。埼玉県教委も、埼玉県立高等    学校管理規則に職員会議に関する規定が置かれているわけですが、その規定の    解釈、運用について、職員会議においては、職員をして十分に議を尽くさせ、    その意見は十分尊重して学校経営に当たらなけれぱならぬことはもちろんであ    る、このような見解を強調しています。     ごく当たり前のことですが、職員会議における十分な討議を経ずに校長が独    断で決定を出したり、あるいは職員会議の討議結果を無視してそれと異なる決    定を出すことが、校務掌理の権限を逸脱したものとされることは、当然にあり    得ると言うべきです。     次に、生徒の参加権の関係ですが、この関係でも、校長の権限は当然制約を    受けています。所沢高校では、先ほど詳細に述べましたが、学校行事を含む特    別活動領域について、生徒と教職員との共同決定方式が制度として確立してい    ました。この方式は、憲法、条約、あるいは学校教育法、これによって保障さ    れる生徒の参加権の実践とも言うべきものであることは、先ほど述べたとおり    です。     したがって、この共同決定方式を根底からひっくり返す、くつがえすような    内田校長の行動、具体的には、入学を祝う会のみを行うという教職員と生徒の    総意を否定して、入学式も行うと決定したことは、この憲法、条約等によって    保障された生徒の参加の権利を侵害する、この点で違憲違法な公権カの行使と    評価すべきであると考えます。 ------------------------------------(10)------------------------------------     第5の部分では、学習指導要領との関係について述べています。     処分者が、学習指導要領によって、日の丸、君が代がある入学式、卒業式を    行うことが義務づけられているという立場から、内田校長の学校運営を正当化    しようとしています。しかし、この見解が不当である点は、まず、景高裁の学    テ判決、あるいはその後の伝習館訴訟最高裁判決、このいずれも、いわゆる対    抗的基準説を採用して、学習指導要領に法的拘束カを認めることについては非    常に慎重な姿勢をとっています。法的拘束力を認めるという行政庁の解釈とい    うのは、学説、判例においては決して主流ではありません。そのうえ、子ども    の権利条約が批准された後においては、この条約が上位規範として教育関係諸    法を規律していくことになっているわけです。学習指導要領については、国連    子どもの権利委員会が、極めて巌格に、そして硬直的に教育課程を決めつけて    いると、このような指摘をしているのであって、条約が批准された後は、学習    指導要領は、当初そうで事ったように試案、あるいは例示としての性格のみを    有するものとして位置づけられるべきだと考えます。     したがって、入学式に代えて入学を祝う会を行うという生徒及び教職員の決    定を校長が学習指導要領を根拠に制約することは許されないと考えます。     以上、この準備書面2では、日の丸を掲揚し君が代を斉唱する、そういった    厳粛な入学式を入学を祝う会とは別に行うという内田校長の決定というものは、    入学式を行わずに生徒主催の祝う会に参画していくという職員会議の決定を軽    視している点、あるいは教員と生徒の共同決定、このシステムをつくがえして    いる点、この点で、生徒の学校運営への参加権、あるいは職員会議の自治、こ    れとの関係で、違憲あるいは違法な公権力の行使であり、他方、竹永先生の入    学説明会における発言というのは、こうした生徒の学校運営への参加の権利を    できる限り尊重、擁護する立場からなされたものであって、決して信用失墜行    為として非難されるべき性質のものではないと、この点について述べたもので    す。 ○委員長(坂巻) この準備書面(2)は、12月15日付けで当委員会は収受し、    それで、先ほど委員会のほうで正式に受理という決定をし、この場で直接、処    分者側にお渡ししたという経緯があります。     そういうことですが、処分者側の方にこれについての認否についてお伺いし    ますが。 ○処分者代理人(鍛治) 今の御説明を聞いておりますと、ほとんど御意見に当たる    んじゃないかと思うんですよね。だから、これは検討はいたしますけれども、    こちらの主張を述べる必要があるということがありましたら書面で出したいと    思っています。次回までに検討させてください。 ------------------------------------(11)------------------------------------ ○請求人代理人(中山) 今、鍛治代理人は意見だというふうに言いましたが、意見    もかなりあります。しかしですね、この書面を御覧になっていただけばわかり    ますが、第1と、それから第3の部分ですけれども、これは、お読みいただけ    ぱおわかりのとおり、所沢高校における実情です。ですから、事実にわたるこ    とが書いてありますので、そしてこれが、請求人の本件処分が全く違憲違法で    あるということのこちら側の裏付け的な主張になっておりますので、少なくと    もその事実に対するきちっとした認否、反論はですね、あってしかるべきだと    思います。これについては、きょうお受け取りになったようですから、直ちに    認否せよとか反論せよとか、そういうことは、こちらも無理は言いませんから、    しかし、必ず応答はされるべきであるというふうに考えておりますので、一言    付け加えます。 ○委員長(坂巻) 次に、請求人の発言を録音したテープに関して、請求人側から、    11月5日付けの意見書が提出されております。     また、これに関連して処分者側からも、12月8日付けで、「証拠の申出に    ついての意見」が提出されております。当委員会は、これを12月15日付け    で受理いたしまして、本日、その写しを請求人側にお渡しいたしました。請求    人側、よろしいですか。 ○請求人代理人(中山) はい、いただきました。 ○委員長(坂巻) それで、まず処分者側に聞きますが、この意見の中で、「行政情    報公開条例第6条第1項との関係で疑義があり、」とありますが、具体的には    どのような意味ですか。 ○処分者代理人(鍛治) その録音テープを反訳することによって、ある特定の個人    が識別され特定され得るものがあるということです。そういう場合には情報公    開をいたしませんので、そのことを述べているわけです。 ○委員長(坂巻) その点について請求人側は意見がありますか。 ○請求人代理人(佐々木) まず処分者にお聞きして、人事委員会に御意見を申し上    げたいと思うんですが、行政情報公開条例6条1項の疑義について、今、個人    識別情報だと、こういうふうに言っておられますが、そうすると、公務員が職    務上作成した文書に当たるという御見解だということですか。 ○委員長(坂巻) いかがですか。 ○処分者代理人(鍛治) その点、しっかりした判断、ちょっとまだ、してませんけ    どね、要するに校長がその席に出て正確を期するために録音を取ったわけです    から、やはり職務に関係するものだろうと思うんですね。あくまで純枠に個人 ------------------------------------(12)------------------------------------    的なものではないだろうと思うんですよ。と考えますけど。 ○請求人代理人(佐々木) 公務員が職務上その職務に関連して作成した録音テープ    と、こういうふうになるとするとですね、その会議に参加をしていた者にとっ    ては、録音を取られることについては全く予期していないわけです。それが、    処分を受けた竹永本人に限らず、発言した父母の実情なわけですね。     そもそも、こういう盗聴行為まがいのテープをしのぱせて入学説明会に出席    をする、こういう態度自体、大きな問題であろうと思ってます。まあ、それは    意見として、まず述ベておきます。     その上で、今日の準備書面では、処分の認定根拠について、「校長及び教頭    から事情を聴取している。」と述べておられます。それから、処分の決定が    「平成10年3月25日に開催された教育委員会会議において行われた」とい    う趣旨の記載もございます。それから、請求人がですね、あらかじめ職員会議    で合意された式次第に従って、その内容を、教職員団で合意した内容に沿って    発言をしているという主張をしているのに対して、職員会議で合意した会議次    第に従っていても本件は処分対象となるんだという趣旨のくだりもございます。     それで、本日の提出証拠との関係なんですが、まず、校長、教頭からの事情    聴取録というのは提出をされるのかどうか。これが第1点であります。     それから、処分を決定した教育委員会会議議事録、これが提出をされていな    いようだが、それも提出をされるのかどうか。     それから、第3は、合意形成に至る職員会議会議録、これを提出されるのか    どうか。     なお述べておきますと、職員会議会議録は、正式の筆記者、記録者の記載と    違う事項が、いわぱ余事記載事項の記載がされていてですね、校内で既に問題    になっておりますので、当然、提出はされなけれぱならないはずの文書ですが、    提出される場合には、正規の筆記者が記載をした部分に限定をして提出される    べきであるというふうに考えております。     職員会議会議録は、こちらで提出のできないものなんです。校外へ持ち出す    と、持ち出した者が処分をされることになりますので、当然、処分者側から提    出をしていただかなけれぱならない。     それから、我々が弁明の機会が与えられていないではないかと、こういう主    張をしたところ、学校に訪れた教育委員会の職員が、2回訪れて事情を聞こう    としたが拒否されたと、こういうふうになっておりますが、いずれも出張命令 ------------------------------------(13)------------------------------------    で行っているはずなんです。出張命令で出ていきますと、復命書を記載をして    いなけれぱならない。あるいは、復命書に代わる報告書というものが当然残さ    れているはずであるというふうに考えます。そういう意味では、復命書もしく    は復命書に代わる所沢高校での事情聴取の記録を提出されるのかどうか。     今日の提出書証の中にはそれがございませんが、その点いかがされるのか、    というのを確認しておきたいと思います。     そのうえで、今のお答えをお聞きしたうえでですね、処分者側が、人事委員    会が審理に関する規則などに基づいて処分者に対して録音テープとその反訳書    の提出を求めるのであれぱ、それに応じるというふうに言っておられるので、    それについて次いで人事委員会に意見を申し述べたいというふうに思っており    ます。 ○委員長(坂巻) 録音テープについてですが、一つには、同公開条例の6条1項の    プライバシーの保護という面で、公務に関するからプライバシーは保護されな    いんだとか、そうでないんだとか、いろいろ解釈の見解の相違はあると思いま    すが、問題は、請求人側としては、このテープというものが、一番、処分対象    事実を確定するにおいては非営に重要なものであるという認識のもとに、その    テープを速やかに出していただきたいという御意向のようですが、そこで、私    どもの委員会として協議いたしました結果、これについては、情報公開条例の    第6条1項に反しない限度において、つまり、個人のプライバシーにかかわる    不都合な点については伏せて、反訳したものを、要するに反訳するというと全    文反訳するわけですね、それをお出し願いたいということをお願いしたい。 ○処分者代理人(鍛冶) ちょっと、請求人側の御意見を聞いてください。 ○請求人代理人(佐々木) 個人の識別情報の問題はこちらもちょっと、悩むところ    なんですが、ただ、テープそのものをずっと聞いていけば、誰が発言していろ    か特定できるわけですね。     ですから、まあ、個人の名を挙げて指摘をしているような部分の個人名など    は、特に私人については配慮が必要かと思いますが、校長、教頭などの管理者    側、及ぴ参加職員、公務員については、もちろん公務の一環の中での発言です    から、これは特に配慮されなくてもよろしいんではないかというふうに考えま    す。     問題はですね、これが何時から何時までの録音テープかということにかって    くるわけです。校長の発言と、式次第に沿った竹永の発言でとまるのか、録音    テープとしては、父母の質問、及びそれに対する回答全般にわたるのか、ここ ------------------------------------(14)------------------------------------    は先生、いかがでしょうか。 ○委員長(坂巻) 処分者側にお聞きしますが、「証拠の申出についての意見」の中    に、人事委員会の要望があれぱ応じてもいいという趣旨の文言が付言されてい    ますが、どの範囲まで応じますか。 ○処分者代理人(鍛治) 人事委員会の審理規則がありますよね、それに基づいて、    証拠として、書類として提出しなさいと、そういう決定があれば、こちらとし    ては出さざるを得ませんから。従来もそういう例が幾つかあったと思うんです    けれども、全部出すということです。 ○請求人代理人(中山) 先ほどの佐々木代理人の質問とも関連するんですけれども、    原テープが、一体当日の何時から何時までの録音なのかというのは、わかるん    ですか。 ○処分者代理人(鍛治) わかると思いますよ。 ○請求人代理人(中山) 今おわかりになるんですか。 ○処分者代理人(鍛治) 今はちょっと、わかりませんけど。その録音テープを聞け    ば、わかると思いますよ。 ○請求人代理人(中山) そうするとですね、ちょっと危惧しているのは、反訳を出    すという、あるいはダビングしたものを提出するということになると、こちら    側のほうでそれが正確に、まあ6条1項について多少疑義がないわけじゃあり    ませんが、仮に6条1項に抵触する部分を除外して、本当に提出されたかどう    かについて、チェックする機会を、こちら側の代理人に与えていただかないと、    やはり具合が悪いなという気がするんですけど、いかがなんですか。そのヘん    も含めて、先ほどの人事委員会の処分者側に対する、提出されたいという御見    解を、こちらとしては受け止めているんてすけれども。 ○委員長(坂巻) 現段階で私ども考えているのは、事実関係確定に不可欠だとおっ    しゃるんですから、その範囲において、6条1項1号の点を保護した範囲で、    是非反訳したものを出していただきたいということです。その上で、もしまた    疑義があるようでしたら私どももまた検討させてもらいたいという意味です。 ○請求人代理人(桜井) 先ほどの求釈明の最後のところ、11月11日付けの準備    書面(1)の「第1」の最後のところと関係するんですけれども、一体、どの    場面でのどのような発言をとらえて処分したのかと、ここの関連でですね、や    はり、録音されたものは全部出していただきたいと思うんですよね。まだこの    求釈明についてのお答えは、まあ後ほどということであって、明確じゃないわ    けでありますので、是非全部を出していただきたいというふうに思います。 ------------------------------------(15)------------------------------------ ○委員長(坂巻) はい、それは御意見として承っておきまして、現段階においては、    私ども、先ほど申し上げたような範囲で提出を求めます。 ○請求人代理人(中山) そうすると、繰り返しになりますけど、現段階ではとにか    く、処分者側にですね、そのダビングが意識的に操作されたものではないとい    うことがなされないことを期待して、信頼してとにかく出してもらうという意    味ですか、人事委員会として。 ○委員長(坂巻) はい。 ○請求人代理人(中山) 人事委員会はとにかく、原テープを、いわぱそのインカメ    ラみたいな感じでですね、少なくとも、その中身を全部聞いてですね、それで    6条1項に該当するようなものをとにかくチェックすると、本当はこちらにも    立ち会わせていただきたいんですけど、そういう機会を1回つくったほうが、    公正かつ適正な資料だと思うんですけれども、いかがでしょう。 ○委員長(坂巻) 御意見はごもっともだと思いますが、現段階においてはそういう    反訳したものを出していただいて、そういう事実関係を確定するのに、もちろ    ん必要なんですが、その上で、請求人側で、どうも疑義があるとおっしゃるん    でしたら、それなりのまた検討をいたしたいということです。御了解願います。 ○請求人代理人(岩下) 今、プライバシー問題が出ているんですが、当日の発言の    中で、参加者が名前を名乗って発言した箇所はありません。教員以外ですね。    保護者の方で、名前を名乗って発言された方はいませんから、特定できないわ    けですね。だから、プライバシーの侵害というのは当たらないと思いますので、    全文、原テープ、あるいは原テープの写しを提出していただきたいと思います。     それと、先ほど受け取った処分者側の書面を見ますと、録音者は校長という    ふうになっていましたが、所沢高校の体育館には放送の施設があるわけです。    放送の係もいるわけですね、当日、放送の係もいました。しかし、その放送の    係に頼むんではなくて、放送室を使うんではなくて、一体どこで録音をしてい    たのか。先ほど、こちらの準備書面で、97年4月のその、カメラをポケット    にしのばせていたという校長の態度ともかかわってですね、今回の録音の方法    についても、今ここに教育局の人もいますので、明らかにしていただきたいと    思います。 ○請求人代理人(佐々木) とりあえずその、テープの反訳は、録音したすべてが出 ------------------------------------(16)------------------------------------    されると。ただし、個人識別情報との関係でどの部分をブランクにするかとい    うのは、とりあえず処分者にゆだねると、こういうことでよろしいですね。 ○委員長(坂巻) はい。 ○処分者代理人(鍛治) ちょっと意見を申し上げますけれども、それはね、こちら    でそういうことをやるとね、また請求人側で必ずね、それに対して異議が出ま    すよ。だから、無理ですよそれは。そういう考えですよ。     ただ、それは、人事委員会の判断もありますからね、こちらで人事委員会に    出しますよ、そういう命令が来れぱ出しますよと。あとはもう、人事委員会で    それを職号証として出してもらう以外ないんですよ。人事委員会の選択にまか    せますよ。 ○請求人代理人(佐々木) そうすると、とにかく反訳書は全部出ると。で、いわゆ    る個人保護条例との関係で、どこまでされるかは職権になると、こういうこと    なんですか。 ○委員長(坂巻) そういうことを要請いたしまして、出た上でまたいろいろ、請求    人側のほうで、それでよいということならそれでいいし、更にまた違う意見、    要望がありましたら、また私どもも協議いたします。 ○処分者代理人(鍛治) ただ、そういう趣旨でも結構ですけれども、人事委員会か    らですね、そういう、この規則等、審理規則等に基づいて提出しなさいという    決定だけはいただきたいと思いますが。 ○委員長(坂巻) はい。それはいたします。     よろしいですね。 ○請求人代理人(中山) すみません、委員長、証拠関係について、先ほどちょっと    佐々木代理人も話したんですけれども、録音テープというのは、あくまでも処    分対象事実にかかわる証拠資料になるんですけれども、それ以外に、教育委員    会における処分手続にかかわる、事情聴取書が、教頭、校長に対してなされた    ものがあるはずですので、それから教育委員会の議事録ですね、それから職員    会議の議事録。そういったものを……。 ○委員長(坂巻) さっき言われた、事情聴取書だとか議事録とか、職員会議録とか、    そいうものですね。 ○請求人代理人(中山) ええ、そうです。そういったものを提出される予定がある    のかどうか、ちょっと確認していただきたいんですが。 ○委員長(坂巻) そういう点について、処分者側は、改めて提出される予定があり    ますか。 ------------------------------------(17)------------------------------------ ○処分者代理人(鍛冶) 処分者側はですね、そういう予定は現在のところ持ってお    りません。あとは、人証を誰にするかという問題だけが残っているだけです。     それてこちらは事実関係は立証十分だと思っております。 ○委員長(坂巻) その点については、もしそういうことで強く要望されるようでし    たら、文書で、立証趣旨やどういう書類とどういう書類を提出願いたいという、    意見書でもいいですから、そういうものを出してくれませんか。 ○請求人代理人(佐々木) 出しますけど、一応、まず、現に存在してですね、こち    らから出せない資料について、明らかなわけですよね。それは、処分者が当然    出すべきはずなんですよ。デュープロセスが確保されたという御主張ですし、    教育委員会も審議をきちんとやられたという御主張ですしね。 ○委員長(坂巻) はい。先ほどよく聞きましたから、文書でその点をまとめて出し    てください。     次に、請求人側から提出された、12月15日付け証人申出言(一)及び    (二)は処分者側に行っておりますか。 ○処分者代理人(鍛治) さっきいただきました。 ○委員長(坂巻) 参考までに、大勢おりますけれども、取り調べの順序というか、    御意見ありましたらお願いします。 ○請求人代理人(中山) 直接に、本件の入学説明会にかかわる証人を先に調べてい    ただくということで、お決めいただいたらいいと思うんです。     最もこの中で全体について詳しいのは、(一)の上から3人のうち、これは    全部所沢高校の教諭なんですが、MKさんというのは、本件当日に関しては、    全体的に把握しております。 ○委員長(坂巻) 処分事実そのものについてですね。 ○請求人代理人(中山) そうですね。     それから、やはりなんといっても、処分者に対してですね、事故状況という    ことで報告している内田校長ですね。順序としては内田校長を、こちらとして    は先にお調べいただきたいと、こういうふうに思っておりますが。 ○委員長(坂巻) そうしますと、請求人側としては、MKさんがその事故当日の事    故現場における事実関係を明らかにするための最良証人ということですか。 ○請求人代理人(中山) ええ。しかし、証人の順序としては、この問題について当 ------------------------------------(18)------------------------------------    然、一部始終出席しておったんですから、内田校長を先にやっていただきたい    のがこちらの要望です。     ただし、内田校長の場合は、それ以外の、着任後のですね、約、本件までの    1年間のあいだの所沢高校における、彼の、校長として、やってきた行為につ    いても尋問いたそうと思いますので……。 ○委員長(坂巻) 処分対象事実だけについて、もちろんその内田校長を除いた証人    としては、MKさんだけですか。 ○請求人代理人(中山) それ以外にですね、(一)の下から3人、SMさん、TD    さん、THさん、すべて、入学式説明会当日に出席した人たちですので……。 ○委員長(坂巻) これは保護者の立場でということですね。 ○請求人代理人(中山) そうです。保護者として、新1学年の父兄として、入学説    明会の当日出席していた3人です。 ○委員長(坂巻) はい。     だいたい、尋問時間というのはどのぐらいを予定していますか。 ○請求人代理人(中山) 内田達雄校長に関しては3時間、MKさんに関しては60    分程度。SMさん、TDさん、THさんに関しましてはですね、必ずしも全員    ということではなくて、場合によれば一人か二人……。 ○委員長(坂巻) もっと時間は少ないわけですね。 ○請求人代理人(中山) そうですね、やっぱり、でも、一人に絞るとなれぱ60分    ぐらいいただきたいと思います。     SMさんに関して言いますと、それ以外の部分もかかわってきますので、つ    まり、新1年生の保護者であると同時に卒業した兄弟の保護者でもあって、か    なり長いこと所沢高校にお世話になった保護者でもあり、そういう人もおりま    すので、場合によると、その場合には……。 ○委員長(坂巻) 進行についてですけれども、今日、この証人申出書は渡したぱか    りで、お互いに、まだ準備期聞というか、そういうのも少ないようなんで、そ    うすると、主張がそれぞれ出尽くしたということでしょうか。 ○請求人代理人(中山) こちらはですね、はっきり言って主張を出し尽くしていま    す。ただ、そちらのことはですね、基本的に反論すべきものは反論しますけれ    ども、主張としては出し尽くしていますので、できれぱ次回にでも証人尋問が    できればと思いますが。 ------------------------------------(19)------------------------------------ ○委員長(坂巻) 処分者側の御意見はどうですか。 ○処分者代理人(鍛冶) 今日、この証人申出書をいただいたんですけれども、こち    らもですね、これを前提にして適当な証人を申し出たいと考えております。     ですから、こちらの証人の申出は、ちょっと検討させていただきたいんです    が。 ○委員長(坂巻) 請求人側の方では、次回に証人調べをという希望ですが、処分者    側は、それに対する御意見はありますか。 ○処分者代理人(鐙治) いや、特にございませんけれども、できれぱ、請求人側の    証人というんでしょうか、MKさん以下でしょうか、それを最初に調べていた    だきたいと、そう思っています。 ○委員長(坂巻) 次回に証拠調べでも、しかるぺくですか。 ○処分者代理人(鍛冶) ええ、それは構いませんけど。 ○委員長(坂巻) それでは、そういうことで、大変恐縮ですけど、証拠決定のため    に、今これから少し休憩時間とします。 ○請求人代理人(中山) なお、その休憩の際に、合議に資する意味でちょっと1点    だけ補足させていただきます。     今の御意向であれぱ、次回、一応2時間とっておるとすれぱ、60分60分    で、もし校長外の、この(一)に書かれてある6名のうち二人ということであ    れぱ、60分60分、それぞれ、上3人の高校教諭側のうちの3人のうち一人、    それから、それ以外の、その下の3人のうちの一人という感じで、保護者と教    員と……。 ○委員長(坂巻) よく私どもわからないから、さっきMKさんというのか出ました    ね、3人の中で。あと、そのあとSMさん以下、お3方の方でもし一人という    ことでしたら、どなたがよろしいんですか。 ○請求人代理人(中山) すみません、そのSM、TD、TH、3名のうちであれぱ、    二人で各30分ぐらいずつということで。 ○委員長(坂巻) そうですか。そうすると、どなたとどなたですか。 ○請求人代理人(中山) SMさんプラス、TDさんもしくはTHさんどちらか。 ○委員長(坂巻) それはどちらでもいいということですね。わかりました。     それでは、20分ほど時間をいただいて、その間に協議させていただきます    ので、暫時休憩にします。 ------------------------------------(20)------------------------------------ 午後3時51分休憩 午後4時09分再開 ○委員長(坂巻) お待たせいたしました。再開いたします。     それでは、人事委員会で協議した結果、申し上げます。     証人として申請されている方のうち、MKさん、SMさん、TDさんのお3    方を採用いたします。     そのほかは、留保ということにしいます。     なお、時間は、MKさんが60分、そのほかの方は各30分ずつ、主尋問と    いうことで、時間は厳守してください。     お尋ねしますが、処分者側のほうは、この証人に対する反対尋問はどういた    しますか。 ○処分者代理人(鍛治) 何ていうんでしようかね、請求人側から質問があって、そ    の証言を検討しないとですね、反対尋問はできないだろうと思うんですね。あ    るいは、そうとう細かい尋問事項言を出していただけれぱよろしいんですけれ    ども、そういうのはちょっと無理だろうと思うんですね、反対尋問をすぐ行う    ということは。 ○委員長(坂巻) そうすると、次々回にしますか。 ○処分者代理人(鍛冶) 次々回に予定したいと思います。 ○委員長(坂巻) そうですか。     この次は、1月20日午後2時30分からということですから、4時30分    までということですね。     何かありますか。 ○請求人代理人(中山) ええ。ちょっと二つほど。     SMさん、MKさんについてはよろしいんですが、TDさんに関しましては    ですね、THさんと、場合によったら交代してですね、こちらのほうで事前に、    替えていただきたいということをお願いして、期日外にですね、変更というこ    とを……ちょっとそこは、採用としては、本日の採用決定としてはTDさんで    結構ですけれども。 ○委員長(坂巻) それは、理由はどういうことですか。 ○請求人代理人(中山) 事前にですね、次回の期日のお二人の都合を間いてないん    ですが。 ○委員長(坂巻) 私どもは、パートだから大変なんじゃないかと思いましてね、配 ------------------------------------(21)------------------------------------    慮したつもりなんですが。 ○請求人代理人(中山) ええ。それもあるんですけれども、一応、聞いたうえでで    すね、最終的に、よろしければ、それは早急にお返事いたします。 ○委員長(坂巻) 処分者側、そういうことでよろしいですか。 ○処分者代理人(鍛治) 結構です。 ○委員長(坂巻) 一応、と言っては語弊がありますが、TDさんを決定しておきま    すが、TDさんの都合が差し支える場合は差し替えてTHさんという、そうい    う含みを持たせた決定にしてもらいたいと、こういうことですか。 ○請求人代理人(中山) はい。 ○委員長(坂巻) それでは、この(一)の順番でいきますと、上から3人目の後続    けて3人を決定しておいてほしいということですね。 ○請求人代理人(中山) はい。それが1点で、もう1点なんですけど。 先ほど、反対尋問に関してなんですが、こちらのほうで尋問事項を早急にですね、詳    細なものを提出したいとは思っているんですけど、それとの兼ね合いで、次回    に反対尋問をですね、2時間、実質2時間以上多分あると思うんですが、反対    尋問できませんかね。こちらのほうとしては、できるだけ、どういうこと聞く    かをですね……だいたい想像つく、鍛治先生だからついているはずなんですけ    ど、まあそれはいいですが、反対尋問やれるんじゃないかと思うんですが、ど    うでしょうか。 ○委員長(坂巻) ですから、今言われた、尋問事項書を詳しく事前に出していただ    いた上で、可能な範囲で検討してください。反対尋問できるようでしたら。 ○請求人代理人(佐々木) で、併せてなんですが、反択書については、いつまでに    人事委員会へ提出をしていただけますでしょうか。     もう先生、反訳書はあるんでしょう。 ○処分者代理人(鍛治) ここで確認されたってちょっと困ります。わかりません。    まだできてないんじゃないですか。 ○請求人代理人(佐々木) だったら、今日約束していただきたいんですが、もちろ    ん事実経過について証言するわけですから、事前に反訳書を入手して、こちら    の記憶と照らし合わせて正確なものにしなければいけないので、検討時間を含    めて反訳書は確保していただきたい、早期に提出いただきたいと。その期日を、    可能な限り今日明らかにしていただきたい。 ------------------------------------(22)------------------------------------     それから、人事委員会、先ほどの御意見に従いますけれども、本来、録音テ    ープを証拠と指定する場合にはですね、テープそのものは人事委員会で確保し    ていただきたい。そのダビングについても人事委員会がしていただけれぱ、こ    ちらで反訳の正確性、それから二ュアンスその他についての検証をあらかじめ    しておきますので、その点も格別の御配慮をいただきたい。     それから併せて、繰り返しになりますが、さっき私どもで主張した、処分手    続について不可欠な書証類については、早急に特定をいたしますので、人事委    員会で御判断いただいて提出を促していただきたい。 ○委員長(坂巻) はい、御意見として承ります。 ○請求人代理人(中山) ただ、反訳書をですね、いつ出すのか、これは少なくとも    次回の前にですね、こちらの準備に間に合うように出していただかないことに    はちょっと、具合が悪いんで、そこはもうはっきり、この場で、いつ出すか、    あるいはいつまでにということをですね、それは言っていただけますか。 ○委員長(坂巻) 1月20日に証人調べをするということから逆算して、その準備    にも、事実関係の確定のために必要だということになりますと、休みが多くな    り、大変だと思いますけれども、やっぱり1月10日過ぎごろですか。 ○請求人代理人(佐々木) できれぱ年内にしてください、それは。別に、操作する    必要ないわけですよね。すぐ出せるはずです。 ○処分者代理人(錆治) とにかく、人事委員会の書面をもらってから私のほうで検    討いたしますから。あと、いついつまでに出せということも人事委員会におま    かせします。 ○委員長(坂巻) 人事委員会のほうは事務的な書類ですから、今日、実質的にはお    願いしてありますから、作業には、是非速やかにかかっていただくということ    を切にお願いして、希望としては、できるなら年内にでもお出しいただくよう    な方向で努カしていただきたいということでお願いします。     こちらから出す文言は、形式的ですけれども、速やかにお出しするようにし    ます。     そういうことで、円滑に審理が進むように、特に次回は証拠調ぺですので、    事実関係を確定して争点をはっきりしておかないと、証拠調べについてもスム    ーズにいかないと思いますので、是非、両当事者とも、その点については特段    の御協カを願います。     それでは、今日のところは、予定したところはすべて終わりましたので、次    回は平成11年1月20日水曜日、午後2時30分から、先ほどの3名の方の    証人尋問ということで、進行させていただきます。 ------------------------------------(23)------------------------------------ (日程調整) ○委員長(坂巻) それでは、平成11年4月6目、午後1時半ごろから審理を行い    ます。     これをもちまして終わります。どうも御苦労様でした。 午後4時44分閉会            調書作成事務職員 湯本 佳代子(印)        委員長 坂巻 幸次(印)        委 員 森田 益弘(印)        委 員 渡邉 圭一(印) -----------------------------------------------------------------------(end)
(Web管理者記)
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