学習資料

LHR用

発行日 1998年10月15日(木)

生徒総会前に。                         10月15日(木)

「『日の丸・君が代』に関する決議文」を知ろう!! LHR。
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   11月5日に、所高の重大行事、生徒総会が開かれます。そしてそこでは、
  1989年以来毎年「『日の丸・君が代』に関する決議文」に基づいた活動が
  承認されてきました。

   *勉強会の目的*
     ○「『日の丸・君が代』に関する決議文」を知ってもらう。
     ○強制に反対している、ということをわかってもらう。

 このLHRは、これからの所高にとって、そして皆さんにとってとても大切なもの
になると思います。上の目的を忘れずに1人1人が自分自身の意見を持てる充実した
1時間にしましょう。


    ┌────────────────────┐
    │日の丸・君が代の強制に関する所高の歩み。│
    └────────────────────┘

○1989年 学習指導要領改定 ──────→ それまでは“卒業式などの儀式
                どんなふうに? で日の君を行うのが望ましい”
                        とされていたのが、“行うよう
                        指導するものとする”となった。
       つまり、今までは各校の判断に
       任されていたのに ──────→ 日の君が半ば強制的に行われる
                        おそれが!!
                        「こりゃいかん!」と思った
                        先パイ達は
○1990年 2月22日 臨時生徒総会
       「『日の丸・君が代』に関する決議文」を承認
     ↑
     | この間。
     | 校長先生などが日の君をやると言い出すが、決議文や
     | 話し合いのおかげで実行はされなかった。が!
     ↓

○1997年 4月9日 入学式
       生徒の意志に反して、日の丸・君が代が行われる

       ⇒ その後、決議文の勉強会を開いたり、校長先生との話し合いを
         何度も行いました。そして、生徒総会で、式に代わる新しい卒
         業・入学行事を行うことが承認されました。

○1998年 3月9日 卒業記念祭、卒業式 ─┐
       4月9日 入学を祝う会、入学式 ┘校長先生との話し合いの決着が
                        つかないまま、生徒総会の決定
                        をくつがえし、卒業式・入学式
                        が行われる。そして、その式の
                        中には日の丸・君が代が行われ
                        ました。

┌────────────────────────────────────┐
│                                    │
│          『日の丸・君が代』に関する決議文          │
│                                    │
│          ―高等学校学習指導要領の改定にあたって       │
│                                    │
│ 『日の丸・君が代』について、現在国政・県政においての解釈は様々であり、│
│法律上でも国旗・国歌として定められていません。又その点についての私達所高│
│生一人一人の中での解釈も賛成・反対その他様々です。このような状況の中で、│
│教育行政機関が『日の丸』の掲揚や『君が代』の斉唱を強要するということは、│
│私達一人一人の意志を全く無視した行為であり、又教育基本法第10条(思想及│
│び良心の自由は、これを侵してはならない)をも明らかに侵しています。これは│
│人格を形づくる時期にある高校生活の場において、思想の統制・画一化につなが│
│る恐れが多分にあると考えます。                     │
│ よって私達所高生徒会は、この度高等学校学習指導要領を改定した文部省の行│
│為に非常に大きな不満を感じるということをここに確認すると共に、今後我校内│
│での儀式その他における『日の丸』掲揚及び『君が代』斉唱の強制に、一切反対│
│します。                                │
│              1989年度 所沢高校生徒会長  泉谷 衆 │
│              1989年12月27日 所沢高校生徒会本部 │
│              1990年 2月14日  同  HR委員会 │
│              1990年 2月22日  同   生徒総会 │
│                                    │
└────────────────────────────────────┘

┌── 要約してみると ─────────────────────────┐
│日の丸君が代についての所高生の一人一人の考えや意見は様々です。それなのに│
│その様々な考えや意見の統制・画一化につながることをするのはおかしいし、思│
│想・信条の自由を侵すことにもなります。そこで、一人一人の思想・信条を守る│
│ために、                                │
│    強制に反対します。                       │
└────────────────────────────────────┘

 そして、「日の君」に関する考え・解釈は1人1人違います。
 例えば、
●「戦争中、日の君が使われた為、行わない方がいい。」
●「戦争中、日の君が使われた為、戦争の教訓を忘れない為にも行うべき。」
●「自分の国の国旗・国歌について知ることは、これから世界に出ていく日本人とし
 て当然のマナーだから学校という教育の場で教えていくのは大切。」
●「子供たちは色々な考えを持っている。だから1つの考えを押しつけ、強制するこ
 とはまちがっている。」


「強制」の何が問題か

 自由な思想や信条を1人1人が持つことは、憲法、子どもの権利条約、生徒会権利
章典で保障されています。つまり、自由に思想や信条を持つことは権利です。そのた
め、一つの思想を強制することは私達の権利を侵すことであると考えられます。
 私達所高生の生活は、権利章典を始めとし、権利を保障することで成り立っていま
す。その私達の権利を強制するということで侵すということは、私達の生活をくつが
えすことになるのです。


結局、本部は何をいいたいの?

 私たちは「日の丸・君が代」の強制に反対します。
 決して、「日の丸・君が代」自体に反対しているわけではありません。
 「日の丸・君が代」にかぎらず、私たちが何を思い、考えるかは自由です。そして、
その自由や所高で自由でいられることは、当然なことです。そして、それは私達の権
利です。
 さらに、この権利は憲法や子どもの権利条約、権利章典でも保障されています。
 日の丸掲揚、君が代斉唱を強制することは、私たちが意見や考えを持つ自由を押さ
えつけることにつながります。
 1人1人の権利を主張し守っていくためにも、「日の丸・君が代」の強制に反対し
ます。
 1人1人が自分の考えで判断し、決議文を承認するつもりかどうか決めて下さい。

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│*資料*今回のLHRで必要なものを抜粋しました。│
└────────────────────────┘


上位法優先の原則

〈上位に在る「法」が優先される〉

上↑ 憲法・・・最上法位
 |
 | 条約・・・子どもの権利条約、国際人権規約、女性差別撤廃条約
 |
 | 法律・・・教育基本法
 |      学校教育法、社会教育法、教科用図書検定法・・・・etc.
 |                          (国会が定める)
 | 政令・・・学校教育施行法・・・etc.(内閣が決める)
 |
 | 省令・・・学校教育法施行規則・・・etc.(省が出す)
 |
 | 通知・
 |    > 学習指導要領・・・etc.
 | 告知・



憲法19条
 ―思想及び良心の自由―

憲法19条:思想及び良心の自由
      思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。



子どもの権利条約
                   89年11月20日第44回国連総会採択
                   日本は94年4月22日批准
12条:意見を表明する権利
   1:締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼ
     すすべての事項について自由に意見を表明する権利を確保する。
   2:このために、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政
     上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代
     理人若しくは適当な団体を通じて聴取される権利を持つ。
14条:思想、良心、宗教の自由
   1:締約国は、思想、良心及び宗教の自由についての児童の権利を尊重する。
   2:締約国は、児童が1の権利を行使するに当たり、父母及び場合により法定
     保護者が児童に対しその発達しつつある能力に適合する方法で指示を与え
     る権利及び義務を尊重する。
   3:宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共
     の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及
     び自由を保障するために必要なもののみを課することができる。



教育基本法第10条

教育基本法第10条
         教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接責任を
         負って行われるべきものである。



学習指導要領 (日の丸・君が代に関する部分のみ)
            1989年改定
第3章 特別活動
 第2 内容
   D 学校行事
     学校行事においては、全校若しくは学年又はそれらに準ずる集団を単位と
    して、学校生活に秩序と変化を与え、集団への所属感を深め、学校生活の充
    実と発展に資する体験的な活動を行うこと。
   (1)儀式的行事
      学校生活に有意義な変化や折り目を付け、厳粛で清新な気分を味わい、
      新しい生活の展開への動機付けとなるような活動を行うこと。

 第3 指導計画の作成と内容の取扱い
   2 内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
   (4)内容のDについては、学校や地域及び生徒の実態に応じて、各種類ごと
     に、行事及びその内容を精選して実施すること。
   3 入学式や卒業式などにおいて
     入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとと
    もに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。



生徒会権利章典

     生徒会権利章典
〈前文〉
 人間は、人間らしく自由に生きる権利を生まれながらに持っている。
 自由な高校生活を送ることは、所高生の普遍的な願いである。そのために必要な
様々な権利がある。過去、所高生は数多くの努力を重ね、自由を手にしてきた。又、
その過程でいくつかの権利が保障され、その中には生徒と職員との信頼関係により
得たものがある。それら、手にしてきた自由を持ち続けるために私たちは自治を確
立する必要がある。自治が崩れるということはそれらの権利を失うということであ
る。自治が崩れる危険がある場合、できる限りの努力をし、それを防がなければな
らない。
 ここで「生徒会権利章典」を制定し、自由という権利の価値・意味の認識をす
る。

1.学校は生徒と教職員によって構成されており、その構成員一人一人の個性は認
  められ一人一人の主張は尊重される。
2.生活向上のための自治的かつ民主的な活動の自由は保障される。
3.服装、頭髪を含む表現の自由は保障される。
4.思想の自由は保障される。

 これらの自由は、他人の権利を侵さない範囲において有効であり、又常に責任を
伴うものであることを忘れてはならない。ただし、思想の自由は他人の権利を侵害
し得ないものであるから、いかなる場合においても保障されるものである。

                     1990年11月22日 生徒総会

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第4章 指導計画の作成と内容の取扱い

第3節 入学式や卒業式などにおける国旗及び国歌の取扱い

 入学式や卒業式などにおける国旗及び国歌の取扱いについては、「特別活動」第3
の3に次のように示している。
 ┌──────────────────────────────────┐
 │3 入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚すると│
 │ ともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。          │
 └──────────────────────────────────┘
 日本人としての自覚を養い、国を愛する心を育てるとともに、生徒が将来、国際
社会において尊敬され、信頼される日本人として成長していくためには、国旗及び
国歌に対して正しい認識をもたせ、それらを尊重する態度を育てることは重要なこ
とである。
 学校において行われる行事には、様々なものがあるが、この中で、入学式や卒業
式は、学校生活に有意義な変化や折り目を付け、厳粛かつ清新な雰囲気の中で、新
しい生活の展開への動機付けを行い、学校、社会、国家など集団への所属感を深め
る上でよい機会となるものである。このような意義を踏まえ、入学式や卒業式にお
いては、「国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するものとする」こととしている。
 入学式や卒業式のほかに、全校の生徒及び教職員が一堂に会して行う行事として
は、始業式、終業式、運動会、開校記念日に関する儀式などがあるが、これらの行
事のねらいや実施方法は学校により様々である。したがって、どのような行事に国
旗の掲揚、国歌の斉唱指導を行うかについては、各学校がその実施する行事の意義
を踏まえて判断するのが適当である。
 なお、入学式や卒業式などにおける国旗及び国歌の指導に当たっては、国旗及び
国歌に対する正しい認識をもたせ、それらを尊重する態度を育てることが大切であ
る。

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