第1回口頭審理
意見陳述書
請求人 竹永公一
1998年10月6日(火)
意見陳述書
第1回人事委員会公開口頭審理
1998.10.6
所沢高校 竹永 公一
意見陳述骨子
(1) はじめに
(2) 卒業記念祭の状況
(3) 新一年学年会の状況・・・(含む代表の位置づけ)
(4) 説明会における内田校長発言の内容
(5) 説明会における一学年代表としての竹永発言の内容
(6) 管理主事の行動とそれに対する竹永の行動・発言
(7) 総括意見
(1) はじめに
私は今回の申立人の竹永です。
はじめに、3月18日の入学許可候補者説明会での私の発言内容は決して処分
の対象になるようなことではありません。所沢高校の教員として、半年にわたる
生徒の動き、職員会議での決定と校長の考えを述べたもので、新入生や保護者に
当然伝えなければならない事柄です。この処分は、あまりに不当なものです。
以下何点かにわたり意見を述べたいと思います。
(2) 卒業記念祭の状況
最初に卒業記念祭の概要について述べます。
所沢高校では、伝統的に生徒の意見を大切に考え、教職員の意向を一方的に押
しつけるのではなく、生徒自治を育てていこうという教職員側の指導体制があり
ます。それが『自主・自立』の校風を育んできたと考えられます。
3月9日は、生徒主催の卒業記念祭と校長主催の卒業式が行われた日です。卒
業記念祭は、卒業生はもちろん、在校生、保護者、そして教職員に深い感動を与
えました。
卒業記念祭は、昨年度の入学式の混乱を再び繰り返さないために、生徒の民主
的な心暖まる取組の集大成といえます。生徒主催の卒業行事を白紙の状態から作
り上げることは、生徒にとっても教職員にとっても想像を絶する大変さがありま
した。生徒達はクラスでの話し合いを繰り返し生徒総会で全校の意向を確認しな
がら、丁寧に計画を作り上げていきました。生徒総会での決定は『卒業式に代わ
る卒業記念祭』『入学式に代わる入学を祝う会』を生徒主催で行うというもので
す。また、生徒たちは校長との話し合いも最後まで続け混乱のない、卒業生を暖
かく送り出せる卒業行事を目指していきました。教職員としても、そのような生
徒の活動を職員会議で確認しながら指導、援助してきました。PTAも、手続を
踏んだ生徒の活動を最大限に応援してきました。
私は、卒業記念祭の教職員側総務の代表をしていましたので、このような生徒
の活動も教職員の動きもPTAの援助も身をもって接することができました。
卒業記念祭の様子は、各種報道関係の注目を集め、卒業記念祭終了後も入学を
祝う会への関心とともに、新聞・テレビ・ラジオ・週刊誌と様々と続きました。
このような報道に接し、新入生やその保護者は当然入学の日の不安を感じていた
と思います。
(3) 新一年学年会の状況と説明会実施計画
次に、新一学年の状況と入学許可候補者説明会(以下説明会)について述べた
いと思います。
所沢高校では、各学年所属の教員は担任10名、副担任5名、合計15名で構
成されています。学年内で協議し代表を決めています。代表の仕事は学年を代表
することが必要であるような場合に学年会議での協議のうえ連絡・報告等を行う
ことです。校内の仕事でも大部分は学年内の係の教員が直接行います。対外的な
事柄でも係の教員が行うことが原則です。学年代表は個人の考えで学年団に指示
を出すようなことはできませんし、個人の意見で学年を代表するような見解を表
明することもできません。
新一学年団での協議の結果、私が代表を務めることになりました。
説明会の概要は、例年にならって新一学年から(3月5日の)職員会議に提案
をしています。説明会の次第は、管理職による挨拶と各係からの説明となってい
ます。各係からの説明は、教務・生活指導・進路指導・保健・各教科・事務・後
援会・新一学年・生徒会・PTAの順で最後に質疑応答となっています。それぞ
れ担当の教職員が説明に立つことになります。学年の関係では、新一学年の代表
の私が説明し、生徒会では入学を祝う会の生徒側総務を担当している四者会議の
生徒が説明し、PTAの説明ではPTA会長が説明することになりました。
説明会で新一学年として何を伝えるかについても学年会で協議しました。先程
述べましたように、卒業記念祭での各種の報道もあるので、その経過については
正しく伝え、また、入学を祝う会の取り組みについても現状を素直に伝えること
がもっとも教育的であろうということでまとまり、それを代表である私が話すこ
とになりました。そして、内田校長は入学式を強行するといっているので、その
ことについてもきちんと伝えしかも4月9日に不安がないように説明することに
なりました。
私たち新一学年の教員団としては、新入生に不安や混乱を与えたくないという
点を大切に考えていました。また、事前に新一学年の教員団と四者会議の生徒と
の合同会議を持ち、それぞれ説明する内容を確認しました。
4月9日当日の日程については、校長との意見調整がすんでいない時点では登
校時間のみを伝えることになりました。
(4) 説明会における内田校長発言の内容
次に、説明会での校長と私の発言内容について述べます。
説明会の冒頭で挨拶に立った内田校長は、時候の挨拶もそこそこに新入生やそ
の保護者に対する歓迎の言葉もないまま、入学式で入学を許可することのみを強
調し、他のことは一切ふれませんでした。
学校の責任者としてこの説明会で伝えなければならないことは、卒業記念祭や
入学を祝う会に関して多くの報道があり、不安な気持ちを抱いているであろう新
入生とその保護者に対して、なぜそのようなことになったのかという事実経過の
報告が当然なされるべきでありました。そのことに全くふれず、いたずらに新入
生や保護者の不安を助長するような内田校長の振る舞いに対して、同じ学校に勤
めるものとして恥ずかしさと怒りを禁じ得ませんでした。
(5) 説明会における一学年代表としての竹永発言の内容
次に、説明会での私の発言は、申立書にもありますが、次の6点でした。
1. 在校生・教職員とも新入生を歓迎する旨の挨拶。
2. 自主・自立の校風と入学後の主体的高校生活を期待する旨の事柄。
3. 卒業記念祭の経過報告。
4. 現時点における入学を祝う会の取り組みの報告。
5. 現時点における内田校長の考え。
6. 内田校長と話し合いを継続し、4月9日に混乱の無いよう最大限努力する
という教職員及び新一学年団の意思表明。
なにより、所沢高校の自主・自立の校風に則った生徒の取り組みを正しく理解
していただくことと、4月9日へ向けての不安を払拭することを一番大切な事柄
と考えていました。このような趣旨の発言が、なぜ処分を受けなければならない
のでしょうか。全く不当な処分です。
(6) 管理主事の行動とそれに対する竹永の行動・発言
次に、3月20日と23日に教育局より管理主事2名が来校した状況について
述べます。
20日の日に、私は校長室に来るようにとの職務命令を受けました。心配した
同僚の教員2名が付き添ってくれました。またその状況を伝え聞いた教職員が続々
と校長室に集まってきました。管理主事は、自らも名乗ることなく、来校の目的
も述べないというまことに失礼な態度でした。私以外の教職員からも、その点に
ついての発言が相次ぎ、2時間ほどそのような状態が続き、この日は帰っていき
ました。23日にも再び来校し、同じ様なことが繰り返されました。管理主事来
校の目的は、18日の説明会についてのことだと判明しましたが、私は、何でも
聞いてくださいと言ったにもかかわらず、両日をとおして何も聞かずに帰ってい
きました。
説明会の状況を正確に確認したいのであれば、私以外にも参加していた教職員
やPTAの役員の方々そして新入生の保護者などにも様子は聞けたはずです。そ
れを行わず、校長の一方的な事故報告書のみで決定しているのは、不当きわまり
ないことです。。
(7) 総括意見
以上何点かについて述べてきましたが、今回の処分が不当な点についてまとめ
たいと思います。
・ 説明会での発言内容は、卒業記念祭からの一連の生徒の動き、教職員の意向、
校長の考えを述べたにすぎません。もちろん、入学式に反対しているというよ
うなことは、話していません。
処分事由の内容は、事実を曲解しており不当です。
・ 説明会には、私や内田校長のほかにも、他の教職員、新一年生のほとんどの
保護者、PTAの役員の方々等、多くの方が参加していました。私を含めその
方々からの状況説明の機会を作らず、校長よりの事故報告のみで処分を決定し
たことは極めて不当です。
・ 教育委員会内の処理についても、短期間に極めて杜撰な審議決定が情報公開
資料によっても明らかになっています。手続的にも公正さを欠く不当処分です。
最後に人事委員のみなさんに申し上げます。以上の述べましたように様々な点
から、今回の処分は不当きわまりないものです。この処分が、生徒の自治意識を
萎縮させ、教職員の民主的な教育活動を阻害する要素を持っていることと合わせ
考えるとき、一日も早い処分撤回の裁定を望みます。
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