準備書面
1998年10月6日(火)
準備書面
請求人 竹 永 公 一
処分者 埼玉県教育委員会
上記請求人に係る平成10年(不)第3号不利益処分審査請求事案につき、請求人
の平成10年8月17日付け求釈明書に対し、処分者は別記のとおり準備する。
平成10年10月6日
上記処分者主任代理人 鍛冶 勉
埼玉県人事委員会
委員長 坂巻 幸次 様
別記
1 請求人の求釈明第1事実関係について
処分者の答弁書3請求人の主張に対する答弁に記載したとおりである。否認若し
くは争うということになる。処分者が本件懲戒処分の対象とした請求人の所為は答
弁書に記載したとおりである。
なお、請求人は「処分に対する不服の理由」の中で、所沢高校では、生徒の自主
性を尊重し、生徒が学校行事にも主体的に取り組み、学校行事等の学校の運営につ
いても計画、立案し、それを教員が尊重し、協力して実践することになっているも
のであると主張し、本件において、生徒が卒業式、入学式に代えて、「卒業記念祭」、
「入学を祝う会」を立案、企画したので教員はそれに協力し、参画していくことを
決めたものであるとし、そのことから請求人が、本件における行為を取ったとして
も、このことは何等違法不当なことにはならないと主張しているものと思われる。
高校生の公立学校における教育においても憲法の規定により、すべての生徒にそ
の学習権を保障するために、国は学校教育制度を確立しているものである。そして、
具体的に学校教育法、その施行規則、それに基づく学習指導要領を制定し、これら
によって、その学習権を保障しているものである。
これらの規定により、高等学校においても学校における儀式的行事は行われるも
のとなっており、その儀式的行事の1つである卒業式、入学式の具体的な内容は、
学校に置かれた職員会議の議を経ながらも校長が決定できることになっているもの
である。
生徒の学校における自主性の尊重ということも、この具体的な教育制度の中にお
けるものであり、これに反することになることを実行することは、生徒が計画し、
立案したことを教員が尊重するということであっても、認められないものである。
本件においては、生徒が企画し、教員が協力するという「入学を祝う会」を「入
学式」が終了した後行うことについては校長も認めていたものであり、校長が生徒
の高等学校という場における自主性というものを否定していたものではないのであ
る。このことを請求人はよく考えるべきである。
2 請求人の求釈明第2本件処分の対象となる請求人の行為は何かについて
(1)同求釈明の1について
事故報告書はある。その他のものもあるが提出の予定はない。証人の申出はす
る予定である。
なお、本件の審査請求は請求人の独自の主義主張、見解に基づくものであり、
それが認められないとする証拠を提出する責任は処分者にはないものと考える。
(2)同求釈明の2について
そのとおりである。(答弁書に記載したとおりである。)
3 請求人の求釈明第3本件処分の対象となる請求人の行為が本件処分対象事実に限
定されるとして、さらに以下について釈明を求めるということについて
(1)同1の(1)について
文言どおり解釈していただきたい。要するという意味ではなく、そのような発
言をすることについて了解を得なかったということである。校長がそのような発
言を了解するかどうかは別の問題である。
(2)同1の(2)について
そのとおりである。校長はそのような発言をすることを了解していない。
(3)同1の(3)について
校長の説明したことに反する発言を行ったことが問題である。
(4)同1の(4)について
入学式を行うことは校長の権限である。法的根拠は、学校教育法第28条、第
43条、第51条及び第106条、学校教育法施行規則第57条の2並びに高等
学校学習指導要領である。
(5)同2の(1)について
全部を指すものである。
(6)同2の(2)について
文言どおり解釈していただきたい。請求人の言ったことが校長の言ったことに
反したものである。
(7)同3の(1)について
文言どおり解釈していただきたい。本件処分対象事実を指すものである。
(8)同3の(2)について
校長は、教育活動を行う組織としての学校を管理し、運営する最終責任者であ
る。その校長が説明したことについて、その学校という組織の一員である教員が、
その校長の説明したことに反することを言えば、市民、生徒、保護者のその学校
における教育に対する信用を傷つけ、その信頼を失うことになることは明かであ
る。
(9)同3の(3)について
本件においては、請求人には「正当な理由」がないものである。だから処分者
は、本件処分を行ったものである。
以上
(Web管理者記)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
98年10月6日の第1回公開口頭審理当日に県教委側から提出されたもので、
8月17日に請求人側から提出された「求釈明」に対する「釈明」です。
8月17日の「求釈明」「第2 本件処分の対象となる請求人の行為は何か。」
の「1(1)(2)」は次のものです。
(1) 上記事実を認定した根拠は事故報告書と推定されるが、事故報告書以外にも
資料があるのか。
(2) あるとすれば、どのようなものがあるのか。仮に、起案書、復命書、録音テー
プ、メモ等、事実関係を明らかにし、本件判断の認定資料としたものがあるの
であれば、第1回口頭審理期日までに、事故報告書も含め教育委員会提出資料
の全てを提出されたい。
この求釈明に対する10月6日の釈明が次のものです。
(1)同求釈明の1について
事故報告書はある。その他のものもあるが提出の予定はない。証人の申出はす
る予定である。
なお、本件の審査請求は請求人の独自の主義主張、見解に基づくものであり、
それが認められないとする証拠を提出する責任は処分者にはないものと考える。
県教委側は、この釈明(準備書面)でこの日は終わるつもりだったのかも知れま
せん。請求人側の「その他のものというのは何か」という質問に対し、「提出の
予定はない」「提出する責任はない」と何度も答えておりました。
しかし、請求人側が「審理を促進させるためにも」ここで答えるように要求し、
「そのための公開口頭審理ではないのか」と追求していくうちに、「録音テープ
はある」という回答がでました。
そこで、請求人側がそれでは録音テープを聞けば、3月18日の発言内容につ
いては、事実が明らかになるので証拠として提出するように要求しましたが、県
教委側は「出す予定はない」としました。
ここで何度かやり取りがありましたが、録音テープを証拠として提出するとい
うことにはなりませんでした。しかし、人事委員会の委員長より提出するように
という要望が県教委側になされました。従って、次回の公開口頭審理では提出さ
れるものと思われます。
『それ(戒告処分)が認められないとする証拠を提出する責任は処分者にはな
い』ということで、録音テープを提出しないということなんでしょうか。
この録音テープが「それ(戒告処分)が認められないとする証拠」か否かはも
ちろんのこと、だれが録音していたかにも関心がわきます。
それというのも、請求人側が録音テープはないかとさんざん探し回っていたの
ですが見つからなかったので、誰がどんな理由で録音したのか知りたいものです。
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