人権だより

子どもの権利条約について 1

発行日 1998年10月 日

発行 人権教育係


人権だより
子どもの権利条約について 1                               98・10月 人権係  すべての人はいかなる差別を受けることなく、平等の権利と自由を有する――この ことを明らかにしたのが、1948年の「世界人権宣言」、そして1966年の「国 際人権規約」でした。日本では、1946年「日本国憲法」で基本的人権の享有を明 言しています。このように、すべての人に基本的人権が与えられたにもかかわらず、 たとえば「女・子ども」という言葉が端的に表すように、女性や子どもは基本的人権 の主体とはみなされない事実が続いており、それゆえに国連は、1979年に「女子 差別撤廃条約」を採択し、1989年11月には「子どもの権利条約」を採択して、 すべての人々に人権があることを確認したのです。つまり、それまでは、子ども= 「保護の対象」にすぎなかったのですが、以後「権利の主体」と見なされるようにな りました。  1990年から、各国は次々に批准(=条約を国家として認め、最終的に確定する こと)を開始しました。1番目にガーナ・2番目にベトナム・3番目にエクアドル… …と、発展途上国から批准してゆきました。(日本政府も1994年4月に、世界で 158番目という遅さでしたが、ようやく批准しました。1998年現在で批准して いない国はアメリカ合衆国のみです。)発展途上国では、今も戦争や飢餓などの困難 な条件のもとで多くの子どもたちが生活しています。それらの子どもの生活改善のた めには国際協力が重要であるとして、「子どもの権利条約」は各国において批准され るべき条約であったのです。  それでは先進諸国ではどうでしょう。たしかに自国内での戦争はなく、飢餓状態も ありません。しかし、このように生活するうえで恵まれていた国でも、子どもたちは 必ずしも幸せとはいえません。たとえば、子どもたちを守るべき親や近親者による虐 待、性的虐待、ドラッグ禍などが深刻な問題になっています。  日本も戦後、経済的には急速に豊かになりましたが、物質的豊かさの陰で失ってし まったものも多いといえます。親と子の間の対話、先生と生徒の間の信頼、友達との 豊かな交流、いのちに対する優しさなどがそれです。いじめ、ナイフによる殺傷事件、 登校拒否、自殺など、子どもたちの痛ましい事件が後を絶ちません。校則と内申書は あいかわらず生徒たちを締めつけ、体罰による障害もなくなりません。日本の子ども たちは、いま「豊かさ」の裏側にある社会のゆがみ、こころの孤独感のただなかであ えいでいます。  参考パンフレット    「What's the 子どもの権利条約」(子どもの権利条約をすすめる会)    報告会「スウェーデンにおける子どもの権利条約」(遠山真学塾) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜                          98年10月 所沢高校 人権係 『子どもの権利条約』についての全校アンケート  今年度の人権講演会(11月12日の5、6限)のテーマは、「子どもの権利条約」 です。この条約について、日本国内では「子どもの権利条約」と訳する人たちと、 「児童の権利条約」と翻訳する人たちがいて、この両者の立場からそれぞれ講演して いただき、その後、所高生と質疑応答していただく予定です。この講演会に皆さんが 関心を持って主体的に参加してくれることを願って、これから“人権だより”で紹介 してゆきますが、まずはみなさんに次の項目に答えていただきたく、お願いします。 (人権係は、人権擁護の立場で慎重に扱います。) Q1 「子どもの権利条約」というものがある(=日本政府が批准した)ことを、知っ    ていましたか?            a知っていた   b知らなかった Q2 「子どもの権利条約」として、具体的にどのような権利があるか知っています    か?   a 知っている。     具体的な権利項目をいくつでも書いてください。     ┌────────────────────────────────┐     │                                │     │                                │     │                                │     └────────────────────────────────┘   b 具体的な権利として何があるか知らない。 Q3 「子どもだから」ということで基本的人権が認めてもらえなかった、と実感し    たことがいままでありましたか? そういう経験があった人はどんな時に感じ    たか、書いて下さい。 *このアンケートは自宅に持ちかえって記入し、翌日担任の先生に提出してください。
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