求釈明書
1998年8月17日(月)
求釈明書
請求人 竹 永 公 一
処分者 埼玉県教育委員会
平成10年(不)第3号事案について、請求人は、平成10年7月13日付答弁書
に対し、下記のとおり釈明を求める。
平成10年8月17日
上記請求人主任代理人 桜井和人
埼玉県人事委員会
委員長 坂 巻 幸 次 殿
記
第1 事実関係
請求人は、審査請求書第8・2「入学説明会における審査請求人の発言」及び
3「本件発言に至る経過」において、本件の事実関係について具体的に主張した。
これに対し、処分者は「否認若しくは争う」と答弁するのみでおよそまともな認
否をしていない。処分者は「請求人の主張については、本件処分が、どのような
点で違法不当なのか、整理して具体的に特定していただきたい。その後、処分者
はそれについて具体的に認否し、主張することにする。」と述べているが、本末
転倒もはなはだしいというべきである。そもそも事実関係が明らかになってこそ、
処分の違法性等の判断が可能になるのであり、したがって、処分者は、速やかに
請求人の上記主張について具体的に認否すべきである。
第2 本件処分の対象となる請求人の行為は何か。
1 処分者は答弁書において、「埼玉県立所沢高等学校における平成10年3月1
8日(水)開催の入学許可候補者説明会において、校長が入学許可候補者とその
保護者に対し、『「入学式」及び「入学を祝う会」のご案内』という印刷物をそ
の場で配布して、入学には入学許可を受けることが必要であり、「入学を祝う会」
は、「入学式」終了後に実施することにすると伝えたところ、請求人は、午後2
時45分頃、校長の了解を得ることなく、学年関係の説明のときに、校長の説明
に反し、4月9日には「入学式」は行わず「入学を祝う会」のみを行い、教職員
も校長の行う「入学式」に反対する旨述べた」としているが、これらの事実を認
定した根拠は何か。
(1) 上記事実を認定した根拠は事故報告書と推定されるが、事故報告書以外にも
資料があるのか。
(2) あるとすれば、どのようなものがあるのか。仮に、起案書、復命書、録音テー
プ、メモ等、事実関係を明らかにし、本件判断の認定資料としたものがあるの
であれば、第1回口頭審理期日までに、事故報告書も含め教育委員会提出資料
の全てを提出されたい。
2 本件処分の対象となる請求人の行為は、上記1の事実のうちの「請求人は、午
後2時45分頃、校長の了解を得ることなく、学年関係の説明のときに、校長の
説明に反し、4月9日には「入学式」は行わず「入学を祝う会」のみを行い、教
職員も校長の行う「入学式」に反対する旨述べた」との事実(以下、「本件処分
対象事実」という。)に限定されると理解してよいか。
第3 本件処分の対象となる請求人の行為が本件処分対象事実に限定されるとして、
さらに以下について釈明を求める。
1 「校長の了解」について
(1) 「校長の了解を得ることなく」とはどのような意味か、校長の了解を要する
という意味か。
(2) 請求人は、入学許可候補者説明会において、あらかじめ職員会議で合意され
た会次第に沿って発言したものであるが、それでも「校長の了解」を要すると
言うのか。
(3) 「校長の了解」を要するとすれば、その対象となる請求人の行為は何か、発
言したことそれ自体が問題なのか、あるいは発言の内容が問題なのか。
(4) 「校長の了解」を要するとすれば、その法的根拠は何か。
2 「校長の説明」について
(1) 「校長の説明」とは、「入学には校長が行う入学許可を受けることが必要で
あり、「入学を祝う会」は、「入学式」終了後に実施することにする」との部
分全部を指すのか、前段若しくは後段を指すのか。
(2) 「校長の説明に反し」とあるが、請求人の行為の何が「校長の説明」に反し
たと言うのか。
3 地方公務員法33条について
(1) 「請求人の行為は、教育公務員としてその職の信用を著しく傷つける」とす
るが、「請求人の行為」とは本件処分対象事実を指すのか。
(2) 本件処分対象事実を指すとして、何故に本件処分対象事実が教育公務員とし
てその職の信用を著しく傷つけるのか、具体的に主張されたい。
(3) 何らかの「正当な理由」があっても、「校長の了解」がない以上、あるいは、
「校長の説明」に反する以上、請求人の所為は地方公務員法33条に違反する
と言うのか。
以上
(Web管理者記)−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「第1 事実関係」のところで、『処分者は「請求人の主張については、本件
処分が、どのような点で違法不当なのか、整理して具体的に特定していただきた
い。その後、処分者はそれについて具体的に認否し、主張することにする。」と
述べている』という記載があります。
これは『傷つけた人が、傷付けられた人に対して「何で傷つけられたか不満な
ら、その不満な点について言ってみなさい。そうしたらその不満な点について、
検討します。」と言っている』のと同じことのように思えます。
とすれば、まったく『本末転倒もはなはだしい』としか言いようがありません。
それとも、あの答弁書の内容で事足れりとしているのだろうか?
『この請求人の行為は、教育公務員としてその職の信用を著しく傷つけるもので
あり、地方公務員法第33条に違反するものである。』といったことが答弁書に
は記載されているが、「請求人」のどの「行為」が「どのような理由」で「信用
を著しく傷つけ」たのか、私にはさっぱり分からない。
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