所高PTA新聞
第125号
所沢高校PTA広報部
1998年7月18日(土)
『所高PTA新聞』第125号 所沢高校PTA広報部 1998年7月18日発行
●PTA会長に就任して
君島和彦
「図らずも」という言葉がまさにぴったりする状況のなかで会長になってしまいま
した。一九九七年三月の「卒業式」直前の前校長との交渉時に所沢高校を「訪れた」
のを機に、何度も学校に行きました。そして一九九七年度の「入学式」以後、それが
頻繁になりました。県教育局にも何度か行きました。
所高との関係が深まっていく過程で、私自身が「所高」について学び、教えられ、
一つ一つの意味を考えていきました。「自由とは闘いのなかで実現される」とは私の
大学時代の先生の学問姿勢であり、自分もそうありたいと思いながら、なかなか実現
できませんでした。所高でそれを実際の場で教えられるとは、まさに「図らずも」な
のです。「精神的自由」は近代社会における多くの「自由」のなかで最も根幹をなす
ものです。「所高」での問題はこの根幹にかかわるものだと思います。だから大切に
してゆきたいと思うのです。
さて、PTA活動とは何か? この問いも私には難問の一つで、今、正解はありま
せん。だんだん分かっていくだろうとは思いつつも、会長という役職に就いてしまっ
たのに、あまり呑気に構えているわけにはいきません。ここでは多くの経験豊かなP
TAの「同僚」にご援助を乞う次第です。
最も大切にしたいことは、「みんなで作っていこう」ということです。PTAのプ
ロはいないだろうと思います。みんな素人です。頭を寄せ合って、良い知恵が出てく
るように真剣に考えてみましょう。自主自立は生徒の専売特許ではありません。私た
ち保護者にとっても重要な問題です。日常の生活では「何となく」流されているよう
に思いますが、この機会にもう一度考えてみましょう。生徒に負けないくらい自主自
立でいきたいと考えています。ご協力よろしくお願いします。
●この頃思うこと
校長 内田達雄
私事になりますが、この四月から息子が社会人となり、私の健康保険証の被扶養者
の欄から名前が消えました。何か親の役目は終ったようで寂しい感は拭えませんが、
一人前になったのだからと自分に言い聞かせながら何とも複雑な思いです。高校時代
は、とうに過ぎた今頃になっても親らしいことをし続けたいような気持が残っている
からでしょうか。
再び私事で恐縮ですが、今年86歳になる私の母が隣りに一人で住んでいます。体
を動かすのも儘ならない状態ですが、「私があなたの母親です」と、今でも親の権威
は少しも失っていません。
子を思う親の気持は、生れながらに持っている本能的なものだといわれています。
ところで、生れてから、可愛い、可愛いで育ててきた子供も高校生になると、その接
し方には難しいものがあります。この年代は、自分一人で何でもやろうとするところ
と、いつも見守って欲しいという、一見矛盾する事を合わせ持っている年頃ですので、
この辺に気を遣う必要があります。振り返って、自分が高校生だった時のことを考え
てみると、どうも親が自分の考えに無条件に賛成し応援してくれたことよりも、反対
されたり、何も言ってくれなかったことの方が、むしろ私の心に残っているように思
います。
親の愛が、海より深いとするならば、ここは、「心を鬼にして突き放す」くらいで
丁度いいのではないでしょうか。その方が、子供は育つと思います。
いずれにせよ、親が子を思う気持ちは特別なものがあり、親の子離れは難しいもの
です。
●1学年担任紹介〔省略〕
●所高に関するQ&A
※一年生の保護者を中心に、所高に関する素朴な疑問をぶつけてもらいました。
┌───────────────────────────────────┐
│ まずは今年マスコミに大きく取り上げられた“卒業・入学”に関するもの │
└───────────────────────────────────┘
Q 今までの入学式・卒業式は?
A 教職員主催で行なっていましたが、卒業式に関しては3年生の卒業準備委員会が
中心となって、卒業生の意向に沿うように行なってきました。(ごく普通の式だっ
たようです。ともあれ、その普通を経験しているのは現所高生では3年生だけなの
です。)
Q 今年の卒業式・入学式は?
A −取材の為、両方に立ち会った者として報告します。−
卒業式は無人の椅子が目立つガランとした中で行なわれました。卒業生20名出
席と報道されましたが、少なくともその内2名の生徒は君が代・証書授与・式辞の
際、周りに促されても起立せず、抗議の意思を示していました。
入学式は新入生の6割が出席、新入生の椅子には氏名が貼られ、その席に着席す
るようになっていました。生徒呼名の際には「起立して返事をし、会釈をするとよ
い」という指導がありました。
卒業式・入学式とも君が代斉唱・証書授与(呼名・入学許可)・式辞・来賓紹介
と至って簡素。校歌紹介もありませんでした。又、先生方は職務命令に沿って任務
に就き、県教育局の方も多数来校し、任務に当たっていました。
Q ″卒業記念祭″″入学を祝う会″の名称はどのように決まったの?
A 卒業記念祭の名称は全校から公募してその後四者会議で話し合って決定しました。
入学を祝う会は入学式に代わるものとして考えた時の仮称をそのまま使いました。
Q 所高生は「日の丸」「君が代」に反対なの?
A あくまで個人個人の判断であって「所高生」が反対しているとか反対していない
とかではありません。様々な意見がある中で、ひとつの意思を強制されるのはおか
しいということです。
Q 争点は何だったの?
A 争点は生徒が民主的に話し合ってきめた決議を全く無視されたという所だと思い
ます。つまり、生徒の意思を正当に尊重されていない点だと思います。
Q 「有志」って?
A 入学を祝う会で当日の実務などを手伝ってくれる人として全校から募集して出て
きてくれた人達のことです。人数は100人位でした。
−有志の人達は当日は欠席扱いとされてしまったとか?
Q PTAとしての取り組みは?
A PTAでは生徒達が話し合いを積み重ねた上で結論を出し、取り組んでいること
をずっと支援してきました。生徒と教師・親の信頼関係を大事にしています。
Q PTAのこういう方針はどの様に確認しているの?
A 毎年5月の総会が会員の意思の集約の場です。昨年度は事前に8ケ所で説明会を
開いた上で7月に臨時総会を開催し、11月には各学年保護者会、1月には校長の
私信に関する説明会、2月には各支部で卒業記念祭に関する説明会を行ないました。
そして4月18日には卒業・入学を巡る一連の経過についての説明会を開催しまし
た。そういう場ではもちろん反対意見も出されます。できるだけ会員の声を吸い上
げつつ時間をかけて話し合っています。ほとんどの場で予定時間をはるかにオーバー
してしまうというのが頭の痛いところです。
Q PTAは「日の丸」「君が代」に反対なの?
A PTA総体として「日の丸」「君が代」についての論議をしたことはありません。
あくまでも生徒達の総意に基づいた活動を支援していくという姿勢です。
┌─────────────────────────┐
│ 続いて親にはちょっぴり心配な進学・勉強に関して │
└─────────────────────────┘
Q 所高生は勉強しているの?
A 人それぞれです。−と生徒からの返事、そのとおり。これは生徒個人個人によっ
ていろいろです。(我が子のことはテストや通知票の結果を見るとわかります)
部活に夢中の子、芸術的な感性を伸ばす子、アルバイトに精を出す子、将来に向
かって着実な子、とりあえずボーッとしてる子、皆でワイワイの子、いろいろです。
そんな子に「所高生って行事ばかりで勉強しないよね」と言うと「ちゃんと授業に
参加して勉強しているよ」と反論するので信じましょう。
本気で知りたいならアンケート。−と生徒からのアドバイス。(でもこの広報1
号、原稿を集めるのもギリギリの状態、アンケートまでの時間は余裕がありません
でした。)
Q 進学が心配ですが・・・・
A ハイ、私も心配です。(3年の親)
7月の地区懇談会で進路の先生から説明があります。2年生・3年生の初めには
保護者、生徒各々に向けて進路説明会が開催され、昨年度の進路状況等の情報が得
られます。
┌─────────┐
│ 学校生活のこと │
└─────────┘
Q 所高には″いじめ″はあるの?
A 個人の感じ方にもよりますし、全くないと言い切ってしまうのは無神経かと思い
ますが、卒業生・在校生に聞いた限りでは「いじめなんてないよ」と。多分、異質
なものを排除するとか、日常的に理不尽な扱いを受けるとか自分のストレスをより
弱い者に向けたくなる−いじめに走らざるを得ない状況が少ない学校なのだと思い
ます。まったりとかのほほんという形容詞が似合う環境のような気もします。
┌────────┐
│ その他のこと │
└────────┘
Q ロータリーにある″青年像″の由来は?
A 「左手に学問を探究し、文化の向上を意味する書物を持ち、右手には栄光の象徴
として、月桂樹を抱いて青空に飛躍せんとする青年の建設的平和を表すものである。
この像こそ躍進の一途を辿る本校の現状にふさわしく、又将来発展して行く若人の
理想のシンボルである。古今東西を通じて永久に変わらない人間の伸びゆく姿をあ
らわすものである。実にこの像こそ本校の教育方針の象徴である。」と昭和30年
設立当時の記念碑由来記にあります。除幕式・昭和30年2月2日、制作者・新制
作派彫刻家、山内壮夫氏。当時は鉄骨入り白色セメント製でしたが、平成5年、ブ
ロンズ製に作り替えられました。その時に台座も御影石に取り替えられ、正面に昭
和50年卒業、毎日展会員・駒井光明氏による題字が銅板ではめ込まれました。芸
術的にも非常に優れた作品と言われています。
● 山下英三郎さんに聞く−−−−傷ついた子どもと向き合って
昨年来、中学生によるナイフを使用した殺傷事件が多発しています。校内暴力に始
まり、不登校・いじめと変わってきた子どもたちの側からの問題提起はいよいよナイ
フにまで及び、フツーの子供がナイフを所持してまで身を守ろうとするほど、追いつ
められている現状があります。
本紙では、日本で初めてのスクールソーシャルワーカーとして、十数年、不登校の
生徒たちに接してこられた山下英三郎さん(日本社会事業学校教員)にそのへんのお
話を伺うことにしました。なお、山下さんは数年前に所沢高校のPTAの会長をされ
ていました(93、94年度)。又、昨年度は入間支部で講演をしてくださったり、
所沢高校のPTA活動に日頃からご理解とご協力をいただいています。
○不登校・いじめからナイフヘ
これまで論議されてきた不登校やいじめの問題は、大人が直接被害を被るような現
象ではなかったために、どこか軽くとらえられている面があったような気がします。
しかし、このところのナイフ所持事件は、教師を初めとする大人たちが攻撃の対象に
なる怖れがあるので、慌てふためいている印象を受けました。また、一見してフツー
の子が刃を向けてくるわけですから、対応に神経を尖らせることになっているようで
す。
○子どもと同じ目の高さで
大人の側は、子どもたちの内奥にある不安や怒りに耳を傾けることをせず、理由も
なくキレて行動に及んでしまうかのように言います。だけど、子どもたちの行動には、
それなりの背景があるということは言うまでもありません。子どもは、常に指導され
る存在と決めつけるような一方的な関係からは、問題解決の糸口を見いだすことはで
きないのではないでしょうか。
そのような考え方の根底には子供たちの人格の否定や不信感があると思うんです。
相まみえることのなかった二者が、お互いの距離を近づける努力をして、少しだけ相
手のことが分かるようになるものではないでしょうか。
子どもたちの側には、威圧感をもって迫る大人たちに対する不安感が常にあり、そ
れを取り除いてコミュニケーションがとれるようになるまでには、多少の時間がかか
るものです。大人の側としては、常に子どもと同じ目の高さで接していきたいもので
すね。
○ナイフを持つことの意味
ナイフを持つことは、他人を攻撃するためというより、自分の中のストレスをうま
く処理することができずに、不安を抱えているから身を守るという意味合いが強いと
思います。だから、ナイフを取りあげれば片づくというものではないでしょう。少年
法を改正して規制を厳しくする方向で対策が練られていますが、そうしたところで状
況がよくなるとは思えません。
学校というところは、知識を身につけさせることばかりにエネルギーを集中してい
て、子どもたちが自由に行動したり考えたりできる場ではなくなっています。知識の
量によって序列をつけられ、常に他人との競争を強いられて気が休まるときがないよ
うに見えます。
こうした競争社会で勝者になれる子はほんの一握りに過ぎません。大多数の子ども
たちは敗北感や劣等感を植えつけられるばかりです。私たちの社会は、学校の外に選
択肢を用意しておらず、そこを通過することだけが幸福の切符を手にすることだと考
えられています。もう少し、緩やかな眼で子どもたちの将来を考えたいものです。
○所沢高校の生徒について
生徒たちが、実に伸び伸びとして個性的だということは、会長をやっているときに
も感じていたことです。現在、所沢高校で起きていることを通して、所高生が特別な
生徒たちであるかのように言われていますが、それはとても残念なことです。所高生
のような生徒たちがどこにでもいるというのが、普通であってほしいと思います。生
徒の自主性を尊重する素敵な校風は、伝統としていつまでも継承し高めていってほし
いです。
このところの一連のでき事に関しては、生徒たちが大人に対して不信感を抱いたり、
絶望するような形で落着することだけはないよう願っています。
(次号に続く)
・現職 学校法人日本社会事業大学 日本社会事業学校教員
・活動 所沢市教育委員会の委嘱を受けて同市立教育センターにて訪問相談員の名称
でわが国では初めてのスクールソーシャルワークの実践活動を行う。朝日カル
チャーセンター講師・フリースクール「バク」共同主宰
・著書 「スタンド・パイ・ユー−心のメッセージ*子どもたちへ」他
● エッセイ〔省略〕
● 全国大会出場おめでとう〔省略〕
● PTA総会報告
去る5月30日(土)、1998年度PTA総会が開催されました。(出席142
名・委任状731名・計873名で総会成立)
PTAの総括の中の卒業・入学問題は活発な質議の末、議長提案により最後に討議
することにし、結果的に協議事項は総て原案通りに承認されました。
なお竹永先生に対する不当処分撤回に向けての緊急決議は、挙手による採決となり
(出席145名・賛成130名・反対6名・保留7名)で、原案通り採択されました。
● 体育祭
【体育祭実行委員長】 ○○○○さん
砂が吹き荒れ、涙の嵐の体育祭… になると思いきや、グランドは前々日の雨によ
る苔であふれてしまいました。今年は昨年よりパワーアップして、団結力強しです。
「競技に力を入れよう」という目標も達成できました。どの種目も盛り上がり!!
所高はこうでないと。最高です。来年もこの勢いで弾けて欲しいものです。
【応援・競技総合優勝】
・黒連合団長 ○○○○くん
沢山のわがままを言った。でもそれは連合が良いものになるように厳しくても
できると思い、信頼し期待して言ってきた。そしてそれに応えてくれたからこの
結果になったと思う。全員が頑張ったし楽しめたと思う。
・黒連合チアリーダー ○○○○さん
人を信じることは怖い時もあるけれど、なんのためらいもなく信じられたし、
信じてくれた。つらいことにたち向かう強さをちょっとだけ持てたような気もし
てうれしい。何よりも黒連合のみんなと出会えて本当に幸せだ。
【体育祭で出会った人々】
・毎年一番前の席を取れるように8時半には来ています。今年はファッションが特別
素晴らしいと思います。(3年生の母親)
・活き活きとしていてだらけている人もなく、先生の顔が見えないのに時間もきっち
りとして進行しているところが素晴らしいと思いました。(1年生の祖母と母親)
・見ていると元気になりますね。自分たちで工夫して作るということが素晴らしい。
連合で三学年が仲良くなれていいようです。大変素晴らしいと思います。仕事を休
んできた甲斐がありました。(3年生の父親)
・盛大で活気があっていいと思います。早慶戦の野球みたいです。(2年生の祖父)
・今年卒業した予備校生男子
応援合戦に間に合うように来ました。今年は質が高いように思えます。演出もオブ
ジェも素材の工夫が見られ素晴らしいと思います。
・神奈川県立生田高校3年女子
2時間かけて来ました。自分の学校でも衣装を作って着るけれどダンスの時だけ。
一日中着ていられることが羨ましいです。衣装も内容もとても凝っていて素晴らし
いと思いました。
・市内の中学2年生女子二人
自分たちで出来るところがいいと思います。それぞれが違っていて凄いと思います。
所沢高校を受験したいと思っています。
衣装に合わせて凝った髪型をしている生徒が多い中、特に目立ったモヒカン君たち
前日に友人宅でカットして親は知らないんです。当日のみのパフォーマンス、帰り
には丸刈りにしてしまいます。
● 編集後記
全国的に有名になってしまった春。文部大臣のコメントまで・・・・。☆体育祭、例年
にも増して光ってましたねみんな! スタイル一新の広報いかがですか? 次号から
投稿欄を予定。(所高新聞に先を越された・・・・)ご意見、ご質問など、お知り合いの
広報部員までどしどしお寄せ下さい。
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