所沢高等学校「入学許可」に関する弁護団意見書
1998年4月7日(火)
所沢高等学校「入学許可」に関する弁護団意見書
「埼玉県教育委員会」名による一九九八年三月三一日付け文書「平成十年度埼玉県
立所沢高等学校入学許可候補者の保護者の皆様へ」および、「埼玉県立所沢高等学
校校長」名による同年四月三日付けの「入学許可候補者」およびその保護者宛文書
「入学式にむけて」には、「校長は、入学を許可する儀式である入学式において、
入学許可候補者に対して入学の許可を行なう必要かあります」「お子さまが埼玉県
立所沢高等学校の生徒となるためには、入学式に出席し、校長による入学許可をう
けなければなりません」等と、書いている。
しかし、以下にみるように、右の県教育委員会およぴ校長の主張は、全く法的根
拠を欠くものである。
(1)学校教育法施行規則第五九条第一項は「高等学校への入学は、・・・・・・
入学者の選抜に基づいて、校長がこれを許可する」と規定している。しかし、
国およぴ県のレベルの法令には、この人学許可を入学式において行なわなけれ
ばならないとする規定は全く存在しない。
(2)また、学校教育法施行規則第三条に基づいて定められている埼玉県立所沢高
等学校学則は、第十七条で「入学選抜に合格し、必要な手続を完了した者は入
学を許可する」と規定している。この「必要な手続」は、同学則第十八条に規
定されており、ここで要求されているのは、「在学保証書の提出」だけであり、
入学式への出席は、含まれていない。
入学選抜に合格し、学則第十八条に定められた手続を完了した者については、当
然に入学の許可がされるのであり、万一入学式の欠席を理由に、入学を許可しない
こととなれば、それは法律、学則の根拠に基づかない違法行為である。
今年度入学式を行なわず、生徒の主催による「入学を祝う会」を行なうとの決定
は、従来からの確立された慣行に基づき、教職員及び生徒会の民主的な討論をへて
、生徒会・職員会議で決定されたものであり、これに反して入学式を強行しようと
する校長及び県教育委員会の態度は、学内の自治と民主主義の根幹を踏みにじるも
ので、子どもの人格を最大限尊重し、その意見をまともに受け止めることを求める
、子どもの権利条約にも真っ向から反するものである。
生徒の身分・権利保証上きわめて重大な「入学許可」は、恣意的な運用など許さ
れず、明確な法的根拠に則って行なわれなければならない。
埼玉県教育委員会およぴ埼玉県立所沢高等学校長の右文書は、以上の諸点から、
法的根拠を全く欠く違法・不当(「威嚇」的)な主張であり、速やかに撤回される
べきものである。
以 上
一九九八年四月七日
所沢高等学校卒業生・在学生有志弁護団
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