法廷での嘘と宗教(3)


 

協会幹部による神権的戦いの適用

 

 もっとも高い地位に着いていたものみの塔の幹部が嘘をついたよい例は、1993623日、デンマークのホルバエクにあるものみの塔支部での窃盗事件の中で起きたと伝えられている。この事件は1992914日に公布された「レジストルティルズム」と呼ばれる国内法に関係し、信者の特定の秘密の情報を保持しているものみの塔の行為はオランダの法律に違反している。この法律のためにものみの塔は199211月までに発生した懲戒に関する個人的な秘密の情報を破棄することに同意した。最終期限の直前になって、ものみの塔支部の幹部は「レジストルティルズムの命令を実行したと述べた」。

 

 
 アメリカのプライバシー法と類似しているオランダの法が正しい法律かどうかは別問題だ。関係した記録が破棄されたとするものみの塔の発表が本当か否かが問題なのだ。支部の職員は、「支部事務手続き」と呼ばれる政策を書いた書類に従うように特別に求められている。それには公式なものみの塔の政策のあらましが述べられている。この文書は神権的な戦略を教えていて、支部の指導者は、正直に実行していればものみの塔協会の利益のためになるかどうかを決断の基準とすべきであるとか、「たとえ真実であっても、特定のことがらを言わないのが最善である場合もある」と注意を促している。強盗犯人はものみの塔がこの事件でその内部規則を適用し、文書破棄についてあからさまな嘘を働かせたことを明かしている文書を暴き出した。ヘンリックソンのことばによると

 

必要なら(エホバの証人を妨害することがらの隠蔽目的も含む)エホバの証人は嘘をつくという事実は何度もこの「ファイル事件」で示されてきた。そうした文書が盗まれたと新聞が報じるたびに、そんな文書はないと何度も組織はそれを否定してきた。ヨルゲン・ラルセンも、エリック・ヨルゲンセンも、新聞に対しも、またデンマークのチャンネル2の報道番組の中でも(ホルバエクの支部事務所から)何回も嘘をついた。後で今では既定の事実となっている事実さえも否認した。

 

 この事件に関する限り、このほかにも不正がある。ものみの塔はある人が排斥されると、後で再び入信が認められる5年の間だけその記録が保存されていたと主張している。コペンハーゲン当局は、「登録された事例には40年以上も古いものもあったし、「破棄不要」のスタンプが押されていた。除名された証人が再び入信を認められた事例もあった。さらにものみの塔は各地の倉庫に保存されていた書類の箱の数は、最低ゼロ、多くてもたぶん7個から10個しかないと主張している。ヘンリクセンの調査では、平均してこれよりもはるかに多い数の段ボール箱が地方に保存されていると結論を出した。

 

 ほかにもたくさんの嘘つきの事例がていねいに記録されてきた。しかしその中でも上の例は教会の教義に関係しないが、世の法に関わっている最近の事例である。法律に違反しているし、明らかに政府当局にあからさまな嘘をついている。このようによくまとまった事件であっても、誤解や情報流通の乏しさのために不十分にしか世に訴えられていない。

 

 マグガニはものみの塔が自分の信者にもこの教義を用いているとも主張している。マグガニが書いている例を次に示す。

 

好奇心の強い人たちがものみの塔の歴史を試みると、現在の協会が覆い隠そうとしている事実がたくさん見つかる。例えばものみの塔の指導者は協会の創設者、CT・ラッセルがものみの塔の信者からほとんど崇拝と思える待遇を受けていた事実に困惑させられている。ものみの塔はラッセルが多くの偽りの教義を教えたと信じていたから、ラッセルの歴史を覆い隠そうとして極端に走る。

 

 マグガニがその一例を次のように示している――ものみの塔はかつてラッセルの生涯の伝記を書いてきたのにそれを認めない。ものみの塔の歴史書「神の目的にあるエホバの証人」(英文)63頁には、次の質問が見られる。

 

今だかつてラッセル牧師の伝記を出版してはいないというのは本当ですか。

答え:その通りです。一人の男性として、エホバの証人は彼の優れた性格を賞賛します。しかしそれよりもラッセル牧師に誉れと信頼を捧げてもよいでしょうか。彼には存分な働きと成功があったと言うでしょう。

 

  ここでも、ものみの塔が神権的な戦略を世の中の人たちにだけではなく、エホバの証人自身に対しても使っている例が見られる。なぜなら、記録を点検すると、ものみの塔のDIDが3年にわたり(1925年から27年)ラッセル牧師の伝記を出版していることが分かる。



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