■7年間の国連による査察により、イラクは90−95%のレベルで武装解除されてきた。

■私の政府は、恐れと無知によってイラクへの戦争を始めようとしている。

■熱烈な愛国者でありアメリカ合衆国の良き市民の一人として、私の国がこのようなやり方で振舞っているときに、私はじっと傍観していることはできません・・


元国連大量破壊兵器査察官

スコット・リッター氏のイラク議会での発言
BBCニュースWeb版9.8付けより


●元アメリカ軍諜報員であり、91年から97年までのあいだ国連大量破壊兵器査察官としてイラクの査察を行った、スコット・リッター氏が、イラク議会でアメリカのイラク攻撃は国際法に違反するとの演説を行いました。(2002.9.8)

●氏は査察官としての経験から現在のイラクが、ブッシュが言うような脅威ではなく、攻撃は国際法に違反する歴史的な過ちの行為であると断言しています。

●氏は、元国連査察官の立場、そしてアメリカ合衆国の熱烈な愛国主義者として1991年の国連安保理決議にもとずくイラクの武装解除とそれを証明する無条件の査察そのものについては支持しています。


●そのような立場からしてさえ、現在のブッシュ政権のイラク攻撃の姿勢に断固とした批判を加えています。

●このように重要な記事が米国内でも日本やその他の国でも、大きく報道されていないのは偶然ではありません。ブッシュ政権の戦争推進策と一体となったマスメディアの戦争推進プロパガンダが一方で繰り広げられていることを、私たちは同時に見ておかなければならないでしょう。


2002年9月8日日曜日
スコット・リッターがイラク国会で演説

リッター氏はかつて強硬な兵器査察官としての名声を得てきた。

スコット・リッター元国連上級査察官が
バグダッドにおいてイラク議会アラブ外交委員会の特別セッションで演説を行った。
以下はイラク衛星チャンネルテレビで放送された彼の演説のスピーチである。


スコット・リッター氏40歳
BBC NEWSより

「私が今日皆さんの前に現れたのは、貴会で演説する最初のアメリカ市民としてだけではなく、最初の非政府スピーカとしてでもあると理解しています。・・」

私の国がこのようなやり方で振舞っているときに、私はじっと傍観していることができません

「私の国は、第二次世界大戦終了後、世界をずっと支配してきた政治的力学を永遠に変化させてしまうような歴史的過ちを犯す淵にいるように思えます。すなわち、国家間の問題の平和的解決を要求している、国連憲章によって据えられた国際法の基礎を・・」

「熱烈な愛国者でありアメリカ合衆国の良き市民である一人として、私の国がこのようなやり方で振舞っているときに、私はじっと傍観していることはできません・・」

■戦争への道

「私の政府は、事実と現実に基づく真実ではなく、恐れと無知によってイラクへの戦争を始めようとしています。」

「私たち米国民は、イラクの一部による過去の無責任な行動と、現在イラクにより進められている生物化学兵器と核兵器、長距離弾道弾・・・それは1991年の安全保障理事会の決議により禁止されている・・・の再獲得の試みにより、国家安全保障に関する重大で切迫したリスクに直面していると繰り返し告げられています」

「真実は、イラクは9月11日の合衆国に対して犯されたテロのスポンサーではないということです。そして実際は、あの恐るべき日に合衆国を攻撃したことに特徴づけられるような過激な原理主義者を押さえつけることに熱心であるということです。」

「これは真実です。そして一旦アメリカ人がこの真実を知り、受け入れれば、恐れによる政治は挫折させられ、2つの国の間での戦争の見通しは大きく後退させられるでしょう」

■脅威ではない

「事の真実は、今日のイラクは近隣諸国にたいして脅威ではなく、その国境外の誰に対しても脅威となるようなことはしていないということです。」

■イラクが大量破壊兵器を保有していることは証明されていない

「国連憲章に基づく国際法に従うならば、イラクの現在の行動をもとに、イラクに対する軍事行動を正当化するどんなシナリオも、今日考え出すことはできないのです。」

「ことの真実は、イラクが大量破壊兵器を保有しているということは証明されていないということです。それは過去から禁止されている能力を保有していると言う意味においても、今日そのような能力を再獲得しようと求めているという意味においてもそうなのです。」

「ほぼ7年間の国連による継続的な査察活動の間、イラクは90−95%のレベルで武装解除されてきたことが証明されています。この数字には、イラクにより大量破壊兵器を生産するために使われてきた全ての工場と、これらの工場で生産された膨大な大多数の製品、それと同様に関連する生産設備が含まれています。」

「イラクはこれらの兵器を保有しようとする意志はないと声高に宣言すべきです。そして次にこの現実を証明するために国際法の枠組みに入るべきです。イラクがこれを達成できるただ一つの道は、国連安保理決議に従って武装解除を達成するために、国連兵器査察官の無条件の復帰と、査察官にイラク国内の現場に制限なくアクセスすることを許可することにあります・・」。