イラクへの自衛隊派遣で、自衛隊員、家族を
米英侵略兵の二の舞にするな!(その3)
イラク人の激しい抵抗に苦戦する米英軍の実態に、
イラク侵略に就く米兵が、親たちが、退役軍人が声をあげ始めた。
●「イラク人の目には我々は占領者と映る。
もはや我々は英雄のような気分にはなれない」
●「我々は、数で負けている。我々は、疲弊している。
我々は、もうにっちもさっちもいかなくなった。」
●「ブッシュ政権は卑劣な精神をもち、偽善者ぶっている」
'Bring us home': GIs flood US with war-weary emails
「我々を帰還させよ」:
本国に殺到する戦争に疲れたGIからのeメイル
The Observer, August 10th, 2003
オブザーバー
8月10日
Iraq Occupation WatchのHPより
翻訳:ピース・ニュース前線と米国で起きている前例のないインターネットでの運動が、イラクで軍隊が晒されている本当の危険を明るみに出している。闘争は今やベトナム戦争の砂漠版ともいえる様相を呈しつつある状況についてのポール・ハリーとジョナサン・フランクリンによる報告。 スーザン・シューマンさんは怒っていた。GIである自分の息子が、「スンニ・トライアングル」の中心部にあるサマラの町で従軍している。そこでは、米兵が恐ろしいほど次々と殺害されている。
戦争の間には、軍の家族たちが守るとされている沈黙を破り、シューマンさんは自分が望んでいることと、息子のジャスティンを危険にさらしていることへの非難を誰にむけるべきかを知っている。「私は我々の軍隊を帰還させたいのです。ブッシュの政策には驚きあきれるばかりだわ。彼は私たちを恐ろしい混乱に陥れている」と彼女は言う。
シューマンのような人は、氷山の一角に過ぎないだろう。彼女は、マサチューセッツの小さな町、シェルバーンフォールに住んでいる。そして彼女の近隣住民たちはみんな、彼女の意見を支持しているという。「私を支持していない人は、この周辺には誰もいないわ」と彼女は言う。
シューマンの意見は、イラクで上昇し続ける死亡率に対して米国で不安が大きくなっていることのあらわれであり、多くの兵士の軍務手当てを引き下げようとするブッシュ大統領の計画に対する深い憤りと一緒になった懸念でもある。批判は、サダム・フセインの兵士に襲われる恐怖のもとで、生命の危険にさらされている兵士たちからも直接出てきている。兵士たちはこれまでの戦争では軍隊が使用できなかった武器、つまりインターネットを使用しているのである。
メールとチャットルームを通して、これまでのイラク戦争の指揮方法についての猛烈な批判とともに毎日の兵士たちの苛立ちが明らかとなってきた。兵士たちは、米国軍の日常を差し障りのない公式なものとは違って鮮明に伝えているのである。先週のウェブサイトに投稿された1つのメッセージの中で、ある兵士は非常に率直だった。「町の中心部へ行くと、[イラク人]の目には我々は占領者と映る。もはや我々は英雄のような気分にはなれない」と第671工兵中隊の兵卒であるイサック・キンドブレイドは語る
キンドブレイドは、モラルの貧弱さを指摘し、本国の指導を攻撃した。「戦闘のルールが失われている。我々は、数で負けている。我々は、疲弊している。我々は、もうにっちもさっちもいかなくなってしまった。大統領は、『イラクの連中を引っ張り出せ』という。軍司令官は、もう軍隊は必要ないと言う。でも司令官たちはここにはいないのだ、と彼は書いている。
兵士たちの不満をぶつける主なはけ口の一つは、以前は軍人でずばずばものを言うデヴィット・ハクワースが運営するウェブサイトである。彼は、ヴェトナム戦争の時には最も若い大佐であり、勲章の数が最も多い軍人の一人だった。彼は、1日に大抵500通ものメールを受け取る。その多くはイラクで従軍している兵士からのものである。彼らは、上官たちから受けているひどい扱いのことから自分たちの装備が不完全であるのが怖いということにいたるまで全てにわたり赤裸々に語っている。」
軍隊から支給されたガスマスクは、「あごの下から漏れる。この同じマスクが、砂漠の嵐作戦の時に使用されたが、そこで戦った退役軍人たちの健康問題の部分的原因と考えられる。私の部隊は、この欠陥品を身に着けて湾岸に再び配置についた」とある軍医は憤慨した。退役軍人の中には、兵士たちを帰還させ、彼らが置かれている厳しい状況を知らせるキャンペーンを展開し始めた人もいる。エリック・ガスタフソンは、1991年の湾岸戦争の退役軍人であり、ベテランズ・フォー・コモン・センス(良識ある退役軍人)を設立した。「今や表面下では怒りが噴出している。私は、退役軍人として語る義務がある。なぜならば、もはや軍の規律に従わなくてもよいからだ。」と彼は言う。
最近イラクからのメールがガスタフソンに届いた。それは「第3歩兵連隊の第2大部隊の兵士たち」と署名されていて、「我々は、男も女も大切な愛する人たちにもう一度会う資格があるし、帰還して当然なのです。読んで頂き有難う」とだけ書かれていた。
もう一つの怒りの源泉は、最近増加している"危険手当"と家族との別居手当を減額しようという政府の計画である。こうした動きは、もともとは保守的な軍事新聞であるアーミー・タイムズにも社説で怒りをもって幾度も取り上げられた。同新聞は、削減計画によって、「ブッシュ政権は卑劣な精神をもち、偽善者ぶっていることがわかる」としている。
アーミー・タイムズの編集長であるトビアス・ネゲレさんは、政府を攻撃するかどうかについて上級編集スタッフが思い悩んだが、社説に対しての兵士達の反応は驚くほど肯定的なものであったと言う。今週はさらに批判色を強めた社説を掲載する予定だ。「我々は米軍最高司令官を批判することを軽々しくは考えていない。軍隊は現政権とともに厳しい数年間を乗り切ってきている。」とネゲレさんは言う。本流の退役軍人のグループもまた、政治家がアフガニスタンとイラクでの軍隊の働きを賞賛し、新兵徴募を進めようとしている時に賃金がカットされるという提案がなされていることに怒りを覚えている。
退役軍人は,この問題に焦点を当てるために抗議を予定している。「我々は、退役軍人は投票の仕方を知っているということを彼らに示すつもりだ」と退役軍人で、退役軍人問題を提起しているウェブサイトの一つ、国立湾岸戦争リソース・センターの幹部であるスティーヴン・ロビンソンは述べた。
スーザン・シューマンさんも、抗議行動を計画している。今週、彼女は新しいグループである「米軍帰還を求める家族」(Military Families Speak Out)のメンバーに加わり、息子、娘、夫や妻をイラクから帰還させるための陳情を行うためにワシントンに出かける。
イラクでは兵士たちはほとんど毎日死んでいくので、60年代と70年代にアメリカを分裂させたヴェトナム戦争と反戦運動の誕生が引き合いに出され比較されている。しかしながら、政治学者たちは、戦争がさらに泥沼化すれば、はじめてイラクにおいてベトナム戦争と同様のことが起きるだろうと考えている。 「ありのままを言えば、私は米国は現在の兵士の死亡率の水準を受け入れることができると考えている」とリチャード・ストール教授(テキサス州ヒューストンのライス大学)は言う。
息子のジャスティン君が不当な戦争から生きて帰ってくるのを見たいと思っているシューマンさんにとっては、これはほとんど慰めにはならない。「いわば窮地にあるのであって、その窮地から抜け出すのは容易なことではないのです。ベトナム戦争と同じ状況なのよ」と彼女は言う。
「今こそ撤退を」(Bring Them Home Now)のHPはこちら
「米軍帰還を求める家族」(Families Speak Out)のHPはこちら