●フセインの息子2人が殺害された後も、イラクでは抵抗闘争が収まるばかりか、返って抵抗が激しくなっています。 ●多くのメディアでは、「抵抗はフセイン残党が行っている」と報道しています。抵抗闘争を「テロ」と報道している例もあります。米英軍の占領支配を正当化する言い回しに注意しなければなりません。 ●米英による侵略と破壊・無秩序、そしてイラク民衆に対する無差別殺戮にイラク民衆が怒り抵抗しているというのが本当の姿です。 ●米も含めた国連主体による統治という、本記事の結論は疑問がありますが、イラクの抵抗闘争の真実を知る上で参考になるので紹介します。 |
Resistance has its roots in the present 抵抗闘争は現在にその根を持っている 占領に反対するイラク民衆は旧体制の生き残りではない ジョナサン・スティール,ガーディアン by Jonathan Steele, The Guardian July 25th, 2003 http://www.occupationwatch.org/article.php?id=278より 翻訳 ピース・ニュース |
その若い牧師は先週、ナジャフの通りに数千人もを呼び集めた。昨日の3人の米兵、サダムフセインの息子たちを殺したのと同じ部隊の米兵達の死は、今や前政権の鍵であるリーダーとしてフセインの息子たちが死んだので占領に対する抵抗は消えてなくなるだろうというアメリカ人の期待を、あっという間に吹き飛ばした。
火曜日から5人のアメリカ人が死に、先週は11人死亡している。戦争が公式に終了してから最も高い割合で死亡している。
ある米担当官は、もしフセイン兄弟や彼らの父が捕らえられたり殺されたりしたら復讐の洪水が巻き起こり抵抗闘争が短期間ながら「上向く」かもしれないと言い訳をした。しかし彼らの基本的な見通しは抵抗闘争が収まるだろうということだったのである。
別の部署では、フセインの家族の死によって、抵抗闘争が強まるかもしれない、という逆の見方もあった。自分がもはや旧政権を支持してないと感じるイラク人は占領に反対することに対して抑制する必要がなくなるというのである。どちらの立場も抵抗闘争はサダムフセインと彼の側近の運命と結びついたものだという仮定で予想されたものだ。
米高官は、イラク人たちは旧政権が何時の日か復活するかもしれないという恐れから米に協力するのを躊躇しているとする傾向がある。リーダー達の死は恐怖の最終カーテンを開けるだろう、と言うわけである。
イラク人と話してみるとこの議論が崩れるのがわかった。モスルの事件以前であっても、旧政権が何かの機会に復活すると真剣に信じている人はほとんどいなかった。
ほとんどのバース党の党員でさえもフセイン家族に哀悼の意をささげるものはいない。多くは職業的理由からバース党に無理やり入党させられたがその抑圧を憎んでいた。一世代前の人達はティクリート出身のサダムと彼の部族は党の本来の思想を歪め堕落させたと感じていた。
イラク人から時々聞かれる「サダムの下での方が良かった」というコメントは彼らがサダム政権の復活を望んでいることを示すものではない。治安の悪さ、社会的秩序の崩壊、水と電気の不足の問題、失業の恐れ、更には毎日、イラクの通りに外国軍を見るという屈辱などに対する失望を強調しているのだ。
米当局はこのことを公には受け入れたり、認めたがらないようである。抵抗が「過去の生き残り」によるものだと主張するほうが、現在への不満と将来についての疑念にこそ抵抗の根源があると認めるよりも易しい。
武装攻撃の一部は恐らく元兵士と将校により行われている。それは突然の軍の解散と、わずかな給料を得るために列を作って並ばなければならないという屈辱に対する怒りから発生しているものだ。抵抗は中央からの指令によるものではなく局地的に行われているように見える。
抵抗が、前政権と親密に関係していなかったスンニ派のモスクの一部により支持されているという証拠もある。実際、スンニとシーア両派のイスラム教徒の抵抗の潜在的な高まりは、威信が崩落したフセイン一家の問題よりもアメリカ人を困らせているはずだ。
若い牧師、ムクタダ・アル・サードルは先週ナジャフの通りで数千の支持者に対して、アメリカ人に対するデモを呼びかけた。米当局は彼を性急なポピュリストと非難して無視しようとした。彼はシーア派の主流の意見を代弁しているのではないというのは事実だが、占領当局が普通の人々の生活条件を素早く改善できないのなら彼はシーア派の意見を代弁し始めることになるであろう。
戦争前にはイラク侵略がイスラム世界全体にわたって原理主義を活性化させるだろうという論評があった。アルカイダや、その他の反西欧グループがイラクにおけるアメリカの存在を容易な攻撃目標とみなしていることからも、実際に原理主義が活性化しているのである。
こうした状況で米国が駐留同盟軍を国際化したがっていることは驚くにあたらない。それから恩恵を受けたいごくわずかの国が支援を申し出た。
最良の期待は国連である。火曜日の国連安全保障理事会においてアナン事務総長は占領終了の期日とロードマップを要求した。「軍事占領を終了させるための明瞭で具体的な一連の計画を早急にたてなければならない」と彼は述べた。
米国は彼のアドバイスを受け入れる必要がある。担当官は非公式には、憲法委員会を選ぶために2ヶ月と、憲法を起草し承認するために8ヶ月と、選挙を実施するために2ヶ月が必要であることから、イラク政府が引き継ぐことができるまでには1年を要すと語っている。
カレンダーは細かく規定すべきだ。
それは国連がイラクの独立への移行の全体を管理する新しい委任統治下で達成できるであろう。戦争反対の態度を取っている諸国にとっては、米が最大の影響力を持ったメンバーであるにせよ、もはや絶対的な支配権を持たない平和維持軍に加わりやすくなるであろう。米軍はトンネルの先に見える光を歓迎するであろう。またイラクの人々にとっても同じことだ。ブッシュとラムズフェルトにその用意があるかどうかがまだ疑わしいが。