【RESEARCH】
夏休み自由研究「各地のポートセンター調べ」
●埼玉NPO連絡会では、埼玉県が設置を計画している「埼玉県市民活動サポートセンター」(8ページに関連記事あり)について考える際の参考になればと、全国各地の「サポートセンター」を調査した。現時点で把握したものの一部を一覧にしたのが3ページの表である。サポートセンターは、ここ2〜3年で設置されたものが多く、公設のものあり、民設のものあり、スペースも人員も、予算もさまざま。下の表は、「民営」「公営」ごとに、それぞれの特徴を抽出したものである。
●調査をまとめた埼玉NPO連絡会の西川さんの感想は、「サポートセンターの運営や使い方などソフトは民間が担うべきで、公の関わりはハードに限定すべき。行政の支援は必要な面もあるが、行政からのお金だけにたよるのは問題が生じやすい」とのこと。
●来年秋にはスタートを予定している「埼玉県市民活動サポートセンター」がどんなものになるのかは、行政の考えだけでなく、県内の市民団体の発想と力量が問われるということになりそうだ。
■「民営」「公営」ごとにみたサポートセンターの特徴■
民営 |
公営 | |
設置年月日 | 一部の地域、センターをのぞいて、震災以降、とくに昨年97年後半から今年にかけて設立、設置されたものが多い。 | |
設立までの経緯 | 地域の小さなNPOが多数あつまって設立されたものと、社協や青年会議所など既成の法人の活動を基盤として成立したものに大きくわかれる。しかし、いずれも「いいだしっぺ」の存在がキーになっているようだ。 | できかたはいろいろあるが、概ねこれまでできたセンターは、首長の鶴の一声でできているところが多い。 |
いくつかのセンターでは、官民共同で運営母体を作っている | ||
スタッフ | 民間は、常勤1〜3人+非常勤。常勤者は有給が多いが、出資団体がバックにない場合はやはり低額のよう。 プロジェクト方式をとったり、アリス研のように別法人を作ったりと工夫もさまざま。他団体からの出向という形をとるところもある |
公営は、「場の提供」機能があるところは交替制で複数人の勤務体制が必要になるので、規模により10人〜40人。ただし直営と鎌倉市などのような市民運営の形態では待遇がまったく違う。 また、淡海センターのように人材派遣会社からのスタッフがいたり、神奈川の県活のように警備会社に委託しているところもある。 |
場所 事務所 設備 |
施設に関しては、官民格差ははげしい。ただしそれは役割・機能(場の提供の有無など)の違いともいえる。 | |
民間は、公共施設あるいは既成法人・私設の「間借り」タイプと、狭いけれど事務所をもっているという「自前」タイプがある。事務所としての性格が強い。 | 公営のものには、会議室・作業室・印刷機・ロッカーなど「活動の場や手段」の提供がある。事前の登録無く使えるところがあったり、ロビー/フリースペース/作業場があることが既成の公民館などとの違いか。 | |
主な収入/予算 | 民間では、会費を基礎に、受託事業収入、講座などの事業収入、そして寄付金というのが定番。しかし人件費・基本的な活動費が会費・寄付金・講座などの事業収入のみでまかなえるところはほとんどなく、補助金や受託事業に頼らざるを得ない。 | 自治体直営や外郭財団方式とはちがって、市民運営の鎌倉市は400万円、海老名市は1600万円と超低予算。運営の方法によって大きな違いがある。 |
事業内容 特徴など |
地域内の数多くの団体を基盤として成立している総合的な地域のセンターと、情報や研修などに機能を特化したセンターがある。前者はネットワーク重視、後者は事業的な展開としてサービスを提供するという姿勢が強い。また地域のセンターは、官民問わずとりあえず何でもありのよろず相談屋的性格をもっている。 | |
公営に関しては、「公民館ではなく、しかし民間のNPOではない支援施策としてどうあるべきか」というところで鎌倉のように市民運営にしたり、神奈川の県活のように「黒子」と言いつつ、今後の行政としての役割を模索しているところも。 |
◆「『市民活動サポート』その現状と課題」(市民活動サポートを考える会編1998)をもとに、各センターのパンフ・資料・聞き取りなどの情報を加えて、作成。
◆主に98年8月に調べたもので、これ以降も各地で官民によるサポートセンターづくりが急速に進められている。
◆各地のサポートセンター一覧は省略します。