アジア連帯講座 第二回セクシャルライツ講座
2月6日、アジア連帯講座は、文京区民会館で35人の参加者で「『異性愛中心社会』を考える」を開催した。札幌レインボウマーチ実行委の方を招いて、レズビアン・ゲイ・セクシャルマイノリティ(注)の状況および権利獲得に向けた取り組みなどを報告してもらい討論をおこなった。 札幌レインボウマーチとは何か 最初に、第4回札幌レインボウマーチに参加した仲間からスライドが上映された。このスライドを上映し見ている側は、セクシャリティや身体が誰のモノかということを改めて感じさせられるものだ。平素は何気なく働いている同僚であったとしても、自分の着飾りたいままに、自分のセクシャリティをプラカードに書き込んでの行進は、「異性愛」者であることを前提とした社会への強烈なメッセージだ。 その強烈なメッセージ性の故に沿道を民衆が取り囲み声援を送る。まさに、民衆がセクシャリティを強制されていたこの社会に気づく瞬間であり、出会いであり、自分の「身体」が他の誰のものでもない自分のものだと発見する瞬間だろう。このパレードが500人もの参加で行われたのだ。 自由に生きられる社会のために このような第4回目の札幌レインボウマーチを支えてきた札幌ミーティング(以下「HSA」とする)の仲間から発言してもらった。 Uさんは、89年2月にHSAを4人で創設した当時の一人である。 「当初はまだ外に訴えるというエネルギーはまだまだなく、自分の存在を外に訴えることへの抵抗感があり、同性愛者であることに対する否定的イメージを払拭するための電話相談やコミュニティを作るためにあった」。そして、だんだん外に出たいという意識が出てきたのがパレードのきっかけになったという。 しかし、外に出るということは、自分が同性愛者であるということを公表することであり、そのことの困難についても述べた。クローゼット(押入れ)として自分の存在を異性愛者として振る舞うことから脱する困難をカミングアウトというが、そのことについてわかりやすく説明してくれた。 Tさんは「自分は異性愛者だ」と断った上でHSAの活動について報告した。「なぜ、異性愛者がHSAで活動しているのか?という質問をよくされる。東京でレズビアン・ゲイパレードが開催され、千六百人が参加していた。当事者たちがカミングアウトして一緒に歩く快感を味わうことによって、うれしさや楽しさが伝わってくる。それが、私がHSAで活動している理由だ」と述べた。 Kさんは、パレードの意義について「自分たちが生活し、働き、職場の仲間などもいるところで歩くことは、沿道にいる同じ人たちの孤立感を無くしていく」ことだとした。しかし、「あくまでも私たちが存在することで異性愛者に突きつけたい」ということが第一にあると述べた。 そして、パレードの名称が回を重ねるごとに変化しているのは、セクシャルマイノリティのアイデンティティ問題を巡って、激しい議論を交わしている証拠であることも紹介。「セクシャルマイノリティということで単純に枠を広げると、統一戦線は(パレードという形などで)可能だが、その違いを強調していくことも重要だ」と述べた。 あるいは、カップル至上主義がゲイやレズビアンのコミュニティにおいてもまん延している現状を紹介し、「カップルになれれば一人前とする風潮がある」ことにもふれていた。 議論では、東京で活動している仲間からの発言を受け、銭湯を拒否されたトランスジェンダーからの発言、ポルノグラフィを巡る問題などを話し合った。また、「結婚しないと一人前ではない」と職場の上司に言われ続けたというケースなども報告され、セクシャルマイノリティでなくても生きづらい状況などに話が及んだ。 今年は札幌のパレードはお休みだが、東京では七月三十日にパレードが開催される。アジア連帯講座でも、レズビアン・ゲイ・セクシャルマイノリティの行動に積極的に参加していくことを確認した。 (S) 注 「セクシャル・マイノリティ(性的少数者)」とは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスセクシャル、トランスジェンダー、インターセクシャル(半陰陽)などの性的に少数派である人々の総称です。 札幌ミーティングってこんなところ 以下は札幌ミーティング(HSA)ってこんなところ紹介文(HSAホームページより)…… 札幌ミーティングはこんなグループです。 HSAは、九一年に札幌で「レズビゲイプライドマーチ」を開催。九五年まで月一のミーティングを開催していた。その他、同性愛者の悩みを聞く電話相談を始め、各ブランチ(部門)を作り活動していった。マスコミなどが差別的な発言をしたことに対して抗議の手紙を書いたり、エイズブランチ、Jrブランチ、ブランチB(中島みゆき私設応援団)など広げていった。パレードの他にも札幌雪祭りフォーラムやゲイナイトを開催。 ○性的少数者に必要な知識、情報を世界中から集めています。 1)札幌ミーティングはインターネットを利用し、世界各国の性的少数者やその団体と交流しています。 2)北海道内の他のゲイ・レズビアングループとも活発に情報交換をし、協力関係を保っています。 3)性的少数者のグループだけではなく、他の差別問題、女性問題、エイズ問題などを扱う団体に性的少数者として協力しています。 4)毎週金曜日に専任のカウンセラーが電話相談を行っています。 ○地域の性的少数者に役立つ情報を発表しています。 1)性的少数者の情報誌に札幌発の情報を提供したり、新聞や一般誌に性的少数者としてのメッセージ、コメントを発表しています。 2)地域の公共施設で講演会や勉強会などを開催しています。 3)定期的にゲイ・レズビアンナイトなどのパーティも開催しています。 4)機関誌「ニュースレター」を毎月1回発行しています。 ○性的少数者への差別、偏見に対して抗議活動を展開しています。 性的少数者に対する警察の不当捜査やマイナスイメージを垂れ流すマスコミに対し抗議活動を展開し、性的少数者への偏見をなくすよう働きかけています。 ○自分自身に対するボランティア活動です。 札幌ミーティングは性的少数者すべてのために活動しているわけではありません。誰のためでもない、性的少数者である自分自身のために活動しているのです。 ○HSA札幌ミーティング電話相談 (毎週金曜日 20時〜22時) ○札幌ミーティングニュースレター(毎月1回発行) 購読料 半年¥3、000 1年¥5、000 郵便振替 02730―1―51911 北海道セクシャル・マイノリティ協会(HSA)札幌ミーティング 住所 札幌市中央区南2条西5丁目 ロジェ札幌25 411号室 TEL/FAX 011―242―3321 E-mail hsa@mbn.or.jp URL http://plaza12.mbn.or.jp/~hsa/ |