ヨーロッパ旅行（報告編）

2003年ヨーロッパ旅行（報告編）

＜　フランクフルト　ユダヤ博物館　＞

アンネ・フランクを記念するコーナー。
アンネはフランクフルトの生まれでした。

以下の画像は、2003年5月に渡独旅行をなさった
札幌の和世さんからいただいたアンネにまつわるものです。
和世さん、ありがとうございます。

アンネ・フランクと姉のマルゴーがその短い生涯を
終えざるを得なかったベルゲン・ベルゼン収容所跡地。

●和世さんからのコメント●
写真の中で、築山がいくつかあります(数字も見えます)が、
それは、解放英軍が入って来て見ると、
そこで見られたのはチフスで死亡していた収容者たちだったので、
衛生的な見地からブルドーザーで集めて何箇所かに埋めたのです。
そこには『ここに５０００人の遺体が埋められている』
などと書かれていました。

上の方は恐らくヘブライ語、
下は英語で書かれています。

アンネに寄せられたたくさんのメッセージ。

アンネとマルゴーのお墓。

お天気があまりにもよくて・・
何とも切ないですね（涙）。

■アンネ・フランクについて■

情報提供：岸本和世さん（札幌在住の牧師）

1929年6/12	フランクフルト・アム・マインで誕生。父オットー・ハインリヒ、母エーディト・ホーレンダー、姉マルゴット・ベッティ。
1933年1月	ヒトラー、首相となる。３月にはドイツ国会は全権委任法を可決。ナチスの独裁、そしてユダヤ人に対する迫害が始まる。フランク一家ドイツを離れ、両親はアムステルダムへ、姉妹はアーヘンの祖母に預けられる。
1934年2月	姉妹はアムステルダムに移住。ヒトラー、大統領を兼ねる。
1939年	第２次大戦始まる。４０年５月ドイツ軍オランダ侵入。降伏。
1941年	ユダヤ人に対する様々な禁止令。アンネ、ユダヤ人中学に入学。
1942年6/12	１３歳の誕生日に父から日記帳などの贈り物を受け、日記をつけはじめる。『1942年6月12日(キティーという架空の友)あなたになら、これまでだれにも打ち明けられなかったことを、なにもかもお話できそうです。どうかわたしのために、大きな心の支えと慰めになってくださいね。 [1942年9月28日(補足)これまであなたにはずいぶん元気づけられました。同様に、いつもわたしの手紙の宛て先になっているキティー、彼女もやはり大きな励ましになってくれます。ただ日記をつけるのより、こういう書き方のほうがずっと面白いと思いますし、おかげで今では、続きを書くのがほとんど待ちきれないくらいです。ほんと、あなたも一緒にここに連れて来て、とってもよかった！]』
7/5	マルゴットに強制労働の命令。一家(１年がかりで準備していた隠れ家移住を早めて)６日に潜伏。
1944年8/4	午前10時から10時半の間に、プリンセンフラハト263番地に立つ家の前に一台の車が停まった。隠れ家がゲシュタポに襲われ、一家は連行される。(６月６日、連合軍ノルマンディーに上陸)。８日に北部のヴェステルボルグにあったオランダ最大のユダヤ人通過収容所へ移送。さらに９月３日に東方へ向かう最後の列車でポーランドのアウシュヴィッツへ。3日後に到着。１０月２８～３０日、姉妹はベルゲン－ベルゼンに送られる。
1945年1/6	母エーディト、アウシュヴィッツで衰弱死。44年から45年にかけてチフスが大流行、多くの被収容者が死亡した。２月末か３月はじめ頃、マルゴット死亡。数日後にアンネ死亡。１５歳９ヶ月。ベルゲン－ベルゼンの強制収容所が英国軍によって解放されたのは、約一ヶ月後の４月１２日のことであった。

『アンネの日記』から

　『1944年7月21日、親愛なるキティーへ。やっと本当に希望が沸いてきました。ついにすべてが好調に転じたという感じ。ええ、そう、ほんとに好調なんです！　すばらしいニュース！　ヒトラー暗殺が計画されました(1944年｢7月20日事件｣のこと)。しかも今回ばかりは、ユダヤ人の共産主義者がたくらんだのでも、イギリスの資本主義者がたくらんだのでもありません。純血のドイツ人の将軍、おまけに伯爵で、まだかなり若い人だそうです。“神の摂理”か、総統の命に別状はなく、あいにく被害は軽いかすり傷と火傷だけですんだとか。同席していた数人の将軍、将校らの中から死傷者が出、計画の首謀者は射殺されたとのことです。……　

もしかするとこの10月には、また学校の机に向かっていられるかもしれない、そう思うと、あんまりうれしくて、筋道だった思考ができないんです。おやおや、たったいま、期待し過ぎるのはいけないと言ったばかりなのに。かんべんしてください。これでも、だてに“矛盾のかたまり”なんていう異名をたてまつられてるわけじゃないんです。じゃあまた、アンネ・Ｍ・フランクより』

『日記』の最後は、
『1944年8月1日、親愛なるキティーへ。“矛盾のかたまり”。前回の手紙はこの言葉で終わりましたから、今日はここから始めることにしましょう。“矛盾のかたまり”、これって、正確にはどういうことなんでしょうか。ほかの多くの言葉とおなじに、これにも二つの解釈があります。外から見た矛盾と、内から見た矛盾です。前者は、いつものわたしの“強情っぱり、知ったかぶり、でしゃばり”、つまり、わたしがそれで悪名をはせている、あらゆる不愉快な性質のことですし、後者は、そう、そちらはだれも知りません。それはわたしだけの秘密です。……
胸のうちですすり泣く声が聞こえます。「そうらごらん。やっとわかったでしょう？　あんたは否定的な見方と、おぞましげな目つきと、あざけるような顔とに取り囲まれている。あんたは会うひとみんなから嫌われている。それもこれも良いほうの自分の忠告に耳を傾けようとしないからよ」

　とんでもない、耳を傾ける気なら十分あります。でもそれがうまくゆかないんです。かりにわたしがおとなしく、まじめにしていると、みんなは新手の演技を始めたと思うだけなので、結局は冗談に紛らして、やめてしまうしかありません。……ここまで一挙一動を見まもっていられると、だんだんわたしはとげとげしくなりはじめ、つぎにはやりきれなくなってきて、しまいには、あらためてぐるりと心の向きを変え、悪い面を外側に、よい面を内側に持ってきてしまいます。そしてなおも模索し続けるのです。わたしがこれほどまでにかくありたいと願っている、そういう人間にはどうしたらなれるのかを。きっとそうなれるはずなんです。もしも…この世に生きているのがわたしひとりであったならば。じゃあ、また、アンネ・Ｍ・フランクより』、
で終わっている。

※日記の引用は、文春文庫『アンネの日記・増補新改訂版』深町真理子訳より

　情報提供：岸本和世さん

福島・白河の「アウシュヴィッツ平和博物館」の様子は
こちらからどうぞ。

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